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カナダ:交通ルールに見る合理性
August 12, 1997
交通ルールはどこの国も似てるようで、少しずつ違います。 日本の交差点でのルールでは、青信号になると、当然のように直進車が優先されて、右折車は交差点の真ん中で待っています。この交差点の真ん中で右折の機会を狙っている車がいろいろな問題を起こします。直進車の合間を縫って飛び出して、右折車と直進車が衝突する。短い時間に無理に右折して先の横断歩道を横切る自転車や歩行者を跳ねる...。以下、右折車を後回しにするのではなく、右折車を優先さるルールを導入する「逆転の発想」を紹介します。
カナダの大きな交差点では「逆転の発想」が現実として運用されています。中央分離帯部分に左折車専用の信号機が設置されて、左折車を優先させます。(実際にはカナダと日本では左右逆なので左折車は日本では右折車の動きに相当します。)その間、直進車は待っています。左折車が無くなる一定時間後に、左折車専用の信号機は赤になります。直進車が交差点を通過する時には、交差点付近で停止している車はありません。
小さな交差点や、広い道で対抗車線を越えて曲がる場合(カナダでの左折、日本での右折に相当)、日本ではハンドルを切った状態でセンターラインの上で待っています。しかしカナダのルールでは、道路の真ん中で待つ場合でも、交差点の真ん中でも、ハンドルを切って止ることはルール違反です。ハンドルを切ると車の流れに帯して車体の断面積が大きくなり、それだけ直進車と衝突する確率が増えます。
車を追越す場合は、日本では先行車の後ろに接近して、それから機会を伺って追い越す場合がほとんどです。しかしカナダではそれは明らかな道路交通法違反で罰金の対象になります。事故を起こさなかったとしても車間距離を取らない後続車の責任が問われます。
Four ways stopも日本にはないルールです。ほぼ同じ広さ、交通量の四つ角では、優先順位をつけずに、四方から順番に交差点を通過するルールです。時間と空間、心のゆとりばかりでなく、「順番の意識」という公衆道徳が守られて初めて安全が確保できるルールです。
カナダではセンターラインは黄色に統一されています。「黄色ライン」に「範囲と進行方向を示す」方向ベクトル的意味を持たせてあるのです。一方通行の道路では進行方向の左側(右側通行のセンターライン側)に黄色のラインが引かれているます。立て看板の標識がなくても一方通行の方向の認識ができます。それ以外の目的で黄色は使われません。日本では黄色のラインはセンターラインばかりでなく、駐車禁止区域の路肩ライン、交差点手前のレーン指示などあらゆる所に黄色のラインが「乱用」されていると感じます。破線、実線で表現できる内容に黄色を乱用すると、色を使う意味が薄れます。カナダのシンプルで上手な黄色の使い方は、多民族を律する合理的精神の一端を見ているように思います。(三浦 裕)
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