禁煙を達成して
▽東京都在住・男性 「タバコを止めてよかったこと」▽
1.はじめに
タバコを止めて約3年が経過しました。私が喫煙を始めたのは14歳・中学2年生の夏休みからです。ごく初期は遊び感覚でしたが、数ヵ月後には本格的に喫煙をするようになり、それ以来、25年間1日1箱(20本)のペースでラッキーストライクというタバコを吸い続けてきました。カラダに悪い、健康を害する、不経済、周囲にも迷惑、といったことはわかっていましたが、風邪で喉が痛い時ですら、ペースを変えることなく喫煙をしていました。
もちろん、「禁煙をしよう!」と試みたことが何度も(確か10回以上)あります。家族や友人等の近親者や、取引先、会社の上司・同僚から勧められて、あるいは条例での路上禁煙が施行された時にも、「この機会に止めよう」と固く心に決め、禁煙を試みたこともありました。しかし、せいぜい1ヶ月しかもたず、禁を破って元通りに戻っていました。
2.それはなぜか?
その理由は、私が「卒煙(タバコを止める)」ではなく、「禁煙」をしていたからだと思います。つまり、「タバコを止める」のではなく、「タバコを吸うことを禁ずる」ことを自分に課していたからです。
私にとって「喫煙」は生活習慣(生活の一部)でした。タバコを止めたことを話すと「精神力が強いですね」と言われることがありますが、これには違和感というか抵抗があります。「精神力が強い」、ということは、タバコを吸いたいと思う気持ちを「精神的に抑えている」状態だと思います。人は抑えつけられれば、バネと同じように、いつかは元に戻ります(人によっては反動でさらにリバウンドします)。反抗期の子どもと一緒で、他人から抑圧されると反発してしまいます。ですから、禁煙を続けることは、苦しい状態を我慢し続けるだけで、「一本だけ吸おうか?」とか「喫煙者の近くでにおいを嗅いで我慢しちゃおう(受動喫煙)」といった誘惑があると、なし崩し的に崩壊します。
タバコを止める(依存からの脱却)には2つのステップがあることがわかりました。
1つ目のステップは「肉体的な依存」からの脱却です。これは集中的に大量の水分を摂取することで比較的早く(約1週間程度)に脱却できます。脱却期間中は「頭がボーっとする」とか「喉が渇く」といった禁断症状に悩まされます。しかし、これを過ぎるとカラダがニコチンを欲しがることは少なくなります。
この次のステップは「精神的な依存」からの脱却です。これが非常に厄介で、過去にこのステップで失敗してきました。禁煙している最中の「周りの喫煙者への羨望」、「飲酒時の喫煙欲求」、「このまま一生タバコが吸えなくなるのは辛い」といった未練など、襲い掛かってくる誘惑にあっさり負けていました(笑)。
3.では、なぜ止められたのか
私の場合、答えは二つあります。
1つは「タバコを吸う大義名分を、ひとつひとつ自分で考えて、自己否定したこと」です。これまでの私は、「タバコを吸うことは自分にとっていいこと、仕方ないことなんだ」と言い聞かせていました。あたかもタバコを吸うことを正当化するようにです。例えば
・ タバコを吸わないとイライラする。
・ 禁煙するとご飯がおいしくなって太る。
・ タバコはおいしい。
・ もう今さら止めたところで肺はキレイにならない。
・ 上司とのコミュニケーションに必要だ。
・ タバコを吸うとかっこいい。
・ タバコを吸うと緊張感が高まる。
・ タバコは眠気覚ましになる。 Etc
上記の後に必ず来るのは、「だから私にタバコは必要なんだ!」という誤った言い訳(大義名分)です。でもこれを1つ1つ自問自答しながら、自己否定してみました。
【タバコを吸わないとイライラする】
×本当にそうか?それならこの世のタバコを吸わない人は全員イライラしている?→NO
×自分は特別なカラダなのか→NO
【禁煙するとご飯がおいしくなって太る】
×本当にそうか?それならこの世のタバコを吸わない人は全員太っている?→NO
×自分は特別なカラダなのか→NO
【タバコはおいしい】
×本当に本当?→じっくり冷静に考えたことはあるのか?
×自分の一番好きな食べ物と比べてどっちが美味しい?→食べ物の方が美味しいに決まっている
×初めて吸ったタバコは美味しかった?思い出してみよう→マズイ
×子どもの頃に大人が吐くタバコの煙はどうだったか?→いやだった
【もう今さら止めたところで肺はキレイにならない】
×肺はきれいに戻らないから吸うのか?
×上記の理由は吸い続ける言い訳にはならない。
×元々肺が汚れるのがわかって吸っていたのだから当たり前
【上司とのコミュニケーションに必要だ】
×本当にそうか→タバコがないと上司とコミュニケーションが取れないような仕事なのか?
×コミュニケーションと喫煙は無関係ではないのか。
【タバコを吸うとかっこいい】
×そもそも、なぜタバコを吸うとカッコいいのか?
×単なる思い込みにしか過ぎないのでは?
【タバコを吸うと緊張感が高まる。眠気覚ましになる】
×刺激物なので覚醒作用はあるが、有害な物質を体内に入れてまで緊張感を高める必要がどこにある?
×他にも代用品があるのでは?→非喫煙者の全員集中力がないわけがない
×眠いときにはカラダがサインを送っているのだから、そのサインを無視するのはかえってカラダに良くない。
すると、今まで自分がどれだけ、喫煙生活に妥協をしてきたかがわかりました。卒煙をした今でもこの「自己否定」の行為は「反すう」する意味もあり、時々行っています。
2つめは、タバコのない生活がどれだけ素晴らしいかを想像し、実感し、それを継続し続けることです。具体的には以下です。
【タバコの確認作業をしないで良くなった】
喫煙生活時には、会社に行くときなど、外出時に「タバコを持ったっけ?」、「タバコが残り少なくなっていないかな?」、「ライターのガスはまだあるかな?」といったことを確認していました。タバコを吸わなくなったら、こんなことをいちいち考えなくても良い。ほんとにラクチンです。
【タバコを買わなくて良くなった】
喫煙者にとって、タバコの購入はけっこう面倒な行為です。まず、自分の銘柄(同じ銘柄でも長さやシリーズが違えば味が違い、満足できません)のあるタバコ店やコンビニ、タバコ自販機を自分が通るルート上のどこにあるかを覚えておくことが必要です。また、小銭があるかのチェック、最近ではタスポ(私の時はまだありませんでした)の携帯有無、23時以降の本人確認(免許証)対応の販売機がどこにあるか?(23時以降は自販機での購入はできませんが、上記の販売機は免許証を入れることで購入ができたので、帰り道で購入してました)も確認しておく必要がありました。さらに、行楽地や自然の多い観光地などでは、近辺にタバコが売っていないためにクルマでグルグルと探し回ったこともありました。東京ディズニーランドに行った時などは特に悲惨で、園内でタバコを切らしたために、一旦パーク外に出て、舞浜駅の売店まで歩いて買いに行きました(園内の販売店では自分の銘柄がなかったからです)。今となっては笑い話ですが、いつも買っていた自販機がたまたま品切れだと、かなりガッカリしました。また、ある時はいつも買う自販機の陳列から自分の銘柄が外された(不人気のため)ため、お店の人にお願いしたこともありました。(バカな話ですが、その自販機からその後外されないようにと、一生懸命、自分の銘柄を買い続けたこともありました。)こんな、タバコ購入の苦労から解放されて、ほんとに良かったです。
【タバコを吸う場所を考えないで良くなった】
これがもっとも面倒でしたし、ラクになったのを大きく実感しています。都内の条例でタバコの路上禁煙が施行され、外で吸う事ができなくなった頃のことです。これにあわせ、近隣のレストランではランチタイムを禁煙とする店がどんどん増えていき、喫茶店ですら昼食の時間帯が禁煙になり始めました。「喫煙可」の喫茶店もないわけではないのですが、数が少ないため、喫煙者で席の取り合いになり、なんと行列ができていました。食後の一服をする場所がなくなったため、仕方なく、同僚とタクシーに乗車し、1メータか2メーター分を適当にグルグル走ってもらい、その間、車内でタバコを吸いだめしてました(今はタクシーも全面禁煙ですが、当時はまだ大丈夫でしたので、都内に勤める喫煙者には有力な喫煙スポットでした)。会社内では喫煙ルームは各フロアにはなく、別フロアにわざわざ出向き、狭い喫煙ルーム(なぜか狭いのです!)に行って吸っていました。これも大抵は満室で、順番待ちで喫煙することも時々ありました。また、食事会等でレストランに行く時などは、全席禁煙が当たり前なので、我慢するか食事会の出席を諦めるかしていました。ですから、お店選びは「喫煙可からスターとする」という枝葉末節な状況になっていました。ファミレスや喫茶店などは「分煙」もありますが、これも色々悩ましいことがあります。分煙の場合は「喫煙席」の希望を店員に伝えるのですが、満席で待たされ、「禁煙席希望」や「どちらでも良い」という他のお客さんに抜かれ、なかなか自分の順番が来ないのです。さらに同行者が非喫煙者ですと、とにかく申し訳ない気持ちで一杯になりました。また、喫煙席に着けても、たまたま近くに妊婦さんがいて、吸えないといったこともありました。もちろん、吸う時には同席者に「吸ってもいい?」と喫煙許可を求めるなどの苦労も多かったです。
通勤電車や新幹線でも大変でした。駅は基本的に禁煙なので、駅外の喫煙スペースで通り過ぎる人からの冷ややかな視線を感じながら吸い、新幹線も喫煙席は満席だったりして乗りたい列車に乗れない。また、同乗者が非喫煙者ですと別車両になりますが、非喫煙の上司と同行ですとそうもいかず、禁煙車に乗りながら、時々席をはずし、喫煙車両まで歩いて行き、喫煙して戻る行為を数回繰り返していました。さらに、飛行機はもっと大変です。出発前に空港内の喫煙ルーム(当然場所はチェック済み)で吸い溜めをしてから搭乗、到着地に着いたら、慣れない現地の空港で喫煙ルームを探さなければなりません。これは通常のパターンですが、時間ぎりぎりに空港到着すると喫煙時間がなくなってしまうこともあり、そのために少し早めにでることをしました(喫煙のために)。もっと悲惨なのが海外旅行です。アメリカに行ったときは、成田空港で吸ってからは現地で全く吸うことができず、時差ぼけのカラダのだるさとタバコが切れたことによる禁断症状で気持ちが悪くなりました。その結果、海外旅行が嫌になった時期もありました。
他にも喫煙場所での苦い経験は、例えば自宅では換気扇の下で吸わなければならない、タバコを吸わない友人宅に遊びに行った際も吸えずに苦しみ、館内禁煙施設に行った際には冬空の寒い中震えながら喫煙しました。また、自分のクルマでも、同乗者が非喫煙者の場合は運転中に吸えず、高速のパーキングに何度も立ち寄ったり…などと、とにかく苦労が多くありました。この苦労から開放された今は本当に嬉しい毎日を送っています。今でも、駅の外の喫煙スペースのもうもうとした中でタバコを吸っている人を見ると、「あー、やめてよかった」と身にしみて感じています。
【タバコ臭さからの解放されたこと】
タバコを吸っている自分は、タバコの臭いに麻痺していて、わかりませんでしたが、禁煙をしている時に喫煙者が発するタバコ臭さがハッキリわかるようになりました。また、居酒屋等で周囲が喫煙をしている中にいると、帰宅してスーツを脱いだ服がタバコ臭くなっていることに気づきました。そこで思ったことは「自分も喫煙している時は周りから、臭いと思われていたんだなぁ」ということです。なるべく他人には煙が行かないように横を向いて喫煙をするなど、気を使っているつもりでしたが、それでも自分が他人に迷惑をかけていたんだなぁと改めて思いました。また、タバコ生活から解放されれば、そんな気を使う必要もなくなり、面倒がまた一つ減りました。これも非常に嬉しいことです。
以上のようにタバコをやめたことによって、どれだけラクになったか、面倒が減ったかを実感しました。
もちろん、これ以外にも細かなことですが、例えば「ポケットにタバコのカス溜まらなくなった」、「クルマの車内に灰が飛び散らなくなった」、「クルマや家の灰皿を交換しないでよくなった」、ちょっと変ですが「鼻毛が伸びなくなった(笑)」等々、喫煙生活では味わえなかった素晴らしい生活が送れるようになりました。
4.最後に
色々と私のつたない経験を書きましたが、きっとこれを読まれた皆さんは、「どうしてそこまでしてタバコを吸うんだろう?」と思われたかもしれません。私自身もタバコをやめた今となってはこの疑問はよくわかります。
しかし、喫煙をしていた時の私(喫煙習慣者)には、わけもわからず、とにかく必死にタバコを吸う毎日だったのです。あたかも、タバコという魔物に執りつかれたかのようにです。私もそうでしたが、渦中の喫煙者は、きっと「もがき苦しんでいる」と思います。頭では「喫煙がよくないこと」というのがわかっていても、それができないことに対してです。
私のタバコをやめてからの生活は、一言で言うと「楽になった」、「面倒が減った」ということで、大げさな言い方かもしれませんが、タバコの呪縛から解放された喜びをひしひしと感じています。ですから、まずは、タバコをやめた生活がどれだけ素晴らしいかを、イメージすることが大事だと思います。そして、禁煙して、それを実感できれば、無煙生活により一歩近づけます。「タバコをやめて本当に良かった」この思いを、ぜひ多くの人に味わっていただきたいと思います。
私は今まで喫煙してきたことを後悔していません。むしろ、喫煙生活から脱却し、素晴らしい世界を体験できたことに喜びを感じています。変な言い方かもしれませんが、今、喫煙している方はこの「素晴らしさ」を体験できる貴重なチャンスを持っていると思っています。ぜひ、チャンスを生かして欲しいと思います。
▽49歳・男性 「禁煙したいけど自信がないという方へ」▽
つい1ケ月前までは私もまったく同じ気持ちでした。 自分の健康や家計のためにも、タバコをやめた方がいいという事は、頭の中ではよーく判っていましたが、いざやめようと思っても「吸いたくても吸えないときの苦しさ(ストレス)」のことを考えると、とても禁煙を実行に移すことができずにズルズルと年を重ねてきました。
今回、この診療所に行く前にも、一度別の医療機関の禁煙外来を訪ねてみましたが、禁煙できる自信がなく、行っただけで終わっていました。でもやっぱり「やめられるならやめたい」と思い、この診療所に来ました。先生にはとても優しく接していただき、それまでは「失敗したらどうしよう」という切羽詰まって いた気持ちが「成功したらもうけもの」という気軽な気持ちになり、決意書にサインしました。
あれほど自信がなかったのに、なぜサインしたかというと、まずこの治療法はいきなりやめるのではなく、「吸いながら」やめるということ、もう一つは同じ治療方法で禁煙に成功した会社の同僚の話を聞いていたからです。
その同僚の話によると、「朝と夜に錠剤を1錠飲むだけで、あとは普通にタバコを吸っていたが、だんだんタバコの味がしなくなり、タバコを吸った後のなんとなくホッとするというか、落ち着く気分がまったくなくなるよ。吸っても吸わなくても一緒というか、吸わなくても全然苦しくないよ」という話しでした。
「ほんとにそんなうまい話しがあるのだろうか」と半信半疑な気持ちもありましたが、「もしほんとならひょっとしたら自分も苦しまずに楽に禁煙できるかな」という期待感もあり、挑戦してみることにしました。
で、いざ始めてみると、最初は以前と変わりなくタバコを吸いたいと思う気持ちと、吸った後のホッとする気持ちがありましたが、3〜4日経つと明らかに感触が変わってきました。吸ってもおいしくないというか、味がしなくなり、吸った後のホッとする(落ち着く)という気持ちがホントになくなってきました。そうするとあれほど自信がなかった禁煙ですが、「ひょっとしたら自分も禁煙できるのでは」という期待感に変わってきました。
この治療は、最初の1週間は薬を飲みながら、これまで通りタバコが吸えて、8日目から禁煙するというスケジュールですが、1週間も経たないうちにひょっとしたらという期待感がどんどん強くなり、5日目あたりから、練習がてらに何時間か禁煙してみようと思うようになりました。実際にやってみたら、完全にではないですが、信じられないくらい「吸いたくても吸えない苦しさ(ストレス)」がなく、プチ禁煙ができました。
もうホントに自分でも信じられないくらいうれしかったです。そのうれしさがだんだん自信に変わってきて、今1ケ月を過ぎようとしています。
今ではタバコのこと自体を時々思い出すくらいで、思い出しても吸いたくてたまらないということはまったくありません。ホントに感動ものです。
もちろんだますつもりはありませんが、だまされたと思って、皆さんも一度試してみてください。
▽28歳・男性 「新たな自分に。―禁煙で学んだこと―」▽
<禁煙を始めたきっかけ>
禁煙を始めようと思ったきっかけは、ふとしたことから。「やめようと思えばいつでもやめられる」と自分で言い聞かせながら吸っていたタバコ。過去に一度ニコチンガムで禁煙して失敗に終わった経験があったものの、最近よく目にするニコチンガムのCMを見て「禁煙っていいかも。」と思い始めたのがきっかけである。
過去の失敗があったから、以前と同じ結果を招いてしまわないよう、禁煙に挑戦するなら今度は前回と少しやり方を変えてみようと思っていた時、医療機関での処方もあるということを聞いた。それで禁煙セラピーのように禁煙の相談にでも乗ってもらおうという軽い気持ちで、試しに診療所を受診することにした。
受診初日。まず、「やめようと思えばいつでもやめられる」という自分の認識は間違いで、自分が単にニコチン依存症であることを自覚することとなった。今まで感じていた、「ストレスのせいでタバコがやめられない」とか、「タバコがないと休憩した気にならない」はすべて間違った認識で、原因はストレスでも疲労でもなく、単にニコチン依存の症状だということが分かった。自分のまさにこの状態こそがニコチン依存なのであった。ニコチン依存については、これまでにも知っていたつもりではあったが、改めて自分と重ね合わせてみると、その症状1つ1つが自分に実感を伴って当てはまり、自分には治療が必要であることを自覚せざるを得なかった。そしてそれが「絶対成功させてやろう。」という思いにつながっていった。禁煙成功には正しい知識も必要である。医療機関に相談してみて良かった。その時そう思った。
<禁煙治療中の思い>
禁煙をする上で、自分の一番の不安は、「タバコ無しで自分はやっていけるのか」ということ。運転中はどう我慢すればいいのか、レストランではどう我慢すればいいのか、仕事でストレスがたまったらどうするのか、現実のうさから逃げたい時はどうするのか、そもそも果たして我慢に耐えられるくらい自分は意思が強いのか。タバコからの逃げ方が分からない不安でいっぱいだった。しかも一度失敗している。しかし、そんな思いは最初だけで、診療所で処方してもらった薬が、そんな不安を感じさせる暇がないほど効果があり、想像以上に楽に禁煙できた。
禁煙がうまく行きだしてから、だんだん生活面、心理面が変わっていくのを感じた。それは、これまでタバコを吸っていた時間による物理的な余裕もあると思うが(単純計算でタバコ1本で約3分だとすると1日1箱(20本)で60分)、何かしら自信が持てるようになった。今まで「禁煙なんか」と思っていた時と違い、「自分にもできるんだ」という気持ち。そんな小さな気持ちの変化が、他のことにも波及していき、禁煙に対してだけでなく、他のいろいろなことに「やってみよう」とか「できるかも」と思うようになり、それがきっかけで趣味や遊びの範囲が広がって、タバコを吸っていた頃よりもむしろ、仕事をする時間と休む時間、オンとオフの切り替えがかえってよくなっていった。
禁煙治療も終わりに近づいてきた頃、その段階での先生の相談はほとんど、病院での治療が終わってからのことについてが主になってきた。薬を飲まなくても、果たして禁煙を維持できるのだろうか、ということである。そんな時先生から聞いた言葉がある。それは「セルフ・コントロール」ということ。タバコを吸いたくない、ということではなく、タバコを吸わないでやっていこうという意志、自分を律することができるかどうか、それがカギだということ。それを聞いてからはよく、自分を律するということについて考えるようになった。そしてだんだん自分の生活を振り返ったり、これからの生き方まで考えたりするようになった。
<禁煙治療を終えて>
タバコはかっこいいものではない。今ではそう思う。それよりもむしろ趣味や特技が活発で生き生きとした人の方が魅力がある。禁煙前に感じていた不安は今では少しも無い。むしろ禁煙の恩恵の方が大きい。まず、時間の使い方が変わった。これまでちょっとの隙間時間(3分くらい)を見つけてはタバコを吸い、その3分で自分だけの世界にこもっていたが、今ではその3分で本を読んだり、雑誌を見たり、ニュースを見たりと、たった3分だが充実したさわやかな気分転換をしている。また、仕事のメリハリが良くなったり、1つ1つの作業にじっくり取り組めたりできるようになったような気がする。人付き合いもよくなって、外に出る機会が多くなった。趣味を増やそうという気持ちになった。
診療所での治療を終えた現在、これから薬無しで、もしタバコを吸いたくなったとしても、前のように戻ってしまわないかという不安は感じていない。それはこれまで気づかなかったタバコより大事な、時間の使い方やお金の使い方、より自分らしい生き方があることに気付いたから。タバコに振り回される生活ではなく、自分でコントロールしていく自分らしい生活を送りたいと思えるようになったから。およそ3ヶ月間の禁煙生活から学んだことは、単に我慢することではなく、セルフ・コントロールすること、つまり(ニコチン依存になってしまった)自分に流されるのではなく、自分の意思を持って、自分で行き方を選ぶことである。
▽35歳・男性 「いたって健康な私にとって禁煙は不必要なことと思っていました。・・・」▽
いたって健康な私にとって禁煙は不必要なことと思っていました。医療関係の仕事している私はある日、T先生と仕事の話をしようとしていたところ先生より、「うちは、タバコと吸う業者は訪問禁止だよ!」と笑っていわれました。私は「はぁ・・」と苦笑しましたが、タバコのにおいは自分では気づかなくても吸わない人にはすぐわかるのだなあと思いました。先生から「禁煙してみない?」と言われたとき、正直気がすすみませんでした。(国が認めた嗜好品だし、税金たくさん納めているのだから!!)でも、「まぁ、一応やってみようかな。先生も勧めてくださるし、ダメモトで」と軽い気持ちで禁煙外来を申し込みました。
初診で先生からタバコとは!・・・・という感じで15分くらい説明をうけました。自分でも大体のことは知っているつもりでした。それを承知で吸っていましたので。ただ、先生のお話を聞いているうち、タバコっていいことないのだな。吸わないに越したことないなと感じてしました。(先生のご説明は熱心で上手でした。)
先生より、禁煙の方法はどうしようか?と言われて内服や貼り薬などのご紹介を受けましたが、私は、チャンピックスという内服薬を飲みながらの治療を選択しました。理由は、いきなり禁煙するのではなく、タバコを吸いながら禁煙できる方法だからです。実際にチャンピックスを服用してみて2日後にはビックリすることが起きました。タバコが不味く感じてきたのです。味が辛いというか苦いというか、とにかく今までとは感覚が違いました。先生から「それがタバコの本当の味だよ」と言われて、なんだか納得しました。
でも、今まで15年間1日20〜30本吸ってきた私にとって喫煙は習慣になっており、それでもタバコは吸い続けていましたが、徐々にタバコの本数が減ってきて、1週間後には1日4から5本程度に減っていました。2回目の外来で先生より、「禁煙はできそう?」と言われましたので、私は「タバコの本数は減ってきましたが、完全にやめるとなると自信がありません」と伝えました。先生は「だったらもう少し吸いながらでいいよ」と言ってくれましたので、また薬を飲みながら、タバコを吸いながらの1週間を過ごしました。時にはタバコを吸わない日がでてきて、治療を始めて3週間後にはほとんど吸わない(1日に2〜3本程度)になりました。
次の診察時に、先生から「じゃあ今日から禁煙してみよう!」と言われましたので、「とうとうこの日がきたか・・」と半分寂しい気持ちもありましたが、ほとんど吸ってなかったこともあり、禁煙には自信がありました。しかし、いざ禁煙と決まると吸いたくなるもので、「タバコ吸いたいなぁ」と思いながら数日我慢しているといつのまにか吸いたい気持ちもなくなり、自然にタバコから気持ちが離れていきました。
今では、正直タバコを吸ってもよいが、吸わなくてもよいので吸ってない状態です。今考えてみれば、なにげなくタバコを吸い、なにげなく吸い続けていたのだと実感しています タバコは少し我慢して、薬の力を借りれば簡単に辞められます。興味があれば一度試してみてはいかがですか?
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