スタチンと糖尿病

2011-06-22

糖尿病の患者さんには高脂血症の患者さんも多い。コレステロール特にLDLコレステロールを下げるHMG-CoA還元酵素阻害薬には耐糖能 を悪くして、血糖を上昇させないかという懸念が以前から提示されていた。一 部のスタチンでは糖尿病発症抑制効果が示唆されていたが、ラットのβ細胞を使った研究では、L-type Ca2+チャンネルを介したインスリン分泌をシンバスタチンが抑制したという報告もあり、アトロバスタチンでの特に高用量での糖尿病発症が相次いで報告さ れている。

まず、3月に JACCでまるっきりのプラセボと対照したスパークルでは糖尿病の新規発症が有意であった(8.71% vs. 6.06%, adjusted HR: 1.37, 95% CI: 1.08 to 1.75, p = 0.011)がアトロバスタチン80mgとシンバスタチン20mgを比較したアイデアル(6.40% vs. 5.59%, adjusted HR: 1.19, 95% CI: 0.98 to 1.43, p = 0.072)やアトルバ同士で80mgと10mgを比較したTNT(9.24% vs. 8.11%, adjusted hazard ratio [HR]: 1.10, 95% confidence interval [CI]: 0.94 to 1.29, p = 0.226).などでは有意ではなかったとしていた。
つづいて6月にJAMAで 5つの研究の32 752例をまとめた検討が行われ1.12 (95% confidence interval [CI], 1.04-1.22)、498人に投与すると1例の糖尿病が年間に発症するとの報告がなされた。
既に平成15年頃から高血糖の症例報告は指摘され、添付文書にも「副作用:10).代謝異常:(0.1~5%未満)グルコース上昇、HbA1c上 昇。 使用上の注意4.糖尿病の患者[糖尿病を悪化させることがある]」が併記されている。また、学会での報告も別途挙げられている。

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