スウェーデン日記

No. 3 ストックホルムで見つけた"Made In Japan" Part 1

1999/08/18


 

ストックホルムで見つけたインスタントラーメン(左:チキン味 右:トマト味)

 

 だいぶ前になりますが、「日本でなされた三大発明は、ウォークマンとカラオケとインスタントラーメンである」といったような文章を読んだことがあります。これが本当かどうかは知りませんが、世界中のどこでも見かけるのは確かです。

 ウォークマンは最新のCDやミニディスクといったデジタル機器に押されてやや過去のものになりつつある印象がありますが、カラオケとインスタントラーメンはその土地ごとのライフスタイルに適応しながら進化しつづけているようです。これらは私が思っていた以上にストックホルムでもポピュラーなものでした。そして同時に、彼らはこの土地で進化をとげていたのです。

 こないだの週末に、はじめてスウェーデン流のカラオケというものを見る機会があり、発祥の地である日本のそれとはずいぶん違うものだなぁ、との印象を受けました。私が行ったカラオケバーは四五十人程度の客席があり、全体で一台のカラオケの機械を共有する形になっていました。おそらくプロの歌手と思われる女性が一人いて、カラオケの機械の操作をしていました。彼女は、ときに一人で歌ったり、また、客と一緒に歌ったりします(助け船という説もありますが)。このスタイルは私が知る限り日本ではあまり一般的でないように思われます。たいてい、日本ではもっと小さなスナックと呼ばれるような店に置いてあるか、あるいは個室になっていて、知らない大勢の人の前で歌わなくて済むようになっているからです。概して言えば、若い人には個室があるカラオケ屋の方が人気があるように思われますが、たぶん親しい友人だけで楽しめるからでしょう。対照的に、スウェーデンのカラオケバーでは、たとえお互い見知らぬ間柄であっても、店にいる全ての客があなたの歌に耳を傾ける形になります。まるであなたが主役のショーみたいですね。

 まぁ、それぞれのシステムに長所があると思うのですが、こちらの友人たちにカラオケの語源(カラのオーケストラ)を説明したところ、ずいぶん驚いていました。

 インスタントラーメンの話をすれば、私の同僚のスウェーデン人の研究者曰く、「その安さと調理の簡便さゆえ、多くの金のない若い人たちの財布と命を救った」とのことです。これはもう世界的に共通な側面かもしれません。もちろん、これがいわゆる「ジャンクフード」の類だというのは私も分かっているのですが、それでも私はスウェーデンに来た直後にホームシック気味になっていたときに、一杯のインスタントラーメンにいたく心を洗われたことを告白しなくてはなりません。もう、はじめてスーパーで見つけたときには本当に嬉しかったですし、ひとりわびしく異国の地でそれを口にしたときには、本当にうれし涙が出ました。

 おもしろいことにスウェーデンでは「トマト味」とかいったイタリアのスパゲッティ風のソースが付いたインスタントヌードルがかなりポピュラーのようですが、これは日本ではあまり見かけないものです。これも、インスタントラーメンの現地適応の一環と言えるかもしれません。

 けれども、これらだけが私がストックホルムで見つけた"Made in Japan"ではありません。この続きは、またあらためて書こうと思います。

 

 


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Last Updated 1999/08/18

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