日本薬学会北陸支部第106回例会(2002.6.15 富山医科薬科大学)
[講演要旨]大学院臨床薬学教育におけるPersonal drug(P-drug)セミナーの導入

富山医薬大病院薬・川上純一,三村泰彦,足立伊佐雄
富山医薬大薬・竹口紀晃               

 【目的】P-drugとは、科学的根拠に基づいて個々の処方医があらかじめクライテリア(有効性、安全性、適合性および費用)に従って医薬品 を選択し、それを合理的に処方する概念である。P-drugセミナーはフロニンヘン大学(オランダ)医学部における臨床薬理学の教育コースが 発祥であり、その後WHOが必須医薬品活動プログラムの一環として世界に提唱している。富山医科薬科大学大学院薬学研究科において 2000年度新設の臨床薬学専攻の実習プログラムにP-drugセミナーを導入したので、その実際について報告する。

 【方法】セミナーは臨床薬学実習期間の病棟実習前に半日×5日間の日程で開催した。大学院生8名が1グループとしてセミナーに参加した。 学生間のディスカッションを通じた問題解決型や自己認識型の教育手法を取り入れた。WHOのP-drugワークショップと同様のワークシート教材 と英語版テキスト「Guide to Good Prescribing」を使用した。医学生向けだった元のスタイルを臨床薬学の大学院生向けに一部修正するために 医薬品適正使用における薬剤師の役割に関するレクチャーを追加した。履修大学院生からのセミナーの評価を記名式アンケートで行い、教官 の立場からも教育的メリットを記録した。

 【結果・考察】大学院生は、P-drugの選択と合理的治療の各ステップに従って薬物療法の手順を学び、処方医の考え方やチーム医療における 薬剤師の役割を理解することができた。また、大学院生からの評価も概ね良好であった。合理的薬物治療の手順に関する新規教育手法である P-drugセミナーの臨床薬学教育への導入は有用であると考えられる。



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