スウェーデン日記

No. 5 ストックホルムの秋

1999/10/28


 

ストックホルム郊外のシグツーナにて

 すでにストックホルムでは晩秋の気配が漂っています。木はもう紅葉して風が吹くと散り始めているような状況です。

 去る週末に、シグツーナというストックホルムの郊外の小さな古い町に行ってきました。ここはスウェーデンの中でも私がもっとも気に入っている場所のひとつです。小さな木造の古い家屋が町並みをなしていて、なんともいえない心地よさのある町なのです。シグツーナはメラーレン湖に面しているのですが、この湖はストックホルムの市庁舎の前までつながっています。また、古い教会の廃墟なども残っています。

メラーレン湖畔にて

 もうこの季節になると、けっこう冷え込むようになります。夜などはすでに氷点下になることもあります。天気は晴れたり降ったりですが、そんなに土砂降りになることはありません。

 9月の末くらいのことですが、もう明らかに夏が終わって秋が来たといった感じの頃に、スウェーデン人の友人の一部がなんか元気がなくなったのを思い出します。もともととても明るい人たちでさえ、ちょっと元気がなくなったのが明らかになったときには、本当に驚きました。

 今ではみなさん大丈夫なようですが、「一過性の季節性鬱」みたいなものだったのでしょうか。それでも冬場の日照不足は、「冬期鬱」になる人がいるそうです。スウェーデン人の医者が「光線療法」(強い光を患者さんに照射する)が実際に有効だと言っていたので、本当に日照不足がこの症状に関連しているようです。

 私自身は、とりあえず現時点までは、この環境の変化に耐性があるようです。それでも多くの友人が「11月はきついよ」と私を脅します。それでもきっと忙しすぎて、鬱になっているひまなどないような気もしますが。

 秋という季節に対する感情は、日本とスウェーデンではだいぶ違うようです。スウェーデンでは秋という季節に対してはネガティブなイメージが強いような印象を受けますが、日本では多くの人が大好きな季節ではないでしょうか。日本の夏があまりにも蒸し暑いせいからかもしれませんが、日本だと、果物やキノコや魚といった旬の味覚の楽しみが大きいような気がします。なにをかくそう、私もその一人です。スウェーデン人の友達から聞いた話では、スウェーデンでも秋には森にキノコ狩りに行くそうですが、日本ほど秋の味覚に大騒ぎというわけではなさそうです。確かにザリガニは旬の味覚としてすごい人気がありますが、8月の下旬がベストの時期なので、これは秋というよりは晩夏の味覚といったほうがいいでしょう。

白樺が美しく色づいています

 天気さえよければ、スウェーデンの秋はとても美しいと思います。さっぱりとしたすがすがしい空気、きれいに色づいた紅葉、ちょっと弱々しい陽光。けれども、みなさんの元気をそぐようなどんよりとした曇り日が多いのも事実です。

研究所の前にて

 けれども、私の心配は、すでに冬をいかに過ごすかという点にあります。冬場は氷点下20度まで下がるとのことなので、無事乗り切れるか、ちょっと心配です。

追記 10月28日のasahi.comにスウェーデンでも日本と同じ松茸が存在することが報告されていました。詳しい情報が以下のサイトで読めます。

http://www.mykopat.slu.se/ex/Niclas/matsutake.html

 これで運が良ければスウェーデンでもただで松茸を手に入れられるかな?


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Last Updated 1999/10/28

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