あげて落として

2016-04-03

地方枠など定員が120名程度の医学部も増え、2つは医学部の増設があり、9000名程度は国家試験合格者が見込める。しかし、羹に懲りて膾を吹く。2033年医師免許を持つ人が33万人で需給均衡する。2040年。今年の新入生が40歳台前半の「管理職盛り」の頃に「医師過剰」という。また、センター試験などの結果を受け 地方枠が定員未達であったり、学力低下留年率も高まっている。


この二年

2008-11-10

まぁ、昭和の医療の水準で積算するのが間違いで、20歳代に3人産み終わるなら妊産婦の脳出血の原因である子癇は少ない。高齢出産では染色体異常も含む哺乳不全児は産まれやすくNICUに1年以上滞在する事も多い。虐待に関する法律が整備されれば[平成十七年十一月九日法律第百二十四号第二条4一ロ]、胃瘻を含む栄養監理を怠れば虐待に、食事介助をすれば窒息による業務上過失致死に咎められる。栄養管理がNSTの理想通り行き届けば高齢者はますます長生きしてしまうがそれを維持するにも医療スタッフが必要である。


○来年度においては、医学部教育・地域医療に支障を来さないよう配慮しつつ、少なくとも過去最大の医学部定員(8,360人)を上回る程度を目指すべきである。
○我が国の人口10万対の医師数はOECD30カ国中26位と低いこと、OECDの平均医師数が我が国のそれの約1.5倍であることも考慮し、医学部教育・地域医療に支障を来さないよう配慮しつつ、将来的には50%程度医師養成数を増加させることを目指すべきである。[「安心と希望の医療確保ビジョン」具体化に関する検討会中間とりまとめ平成20年9月22日]

休憩時問や自己研修、研究といった時間も含む医療施設に滞在する時間を全て勤務時間と考え、これを週48時間までに短縮するには、医療施設に従事する必要医師数は31.8万人と推計され、前述の25.7万人との差は6.1万人(病院勤務 5,5万人、診療所勤務 0.6 万人)となる。しかしながら、休憩時間や自己研修は、通常は勤務時間 とは見なされない時間であり、これらを含んだ時間を全て勤務時間と考 えることは適切ではない。 [医師の需給に関する検討会報告書」の公表について 2006年8月9日 pdf]

この文章は ひろのきまぐれ日記へのコメントの加筆訂正です。

Lost Decade

2006-05-10

医師養成に時間は掛かる。無駄に掛かる。掛かっている間にパラダイムシフトが起こる事もしばしばである。キャリアパスの複線化は必要である。循環器の医師がコレステロールの専門家として仕事を終えたり、内分泌腫瘍の研究家が後天性免疫不全症候群の専門家となったり、そういう才能はしばしばみてきた。
しかし、これも内科という井の中の蛙というと失礼だが、基礎教養の上に成り立つ物で、いきなりお産を取り上げたり、白内障の手術をしたりは、しない。

さて医師は25万人居る。毎年7000名ほど新たに加わり、70歳を過ぎても現役のヒトも多い。
そういった意味では、専業農家に新たになるより、頭数は多い。
ではその人口構成はというと、今の日本とおなじで逆ピラミッドである。一番の問題は使い頃の人材がどれほどかという事になる。5-15年目、30-45歳、独りでも行動できる。体の無理も効く。判断力も熟慮というだけでなく速断性においても優れてている。
最盛期8400名の医学部定員があった。昭和の末期である。その後、社会保障費の抑制と絡めて医学部定員は厳密にコントロールされ、現在7000名程度である。浪人が居るので受験者数は多いが。

医師合格者 94回は最悪記録
受験者合格者合格率
83回10,0378,82988.0
94回8,9347,06579.1
100回8,6027,74290.1

83,060名(81-90回)- 76,766(91-100回)= 6,294名の医師がこの十年で養成抑制されている。

医局も社会なので、医局のボスが若返れば、その下につくヒトは普通身を引く。 事務次官が同期で出れば勇退するのが国家公務員I種の掟であるともきく。
引かなくてもかまわない。60歳の講師をどうこうしなければいけなくて、悩む40歳の助教授というのは、ざらにある風景であるが、それはさて置き、後輩が上に立てば、身を引くのがマナーというか風習で、開業する。あるいは、関連病院に出る(天下りとは言いがたいが)。
そして、もう平成も17年なので、平成卒や昭和60年代卒の教授はざらである。逆に、それ以上の年の医者を酷使すると、時代の変化に対応できなくて新規手技を理解していないための事故や過労死を多発する。

さて91-100回の合格者の3割は女性であり、当然の権利として出産育児に追われている。ここでも、配置の自由度や就業率は低下する。また、昭和50年代とちがい、留学の障壁はすくない。サバティカルとは言わないが、ここでも千人単位で実働人員はすくないことになる。

医局に自治体の長が頭を下げて割譲してもらうにも如何に玉が少ないかという事は、これで明らかである。さらに、技術の要求水準が上がるので投入できる資源は少なくなる。医学部8年制=研修の必修化である。これに2学年分15,000名吸い取られている。
社会の側の指弾も厳しい。医局に何を寄付して、それが刑事事件に発展した奈良医大や北大の事例など、昭和50年代ではあり得なかった。そうなると直接交渉というのもむづかしい。


追記 H18.8/19 北海道新聞

厚生労働、文部科学、総務の3省は19日までに、医師不足が深刻な都道府県の大学医学部の定員を暫定的に増やすことを認める「新医師確保総合対策」の原案をまとめた。一定期間地域にとどまることを条件とする奨学金の拡充など、実効性のある地域定着策の実施が条件

供給サイドの愚痴は以上。その内、需要サイドの意見を述べるチャンスがあればと思うが、仕事を辞めないと懇切丁寧には主張を展開できない。


医学部定員の抑制解除に向けて

2008-06-20

厚生労働大臣としていろいろな点をご指摘し、総理のご理解を得るということで、医師の養成、医師の数を増やすべきであると私は言っておりますので、平成9年の閣議決定で、医師の数の削減という方向で来た、それから10年以上経っていわゆる医療崩壊と言われるような状況になってますから、これは閣議決定を見直すという方向で調整をすべきであるということで、これは総理のご了解もいただきました。[厚生労働大臣会見 2008-06-17]

実際解除に向かうのだろうが、1学年の200名に一人が医者になる時代か。その他の産業に人がいかなければ、教育も公共サービスも成り立たない。

専門技量の習得にも時間がかかる。囲い込みが職務専念義務という枠で行われているのも専門医の偏在を招いている。バイトは如何な物かというところから、解放されないと、医学部定員だけでは即効性は薄い。


RSS2.0 UTF-8