医学論文・記事の紹介コーナーです



肺がんと診断されても禁煙した方が長生きできる
喫煙者が肺がんを患っていると診断された後でも、死刑宣告を受けたようにとらえずに禁煙すれば、生存の可能性はかなり高まるという研究結果が22日、英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical Journal、BMJ)」(電子版)に発表された。 喫煙とがん患者の生存率に関する研究論文10本を精査した英バーミンガム大学(Birmingham University)の調査によると、肺がんと診断されても喫煙し続けた人では5年後、29〜33%しか生存していなかったが、診断後すぐに禁煙した人では、63〜70%が生存していた。(2010年1月22日 AFP)
BMJ 2010;340:b5569, doi: 10.1136/bmj.b5569


喫煙が急性および慢性膵炎のリスクの増大に関係 (2009年4月17日m3.comより抜粋)

喫煙が急性および慢性膵炎のリスクの増大に関係するというコホート研究結果が『Archives of Internal Medicine』に発表された。 研究コホートはデンマークの女性9,573例と男性8,332例で、調査開始時に身体所見を採り、生活習慣に関する自己回答式質問票に回答してもらい、平均20.2年間追跡した。喫煙と急性・慢性膵炎との間に用量反応関係が男女ともに見られた。1日に15から24 gのタバコを喫煙する者の膵炎発現のハザード比(HR)は、女性が2.6(95%信頼区間[CI]は1.5 - 4.7)、男性が2.6(95%CIは1.1 - 6.2)であった。 膵炎リスクの増大にはアルコール摂取量が関連しているが(1日の飲酒量が1杯増えるごとのHRは1.09、95%CIは1.04 - 1.14)、喫煙と膵炎リスクとの繋がりは、アルコールおよび胆石疾患とは独立していた。このコホートでは、膵炎症例のおよそ46%が喫煙で説明できた。 
Arch Intern Med. 2009;169:603-609


ピロリ菌+たばこ、胃がんリスク11倍 九大調査 (2009年4月6日朝日新聞)

胃の粘膜に細菌ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)がいると、胃がんになるリスクが高まる。特にたばこを吸っていると、そのリスクが跳ね上がることが、九州大グループによる福岡県久山町の住民の長期追跡調査でわかった。ピロリ菌感染がなく、喫煙もしない人と比べると、胃がんリスクは11倍になるという。 88年に健康状態や生活習慣を調べた40歳以上の男性約1千人のその後を02年まで追跡した。全体の半数が喫煙者で、77%にピロリ菌がいた。 調査期間中に胃がんになったと確認されたのは68人で、内訳はピロリ菌感染・喫煙者が411人中37人、ピロリ菌感染・非喫煙者が412人中24人、ピロリ菌非感染・喫煙者が121人中6人、ピロリ菌非感染・非喫煙者が126人中1人だった。 塩分摂取量の多少や胃腸の潰瘍(かいよう)にかかった経験の有無、年齢など、胃がんの発症に関係しそうな要素の影響を除いて、胃がんリスクを計算すると、ピロリ菌感染者は非感染者の2.7倍。喫煙者は非喫煙者の1.8倍だった。 さらにピロリ菌感染と喫煙の有無で四つのグループに分けて検討すると、最もリスクが低い「ピロリ菌非感染で、たばこも吸わない」人と比べ、非感染の喫煙者は5.8倍、喫煙しない感染者は6.9倍。感染と喫煙が重なると11.4倍だった。ピロリ菌で胃が傷むのに加え、たばこの発がん物質にさらされる影響が大きいらしい。 日本では40代以上の男性の7割、女性の6割ほどがピロリ菌に感染しているといわれ、年間約10万人が新たに胃がんと診断されている。除菌が有効とみられているが、公的な医療保険が使えるのは胃潰瘍などの患者に限られている。 研究の中心になった清原裕教授は「除菌は胃がん予防の大きな手段だが、ピロリ菌だけが胃がんを起こすわけではない。除菌をする人にはまず禁煙が必要だ」といっている。(田村建二)