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教授ごあいさつ

教授ごあいさつ東京大学大学院医学系研究科小児外科学教授、東京大学医学部附属病院小児外科科長 岩中 督
皆さんは「小児外科」という診療科がどのような医療を提供しているかご存じですか?言葉の通りお子さんの外科疾患を担当する診療科で、いわゆる一般外科という成人の外科から分かれてできた分野です。ただ、こどもは成人の体格を小さくしただけの存在ではありません。身体的にも生理学的にも成人とは大きく異なります。たくさん食べてよく眠り、しっかり運動することで成長、発達を遂げていきます。私たちこどもの医療を担当する医師は、常にそのことを念頭に置き、成長、発達を極力妨げない医療を提供する必要があります。

成人の外科学も大きな変貌を遂げ、大病院のほとんどで、消化器外科、血管外科、腫瘍外科、内分泌外科など臓器別・疾患別専門化がなされてきました。一方小児外科学は、外科学のうち小児を専門とした外科学ですが、私たち小児外科医は、頚部、心臓を除く胸部、腹部のほぼすべての病気を担当します。1000グラムにも満たない未熟児から思春期の中学生まで、また消化器疾患、呼吸器疾患、泌尿器疾患、生殖器疾患、など小児の外科的疾患のすべてが守備範囲です。それぞれの小児外科医が、それぞれ得意な分野を持ちつつ小児の一般外科医として日常診療に当たっています。東京大学小児外科では、日本小児外科学会が認定した2名の指導医、4名の専門医がお子さんの外科的疾患の診断・治療を担当しています。

小児外科学は外科学の一分野ですが、実際の診療にあたっては小児医療の一分野として活動しています。そのため、日常の診療においては、小児科との連携が欠かせません。また最近では胎児医療の領域の一角も担っていますので、産科との連携も不可欠です。東京大学小児外科では、小児科、産科との協力体制が確立しているばかりか、外科系各診療科の小児担当チームとも密接な関係を維持し、病気のお子さんのトータルケアに努めています。

皆さんは「低侵襲手術」という用語をご存じでしょうか?病気を治すためにやむを得ないとはいえ、外科治療を行えば必ず胸やおなかに傷がつきます。内臓をしっかり守っている筋肉を切開して治療を行いますが、その傷が小さければ小さいほど、また内臓の処置が簡単であれば簡単なほど、手術後の痛みも少なく回復は早くなります。小児の領域では成人の領域より数年遅れて1990年代初頭から、腹腔鏡手術や胸腔鏡手術という内視鏡手術(低侵襲手術)が始まりました。小児用の器具の開発や術式の工夫がなされた結果、小さな赤ちゃんに対してもこの低侵襲手術が可能になってきています。私は平成18年8月に前任地の埼玉県立小児医療センター小児外科から東京大学へ転任して参りましたが、埼玉県立小児医療センターではこの低侵襲手術に積極的に取り組み、米国で身につけた技術に磨きをかけ、安全で確実な小児内視鏡手術の工夫に努めてきました。1000例以上の経験を重ね、その後の長期間の経過観察をした結果、私どもの施設では一部の内視鏡手術を標準的な手術といたしました。さらに今後も新たな小児内視鏡手術の術式の開発に取り組んでいきたいと考えています。

小児領域の外科疾患には様々な治療法があります。同一の疾患でも個々のお子さんによってその治療法の選択が異なることもしばしばです。東京大学小児外科では、先に述べた内視鏡手術を選択するか否かなどについても、常にご両親と十分検討して決定していきます。どうぞお気軽にご相談ください。

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