はじめに

  近年の頭部画像診断法の進歩により、進行性の大脳白質障害を的確に見出すことが可能となり、画像所見のパターンにより鑑別診断まで行うことができるようになっています。進行性に大脳白質に障害を生じる疾患には、副腎白質ジストロフィーやミトコンドリア異常による疾患など、代謝異常によるものも含まれるため、画像所見のパターンから的確な代謝スクリーニング検査を選択して実施し、最終的な診断を得ることができるものもある一方、leukoencepalopathy with vanishing white matter (VWM)のように、遺伝子診断以外に最終的な結論が得られない疾患も含まれます。これらは疾患概念が確立していないばかりか鑑別のためのアルゴリズムも浸透しておらず、なかなか診断に辿り着かない場合が多く存在します。
  平成26年度より厚生労働省難治性疾患政策研究事業として採択された本研究では、疾患概念を確立させ、より効率的な鑑別診断方法を開発し、将来の治療に結びつけることを目標としています。

研究代表者 東京女子医科大学統合医科学研究所准教授 山本俊至