薬剤疫学講座の説明

目的


本講座は、「薬剤疫学」を我が国で発展させる基礎を築くべく寄付講座として1993年に設置され、

また、臨床的研究や疫学的研究を側面から支援する生物統計学の重要性を考え、「生物統計相談室」を設置することにより

    (注:2003年4月から生物統計相談は東京大学医学系研究科・医学部 クリニカルバオイオインフォマティクス研究ユニットに移りました)


講座設置の背景


「クスリ」を逆に読むと「リスク」になる。薬剤は、有効性を発揮する可能性と有害反応のリスクを同時にもつ「両刃の刃」である。高齢化社会で薬剤の長期投与が増えると、薬剤の安全性確保が一層大切となる。また、血圧降下薬が血圧を下げるという有効性は確認されていても、脳卒中や心臓病の発生、あるいはそれらによる死亡のリスクを下げるか、といった評価がなければ、薬剤の使用を決定する情報として不十分である。薬物療法の実態の中で、疫学的に安全性を評価したり、数年に及ぶ長期投与臨床試験によって真の有効性・安全性を評価する方法は、我が国では経験が少なく、患者の生活の質を考慮してコスト・ベネフィットを評価する方法も未熟である。薬剤疫学はそうした方法を提供することを目的とし、欧米で発展しつつある。

一方医療界には、副作用問題その他、薬剤疫学的研究を必要とする課題が多い。課題に応じて時宜を得た研究が行われれば、そこから得られる情報により、数多い薬剤から適切な薬物療法を選択することが可能となる。

薬剤疫学は、患者個々のコスト・ベネフィットを確保するため、また、社会的には医療費を削減、もしくは適切に制御するためにも必要であり、医薬品の市販後監視(PMS:Post Marketing Surveillance)や医療・薬事行政の方向づけに基礎を与えるものとして発展させなければならない。


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