I. インスリン分泌促進薬

a)スルフォニルウレア薬
   トルブタミド T max 4時間、  T 1/2 8時間、 作用時間 8~12 時間
   グリクラジド T max 4時間、  T 1/2 8時間、 作用時間 12~18 時間
   グリベンクラミド T max 2~4時間、 T 1/2 5~7時間、 作用時間 12~18時間
作用 ランゲルハンス島のカリウムチャンネルを閉じて、インスリン分泌を刺激する。
禁忌 肝代謝腎排泄であるので肝不全腎不全のときは留意する。遷延性の低血糖を来たしやすい。
トルブタミドでは肝性ポルフィリン症や肝障害の報告もあるので既往がある場 合禁忌である。
アセトヘキサミド 肝臓での代謝物も強い血糖降下作用をもつ
クロルプロパミド T max 2~4 時間、T 1/2 36時間、作用時間 24~60時間 
血清蛋白と結合し体内では代謝されず、徐々に尿中に排泄される。
作用時間が長いので、低血糖事故時には遷延するので注意

b)速効性インスリン分泌促進薬[グリニド] (ミチグリニド、ナテグリニド)
作用 フェニルアラニンの誘導体でSU剤同様にランゲルハンス島の Kチャンネルを閉じて、インスリン分泌を刺激する。
作用時間 内服後30分で頂値となり、2〜3時間後にはほぼ内服前の値に戻 る。食後速やかにインスリン分泌が上昇し、 3時間程度で作用が減弱す るの。食後の服用では吸収が抑制遅延されるので、食直前の内服が必要 である。

II. ビグアナイド薬
   メトフォルミン
   ブフォルミン
   フェンホルミン(乳酸性アシドーシスのため製造中止)
作用 未だに不明の点が多いが、主に肝臓での糖新生と糖放出を抑制する。
末梢で嫌気性解糖を促進し末梢のブドウ糖取り込みを促進する作用と
腸管からの糖吸収抑制作用も指摘される。
作用時間 内服後8時間で 75 %が未変化のまま尿から排泄される。
副作用 乳酸アシドーシス。起こした場合は内服を中止し、ブドウ糖とインスリンの補液を行う。
アシドーシスや電解質の異常が高度であれば、補正する。
禁忌   低酸素血症を伴いやすい状態(心筋梗塞や心不全、呼吸不全や肺梗塞)
肝腎不全。過度のアルコール摂取。下痢嘔吐など脱水を伴う場合。

III. チアゾリン誘導体(トログリタゾン[肝障害のため販売中止]、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン)
作用  PPAR-αなどに作用して、主に筋肉と脂肪組織でのインスリン感受性を改善させる。
特に空腹時インスリンが10ng/ml以上でBMI 24kg/m2以上の時に特に有用性が高い。
作用時間 トログリタゾンは1日分2、ピオグリタゾンは1回投与
副作用 肝障害。体液貯留による浮腫と希釈性の貧血。
禁忌 肝障害例;劇症肝炎による死亡例が報告されている。
   劇症例は事前の肝障害の有無に係わり無く発症するが
   毎月一回肝機能を検査し、異常値が見られたら直ちに中止する。

IV. αグルコシダーゼ阻害薬(アカルボース、ボグリボース、ミグリトール)
作用 腸管壁の二糖類を単糖類に分解する酵素の阻害により吸収を遅延させて、
食後過血糖を改善する。
副作用 腹満感や下痢、放屁といった消化器症状
禁忌 重篤な肝障害・肝硬変合併例に使用して劇症肝炎の死亡例。
腹部手術などで腸閉塞がある場合や吸収障害がある慢性腸疾患も慎重投与である。