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緊急避妊法:Yuzpe法(Yuzpe methods)

わが国では、避妊法としてコンドームが広く使用されているにもかかわらず、333,220件(1998年)の人工妊娠中絶が報告されています。

これは言うまでもなく、男性主導に偏り過ぎた避妊法で失敗している現実を如実 に物語るものです。
女性誌などで緊急避妊法(Emergency Contraception:EC)ECが紹介される機会が増え、最近ECに対する知識と関心を持つカップルが私どものクリニックにもEC を求めて来院しています。

低用量ピルが承認されるまで避妊目的に転用してきたものと同じ中用量ホルモン 剤を使用するこの方法は、もちろんわが国においては医師の判断と責任にまかされた処方ということになりますが、最近では米国や英国をはじめ世界各国で承認され、世界保健機関や国際家族計画連盟なども推奨する避妊法として位置づけら れています。

以下にその代表的方法のYuzpe法(Yuzpe methods)について記述します。
今日広く使用されているYuzpe法は、1970年代に開発されたもので、それ以前に 使われていた高用量エストロゲン緊急避妊法の代替として登場しました。

この方法は、無防備な性交の72時間以内と、その12時間後に合計200μgのEEと 2.0mgのdl-norgestrel(NGR)を2分して服用するもので、子宮内膜を変化させて 受精卵の着床を抑制する効果が認められています。

失敗率は2.8%と評価されています。

Yuzpe法での副作用について一般的には、悪心(46%―70%)、嘔吐(22%―30% )、頭痛(2%)、めまい(2%)、乳房痛(0.6%)などです。

Yuzpe法の作用機序は多岐にわたっておりますが、

  • 子宮頸管粘液を濃厚にさせ、精子の子宮への進入を阻止、
  • 下垂体ゴナドトロピンの抑制
  • 排卵の抑制、
  • 黄体期の短縮、
  • 卵子の卵管内輸送時間の変化、
  • 子宮内膜のホルモンレセプターと機能の抑制、などが知られています。

高用量のEEとNGRは、黄体中期におけるプロゲステロンと内膜タンパク質を抑制し、子宮内膜環境は受精卵が着床するのに困難な状況となるわけです。

もちろんこの方法は着床が成立した後では効果がないし、妊娠が成立する前の避 妊法であって決して中絶薬ではありません。

またつぎの月経の周期の異常を認めることは少ないようです。
Yuzpeは全症例の98.3%で、治療後21日以内に月経が再来したと報告しています。
治療と月経再来までの平均期間は7.3日であり、月経の再来が通常は予想し得る 範囲で起こることを意味します。
使用者はかなり早期に治療効果の有無について知ることができるというわけです。

Yuzpe法の使用禁忌には、血栓塞栓症、乳癌、脳卒中、片頭痛、神経障害、子宮外妊娠の既往などがあげられますが、一度に高用量のホルモン剤を服用すること が問題かどうかの確たる証拠はないようです。
不適切なECP服用によって奇形率が高まったとの報告も現在のところありませ ん。

禁忌
ECPは、妊娠が確定している女性に処方出来ません。仮に、来院時点で、患者 がECPを希望し、妊娠しているかどうかについても、自他覚的に確証がない場 合、ECPが妊娠に悪影響を及ぼすことはないことを十分に説明した上でECPを処方することになります。 ECP使用に際しての医学的禁忌は妊娠以外には知られていません
ECPとして処方されるホルモン総用量はことのほか低いので、その後低容量ピル を継続的に使用したい際の禁忌は適用されません。

実際に使われている薬剤:ドールトン、プラノバール、ソフイア  などです。

費用:初診料、処方箋料、薬剤費、 保険適応になりませんから3-5千円かかるかもしれません

(東峯婦人クリニック 松峯 寿美)