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高速道路を逆走する車
---ベクトル記号としての黄色の利用を推奨---
December 22, 2000
名古屋市内の広い道路での珍事として、「車が狭い道から片側3車線の広い道を右折しようとした。その右折しようとした車は、本来は中央分離帯の向こう側にある走行車線に入るべきであったけれども、あまりに道が広いので、実際の道幅の半分である中央分離帯までが道路と勘違いしたらしい。つまり中央分離帯の手前で急にハンドルを切って右折した。まさに逆方向の車線に入ろうとしたことになる。」この事例は、信号で一列に並んで停止していた車と「お見合いする形となって」正面に向き合った所で、衝突直前に運転手がハタと気がついて、急に方向を変えて中央分離帯の向こう側まで車を走らせて、本来の車線へと無事入って事なきを得た。
「逆走をしそうになった車」で反省するべきことは「運転者の常識」ではなく、「日本の道路表示」の不明確さにあると思う。実は日本の道路はセンターラインも走行車線ラインもすべて白色で、それらの区別がない点に最大の問題がある。私は「センターラインは黄色」と決めておけば、色を見るだけで自分が走っている方向は一目瞭然で認識できると考えている。カナダでは、実際にこのようなセンターライン色による走行方向の指示を採用している。
カナダではセンターラインは黄色に統一して「黄色ライン」に「範囲と進行方向を示す」方向ベクトル的意味を持たせてあります。一方通行の道路では進行方向の左側(つまり右側通行であるカナダの交通ルールではセンターライン側に相当します)に黄色のラインが引かれているます。ラインの色を認識すれば、方向を示す矢印の標識がなくても一方通行の方向の認識ができます。日本では一方通行の入り口で、一方通行の標識を見落としたら、その後に走行方向を自分で確定する手段はなくなります。センターラインを黄色にするルールさえあれば、道路脇に塗られているラインの色を見るだけで常に正しい方向を認識できます。カナダではセンターラインを示す以外の目的で黄色ラインは使われません。日本では黄色のラインはセンターラインばかりでなく、駐車禁止区域の路肩ライン、交差点手前のレーン指示などあらゆる所に黄色のラインが「乱用」されていると感じます。破線、実線で表現できる内容に色彩の要素を乱用すると、色を使う意味が薄れます。カナダのシンプルで上手な黄色の使い方は、多民族を律する合理的精神の一端を見ているように思います。ぜひ「ベクトル記号としての黄色の利用を」推奨します。(三浦 裕)
日本はセンターラインも走行区分ラインもすべて白色ラインであるために、中央分離帯の構造を理解していない人が、このような広い道路を走る場合に、走行方向が認識できなくなる悲劇が発生しています。その例を以下に引用します。2000年6月19日午前11時過ぎ、岐阜県内を大阪方面に走る名神高速道路下り線(2車線)を、74歳の女性が運転する白い軽乗用車が突然、養老SA入り口から少し入った所で「方向転換」をし、名古屋方面に向かって、追いこし車線を時速50kmほどの速度逆走し始めた。予想だにしない「対向車」の出現に、慌てふためくドライバーたち。追いこし車線を走っていた車は正面衝突を避けるために左の走行車線へ次々と逃げる。約2km逆走した地点でついに事故が起きた。
岐阜県内に住むこの74歳の女性は「高速道路を知らなかった」と言う。この日は通院先からの帰宅途中に道を間違えて迷走している時に、名神高速道路を発見して「長良川沿いの堤防道路だ」と思い込んだ。大垣ICよろ自動発券機を気にすることもなく進入。周囲の車のあまりの速さに違和感を感じつつも走り続けた。しかし表示板に書かれた「養老」の文字に「道を間違えた」と思い、養老SAへの入り口付近でUターン。彼女の頭の中では堤防道路なので左側、つまり追い越し車線をルール通りに走りはじめる。逆走の意識のかけらもなかったのである。(JAF MATE 10/2000, 20-21掲載記事より)
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