高齢期、特に後期高齢期における健康と自立の維持を目的とし、老年症候群を予防するための新たな健診システムを開発し、本健診によってスクリーニングされたハイリスク高齢者に対して、その後の運動、栄養などの介入プログラムを効率的に運用するための新たな健診システムの有効性について検証しています。
研究キーワード:
- フレイル
- サルコペニア
- 認知機能
- 要介護
- うつ
- MMSE
- MCI
背景・目的
お達者健診研究では、東京都健康長寿医療センター研究所の周辺にお住まいの65歳以上の高齢者および過去に本研究にご協力いただいた方を対象に、包括的な健診をおこなっています。なお、所定の手続きを経て学術研究を目的とした板橋区の住民基本台帳の写しの一部閲覧を許可され、得られた情報から健診へお誘いしています。
お達者健診研究は、以下の4点を主な目的としています。
1)からだの状態、こころの状態を網羅的に調査し、それらが齢を重ねるごとにどのように変化していくのかを継続的に観察すること
2)自立喪失(死亡や要介護)や老年症候群(フレイル、サルコペニア、認知機能低下、尿失禁、転倒など)を予防したり、先延ばししたりする要因を明らかにすること
3)老年症候群のリスクが高い集団を対象に、健康教室を提供し、改善効果を明らかにすること
4)自立喪失や老年症候群の発生を予測したり、リスクの程度やその経過を把握したりできる有用かつ新たな検査法を開発し、その妥当性を検証すること
対象集団
現在、お達者健診研究には大きく分けて3つの対象集団があります。
- ・2011年集団 2011年時点で板橋区にお住まいの65歳以上の男女
- ・2017年集団 2017年時点で板橋区にお住まいの65~79歳の女性
- ・2019年集団 2019年時点で板橋区にお住まいの75~84歳の男女
主な調査項目
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運動機能 握力、膝伸展筋力、歩行速度、5回いす立ち上がり、timed up & go、シート式足圧接地足跡計測装置、Kinectによる立ち上がり動作・足踏み動作解析など 認知機能 Mini-Mental State Examination (MMSE)、日本語版Montreal Cognitive Assessment(MoCA-J)、National Center for Geriatrics and Gerontology-Functional Assessment Toolなど 栄養 身長、体重、身体組成、下腿周囲径、血液生化学検査(アルブミン、総コレステロール、ヘモグロビンなど)、食欲調査票(CNAQ-J)、簡易栄養状態評価表(MNA-SF)、食品摂取多様性スコア(DVS) 歯科検査 歯の状態、デンチャープラーク、舌圧、デンタルプレスケール、触診、反復唾液嚥下テスト、ガム、グミ、オーラルディアドコキネシスなど その他医学的検査 血圧、血算、HDLコレステロール、LDLコレステロール、HbA1c、血糖、クレアチニン、アミノ酸、アンモニア、Hs-CRP、ビタミンK関連マーカーなど 各種質問票等 基本チェックリスト、フレイル健診の質問票、自覚的認知機能、JST版活動能力指標、老研式活動能力指標、ADL(Katz index修正版)、要介護認定状況、自覚的健康度、既往歴、服薬数、お薬手帳、入院歴、痛み、転倒歴、転倒恐怖感、移動能力、SARC-F、尿もれ、運動習慣、座位時間、社会活動状況、飲酒・喫煙習慣、うつ状態(GDS短縮版)、睡眠、排便状況、家族構成、通学年数、新規サルコペニアスクリーニング指標、ペットの飼育状況、新型コロナウイルス感染症、インターネットの利用状況、ゲームの実施状況など