膵臓がん

2016-09

 膵臓がんは毎年3万人の方が亡くなりますが、発見数も大体おなじです。
50歳で10万人当たり13.7例の膵癌が見つかります。この年齢の全部の悪性腫瘍は450例なので全体に占める割合は3%ですが、治る例が少ないので、死亡の順位だと4位、ガンでお亡くなりになる方の8%が膵癌という統計が示されます。
 膵臓は、消化液と血糖をコントロールするインスリンを出す臓器で胃の裏にあります。膵臓の頭が十二指腸に接していて、胆汁と膵液を出して、消化を助けます。
 膵臓の頭部に腫瘍ができると消化液が滞って、黄疸が出たり、膵臓自体に炎症が起きて腹痛があったりして発見の端緒になります。
 膵臓の尾っぽの所でインスリンを出すので、そこに腫瘍があるとインスリンの出方が悪くなって血糖が上がります。糖尿病になったあと1年から3年の間に膵癌が見つかる人も多いです。
 膵臓の前には胃袋があり空気にさえぎられるとエコーの検査で見落としが出ます。メタボで内臓脂肪が厚いと遮蔽されてエコーの検査で見落としが出ます。半分から6割くらいしか超音波検査で捕まえられないことになります。
 2cmで見つかっても半分くらいの患者さんが5年以内に亡くなるので、1cmとか5mmで見つけたいのですが、そうなると内視鏡を膵管に差し込んで細胞診をするなど侵襲が大きく膵炎などの医療事故を前提とする検査になるので実施できないでいます。
 成り易い人は、太った人でお酒とたばこを呑む人です。糖尿病は原因なのか結果なのか判りにくいところがあります。遺伝子の変異で膵癌に成り易い家系もあるので、親兄弟に膵癌がいたら5倍は成り易いと思ってください。他の目的で検査した時に偶然膵臓の一部に嚢胞があった人も要注意です。


MOCAの通知について

2016-10

 基安発0921第1号が出ました。静岡県の工場でウレタン硬化剤のモカを扱っていた職員から膀胱がんが見つかりました。当初別の化学物質の調査を行い、OBに既往があるということで職員の健診をしたところ更に症例数が増え、その中でMOCAの扱いが浮上しました。
 MOCAは既に特定化学物質として指定されていますが、その特健には膀胱がんの検査としての尿沈渣や尿細胞診は含まれていません。
 そのため、MOCAの届け出のある事業者に要請を出すとともに、労基署などに調査させるという通達です。
 短期間の扱いだけではなく、影響が長期に及ぶことから、記録の保存期間30年を超えても、捨てないで下さいというお願いと、OBで発症がある事から退職者にも調査を行ってくださいという話です。
 一般人口での年代別の発症率と所属する製造所員の数を勘案すると、膀胱がんが5年に一人、腎盂がんを含む腎臓悪性腫瘍が4年に一人でる計算です。
しかし、MOCAに限らず、ゴム製造の酸化防止剤に含まれていたPANやBNAの歴史もあり、ゴム業界は膀胱腫瘍などの泌尿器悪性腫瘍が多いです。他の危険因子として毛染めや喫煙が挙げられます。
 MOCAは気道をつうじた吸収の他に経皮吸収もある一方で、排泄が緩徐で、尿中の濃度が週初めと週の終わりで大きな差が無い特徴があります。
 今回の通知で健診の他に、商品の流れが変わったり、具体的な事案があった場合の見舞金などの扱いなど検討すべき点は多々あります。


特定保健指導と痩せメタボ

2016-11

特定保健指導、2014年は120名足らずが積極的支援に挑みました。うち2015年特定保健審査で該当から外れたのは14名、動機付けに格下げになったのは34名でした。除外になった人の危険因子の変化を見ると人数が少ないのもありますが、減っていません。平均で6cm、ウエストは確かに痩せてます。7割がたの人がウエスト85cmを切りました。でも残念ながら翌々年も85cmを死守したのは2割程でした。
 危険因子の数も4割程がゼロかイチかになりました。でも残念なことに危険因子がいくつもあるままウエストが減った事でメタボ非該当になった人も2割程残っているのです。そして翌々年危険因子無しのままの人は居ませんでした。
 ウエストだけではなく、危険因子のリバウンドは困ります。
 厚労省で危険因子の数と肥満とで分けて、実際に心血管事故を起こしたかどうかを較べてみた所、痩せても危険因子の重複した人の方が、太っているけど危険因子の無い人より、実際の脳卒中や心筋梗塞が起き易かったと言っています。[特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会]
 リバウンドの起こらないように配慮して生活習慣を整えて下さい。


No Abstract 2016-12 stress check's result


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