教授挨拶
小児科教授 五十嵐 隆 |
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東京大学医学部小児科学教室はわが国で最も伝統ある教室です。これまで私どもの教室は我が国の臨床、教育、研究の各分野をリードする多くの優れた小児科医や研究者を輩出してきました。福山型先天性筋ジストロフィー症、有馬症候群、瀬川病、急性壊死性脳症などの小児疾患は私どもの教室や関連する施設にて教室出身者が確立した疾患です。
わが国の社会において果たすべき小児科医の役割は以前にも増しています。予防接種・乳幼児検診などの小児への健康支援、新生児未熟児医療、重症疾患の治療管理、移植・遺伝子治療などの高度先進医療の推進、発達障害やこころの問題への対応、救急医療など、幅広い分野で質の高い医療の提供が小児科医に求められています。
平成20年7月1日に当院は小児医療センターを開設しました。欧米や近隣諸国の有名大学病院には必ず小児病院(小児医療センター)が付設されています。大学病院に付設された小児病院の方が独立型の小児病院よりも様々な点で優れていることは先進諸国において証明済みです。当小児医療センターでは臨床各科の連携が大変良く取れ、小児科・小児外科以外の関連各科に小児医療を得意とする医師が多数揃い、外科系疾患やこころの問題を含めた小児疾患全体に対してきめの細かい高度の医療を提供しています。その結果、極小未熟児、重症先天性心疾患、悪性腫瘍など重症疾患患児の当医療センターでの治療成績は大変に良く、世界に向けて誇るべき成果をあげています。この様な状況を反映して、実地医家はもとより近隣の病院、小児病院や大学病院からも感染症などの急性疾患をはじめ重症あるいは難治性疾患などの多数の患者を御紹介戴いています。当小児医療センターでは優れた指導医の下で専門研修医は急性疾患、救急疾患、未熟児・新生児から慢性の重症疾患まで幅広い小児疾患を経験することができます。
一方、当小児医療センターでは疾患の原因を解明し、難治性疾患の治療法を開発し、それらの成果を医療に応用する基礎・臨床研究も盛んです。研究の成果として、眼球異常を伴う純型永続性近位尿細管性アシドーシスの病因がNa+/HCO3-
cotransporterの異常によることを1999年11月のNature Genetics誌に、進行性の神経芽腫ではALK遺伝子が活性化されALK
の抑制が治療に結びつくことを2008年10月にNature誌に報告しています。
私どもは当小児医療センターや関連する病院において男女を問わず自分のライフステージや健康状態に応じて無理なく元気に仕事を持続できる職場環境を構築し維持することが最重要課題と考えます。特に子育て世代である若手小児科医が赴任している関連病院の労働環境にも配慮をしています。
現在当科の教室員は成育医療センターを初めとする近隣の小児病院、東京都内だけでなく近隣の県の基幹病院、大学病院、各種大学において活躍中です。特に若手小児科医はこれらの施設の多数の有能な指導者のもとで有意義な研修を受け、研究を行うことが出来ます。さらに、多くの教室員はこれらの医療資源を有効に利用して、自分のsubspecialtyを深め、キャリアアップを図っています。
小児科学教室は人格の薫陶の場でもあります。お互いに協力しまた切磋琢磨することにより、かけがえのないこどもの現在と未来をまじめに考え自分と自分の仕事に自信と誇りを持って働くことのできる小児科医の育成を目指します。
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