進行性大脳白質障害とは?

【概念】

進行性に大脳白質が障害を受ける疾患群。頭部MRI画像検査上、信号強度の異常(T2W high)や脳室拡大が進行する。進行経過は疾患、あるいは症例毎に異なる。感染症や交通外傷を契機に階段状に進行することがある。大脳白質障害による痙性麻痺や知能障害、てんかんなどの症状を示すことがある。

【本研究の対象疾患】

遺伝子診断のみが可能な鑑別疾患
1 Megalencephalic leukoencephalopathy with subcortical cysts (MLC)
2 Childhood ataxia with central hypomyelination/vanishing white matter (CACH/VWM)
3 Leukoencephalopathy with brain stem and spinal cord involvement and lactate elevation (LBSL)
未分類
4 鑑別不能例

【鑑別疾患】

大脳白質が進行性に障害を受ける疾患には表に挙げるような鑑別疾患が挙げられる。このうち副腎白質ジストロフィーやAlexander病などはすでに疾患概念が確立しており、酵素診断など診断法も確立している。その一方、vanishing white matter病(van der Knaap病)やMLCは生化学的な検査による診断法はなく、確定診断のためには遺伝子診断を行うしか方法はない。ただ、実際にはこれらの疾患が疑われても、遺伝子診断で診断が確定する例は半数以下に過ぎない。

鑑別すべき疾患;生化学的な診断が可能な鑑別疾患など(本研究の対象外)
Alexander病
Metachromatic leukodystrophy
Krabbe病
Canavan病
Sjogren-Larsson症候群

【除外事項】

中枢神経感染症や悪性腫瘍などの外的要因によるものは除外する。

【臨床症状】

運動発達の退行 進行性の痙性麻痺、小脳失調など(程度はさまざま)
知的発達の退行 進行性の知的障害
てんかん 進行性(必発ではない)