偽性アルドステロン症から横紋筋融解症・不整脈を来した1例

日本内科学会 第497回関東地方会例会 平成14年2月9日 水戸協同病院内科 ○塩之入太

 

症例:69歳女性 主訴:脱力・脈の欠滞

 

病歴:近医でGOT 107 IU/L, GPT 119IU/Lと、軽度の肝障害に対し9月からウルソデスオキシコール酸600mg po, グリチルリチン150mg po,グリチルリチン酸・L-システイン 40ml隔日ivを開始された。開始したときはK=4.5mEq/Lであったのが血清K値の経過は追っていなかった。

 10/26に乳癌健診を受け早期乳癌の疑いとして10/31に術前採血をした。K1.5↓, LDH 1019↑, CPK 1477↑, GOT 81, GPT 50と低K血症と横紋筋融解症を認めた。

 一旦帰宅したが不整脈と脱力が増悪し11/6入院した。尿は褐色でやや混濁し、Mb>3000ng/ml、最大14000までCPKの上昇をみた。カリウムの補充で、11/9には不整脈は消失し、握力も7kgから15kgに改善した。

 高血圧と低K血症を伴うが副腎皮質ホルモンは正常で、甲状腺機能も正常であった。尿中カリウムはK160mEq/day点滴で補正していた入院翌日のの23mEq/day, FeK 11%から、グリチルリチン製剤中止しK64mEq経口補正していた11/16には尿中K120mEq/day, FeK21.3%へ改善していた。

 グリチルリチン製剤が低カリウム血症を来し横紋筋融解症を起こしたと考えられた。同剤の低K血症とミオパチーは周知であり、肝庇護薬の使用の際には留意する必要がある。


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