ラジレスは一般名をAliskirenという直接的レニン阻害剤である。
ACE阻害剤やARBではフィードバックで増える可能性のある昇圧物質のレニンを直接邪魔して、血中の活性を抑える事で、レニン・アンジオテンシン・アルドス
テロン系の「秘孔」を塞ぐ事が期待されて来た。
さりながら、ALTITUDE
試験ではすでに、既存のARBやACEインヒビターを併用している、腎障害があるかリスクの高い患者さんへの、上乗せによる有効性を確認しようと
していたのだが、非致死性脳血管障害を含む有害事象が上回り、中断を余儀なくされた。
ある意味、同じRASを狙っているので、上乗せ効果は限定的であり、同じ副作用（カリウム高値）などが相加的に積算されれば、役割は限定的なのだろう。
以前に比べて新しい機序の薬は見られなくなっているが、降圧薬も単剤の優劣を競う時代から、副作用が出る様な高用量になる前に、ある薬を少しずつ使う、「漢
方」のような方向が求められている。そういう意味でも、同じ機序の薬を積み重ねるのは時代にそぐわないというのを再確認させてくれたと思う。