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オートファジーの活性を簡便かつ定量的に測定できる新規プローブの開発(貝塚、森下)

Kaizuka T*, Morishita H* (* equally contributed), Hama Y, Tsukamoto S, Matsui T, Toyota Y, Kodama A, Ishihara T, Mizushima T, Mizushima N.

An autophagic flux probe that releases an internal control.

Mol. Cell, 2016 Nov 17;64(4):835-849.

 オートファジーの分子機構や生理・病態生理学的意義を研究するうえで、オートファジー活性の定量的な測定法の存在は必須となります。これまで、オートファジーの活性を測定する方法が種々報告されてきましたが、熟練を要するものや、2種の細胞の比較を要するものなど、簡便さ、感度、特異性などにまだ課題が残っているのが現状です。さらに、モデル動物でのオートファジー活性測定は非常に困難でした。

 今回、私たちは簡便かつ定量的にオートファジー活性を測定できる新規プローブとしてGFP-LC3-RFP-LC3ΔGを開発しました。本プローブは細胞内で合成されると直ちにATG4によって切断され、GFP-LC3とRFP-LC3ΔGを一対一の量比で生成します。GFP-LC3は細胞質中では緑色の蛍光を発しますが、オートファゴソーム膜に局在化してリソソームに運ばれると蛍光を発しなくなります。一方、RFP-LC3ΔGはオートファゴソーム膜への局在化に必要な末端のグリシン(G)を欠くため細胞内に留まり、プローブの発現量を反映する内部標準となります。したがって、GFPとRFPの蛍光強度の比が、オートファジー活性の指標となります。例えばGFP/RFP比が低いほど、オートファジー活性が高いことを示唆します。

 本プローブを用いることで、培養細胞だけでなく動物個体内でもオートファジー活性を測定できることを示しました。例えば、マウスやゼブラフィッシュなどの受精卵や特定の細胞・組織では、高いオートファジー活性を認めることがわかりました。さらに株式会社LTTバイオファーマとの共同で、同社が独自に構築した既承認薬ライブラリー(日本とアメリカで市販されている医薬品だけを集めた化合物ライブラリー)を用いてのスクリーニングを行い、新規オートファジー誘導薬・阻害薬を同定しました。今後、本プローブの利用によってオートファジーの基礎研究や疾患研究が進展することが期待されます。

◎本論文の詳細は東京大学医学部HP掲載記事(PDF)をご覧下さい。

◎本論文はMol CellのFeatured Articleとして取り上げられました。

◎Mol CellのMeet the authorsに貝塚さんと森下さんの自己紹介記事が掲載されました。

◎本論文の紹介記事をAutophagy誌に発表しました。

  Morishita H, Kaizuka T, Hama Y, Mizushima N.

  A new probe to measure autophagic flux in vitro and in vivo.

  Autophagy. 2017 Jan 25. [Epub ahead of print]

◎本論文で使用した下記の新規オートファジー活性プローブは理研BRCおよびAddgeneより入手可能です。

  理研RBC DNA BANK

  pMRX-IP-GFP-LC3-RFP-LC3ΔG (Plasmid #84572)

  pMRX-IP-GFP-LC3-RFP (Plasmid #84573)

   

図 新規オートファジー活性測定プローブ

     


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