2001−11年に解剖された米兵の冠動脈硬化症の割合は8.5%

2012-12-29

 昔の日本人インターンの仕事に、米兵のご遺体のあしらいというのがあった。朝鮮戦争にベトナム戦争と、身近なアジアの紛争で米兵が戦死していたからだ。
 その中で指摘されたのは若い米兵に動脈硬化所見があるということだった。朝鮮戦争では77%に脂肪線条が認められ、ベトナム戦争では造影で45%にプラークがあったとされている。
今回のJAMAでは、8.5%と一見、少ない罹病者の様に思われる。しかし、これはそれぞれの評価方法が異なるためである。今回の数字の方が、実際の治療対象の数を暗数として考える上で、現実的である。また、朝鮮やベトナムでは1%に満たない検討であるのに対して、今回は60%と広くカバーされている。
minimal軽症 (fatty streaking only脂肪線状のみ), moderate 中等度(10%-49% luminal narrowing 内腔狭窄が1血管以上), and severe 重度(≥50% 内腔狭窄が1血管以上)と振り分けた時に、3832名の米兵(98.3%が男性)のうち8.5%に冠動脈所見があり、1.5%が軽症, 中等症が4.7%, 2.3%が重症であった。
もちろん年齢を無視しては動脈硬化の進行は評価出来ない。

年齢症例/件数%/信頼区間
25歳未満 135/2047 6.6(5.5-7.7)
25-29才 103/931 11.1(9.0-13.1)
30歳代 154/697 22.1(19.0-25.2)
40歳以上 72/157 45.9(38.0-53.7)

避けられない危険因子としての年齢は致し方ないが、一方で軍での喫煙率は減少しており、1980年の50.1%から30.5%と4割削減している。一般人口の2割強よりも多いが、喫煙は冠動脈硬化症の危険因子から外れつつあるのも、ベトナムなどの過去の動脈硬化症と、有所見率が減って来ている理由の一つではないかと考えられる。


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