Yutaka Miura's home page
(the third page level)


大学構内緑化管理方針へ対する意見書
(医学部教職員有志から大学本部宛)


名古屋市立大学経理課課長
上川之延様

平成15年 1月20日


医学部南西角の楠は、昭和60年前後に枯死寸前の状態となり、市民からの投書が契機となり、その樹木の保全対策が取られた経緯があります。この度、楠の実による歩道汚染の問題から強剪定が企画されていると聞き、この大木を守るためにも清掃活動が必要と考え、1月9日以来ボランティアの有志を募って清掃を実施させていただいております。その際に、ちょうど歩道を渡って来られた年配の御婦人から、「この楠は、昔包帯を巻いて枯れかかっていました。こんなに茂るようになって、ほんとうによかった。」との声を掛けていただきました。市民運動を契機とした楠の保全運動は今もまだ住民の心に流れていることを実感し、本学の緑化管理・保全対策の必要性を感じさせられました。当時の事実関係は新聞記事として、本学にも保管されているはずであり、これまでの経緯からこの楠の保全は大学の顔として万難を排しても堅持する必要があると考えられます。

市大病院前交差点をはさんだ南側にある秋葉神社のご神木である楠の枝は、さらに歩道に大きくはり出しておりますが、一切剪定をしておりません。住民はむしろ、その自然の楠の木陰を利用して、神社の祭りに住民が集まって参ります。それに対峙する市大敷地に生える楠も、同様にその木陰と緑豊かな姿は住民にとっての心の拠り所となっており、それを切るべきではないでしょう。

台風の被害に関しては、直径数十cmの銀杏の幹が真ん中で二つに割れた20~30年に一度の強い台風に対しても、医学部南西角の楠は被害を免れている証拠があります。地理的に隣接する秋葉神社の楠も同様に被害を受けておりません。台風対策が剪定の理由にならないことはこれらの事実が示しております。台風対策が理由として認められるのであれば、山の畑キャンパスの名古屋市保存樹に指定されている楠の大木を含めた、全キャンパスの大木が強剪定対象とならざるをえません。しかし、数十年に一度襲われるかどうかわからない台風に対する対策として、樹形を乱し、樹勢を衰えさせる強剪定を今後台風対策の名目で継続して行うことは、莫大な費用がかかる上、植物生理学的にもまったく不合理な計画と言わざるをえません。

本質的に緑化・環境整備に必要なのは、土壌改良と土壌管理と考えられます。市民からの要望は医学部南西角の楠一本からの実の落下の表面的問題ではなく、生け垣を含めた緑化管理不行届きの問題の指摘であると理解し深く反省するべきです。樹木は樹勢が落ちるといっそう実を付ける傾向が強くなります。枯死寸前に松も異常に多量の種子(松ぼっくり)を付ける植物生理が知られております。医学部南東の角地は、水も行き届かず排気ガスの影響を直接受ける最悪の植物生育環境です。注意深く土壌管理をしないと植物生理学的に考えて当然植物は枯死します。管理されず放置された証拠として夏にはヤブガラシが生け垣にまとわりつき、今も垣の一部が枯死したまま放置されております。交差点からもっとも目立つ生け垣の管理がまったくされず美観を損ねております。こういった事実を目の当たりにして、市民から苦情が出たと理解するべきです。

以上、当局にお願いしたいことは、次の2点です。

1)楠の剪定は一切行わないこと。
2)枯死した生け垣は、新しい苗と植え替え、雑草を取り除いて土壌管理を実施すること。

なお、残念ながら銀杏に関しては強剪定が実施されてしまい銀杏の実の収穫を楽しみにしていた多くの周辺住民等の季節の楽しみを奪ってしまいました。周辺住民の真意を理解し、環境対策の模範となるべき大学構内の緑化対策を推進していただけますようにお願い申し上げます。



西野仁雄(名古屋市立大大学院医学研究科脳神経生理学教授、医学研究科長)
横山信治(名古屋市立大大学院医学研究科代謝細胞生化学I教授、副医学部長)
岡田秀親(名古屋市立大大学院医学研究科生体防御学教授)
白井智之(名古屋市立大大学院医学研究科実験病態病理学教授)
山田和雄(名古屋市立大大学院医学研究科神経機能回復学教授)
太田伸生(名古屋市立大学大院医学研究科宿主寄生体関係学教授)
浅井清文(名古屋市立大学大学院医学研究科分子神経生物学教授) 
三浦 裕(名古屋市立大学大学院医学研究科分子神経生物学助教授)起草


医学部キャンパスの楠を守るべく下記意見書を提出するに先立ち、わたしたち医学部職員の有志を募り2003年1月9日以来医学部キャンパス西南部分の 歩道清掃活動を実施しております。私達の清掃活動は月曜(夕方)、火曜(午前8時)木曜(午前8時)金曜(昼休み)です。

これまで不思議なことに気が付いておりました。小生は週末も午前4時頃に大学に出勤し、午前7時頃に一旦自宅へ朝食に帰る習慣があるのですが、 午前4時頃に確かに落ちていた歩道のゴミが、土曜日に限って午前7時ごろには消えているのです。風の仕業か?誰の仕業か? 誰かが早朝に掃除をしている気配を感じるのですが、誰かを特定できません。

その謎が今朝寝坊したおかげでわかりました。いつもより遅れて午前5時30分頃に大学へ出て参りました所、ちょうど10数名の老若男女が、桜山地下鉄出口(市立大学病院側)周囲一帯の歩道の清掃活動を開始された所に遭遇したのです。 話しを聞けば、真如園(仏教系団体)方々だそうです。このグループはすでに何年も前から毎週土曜の早朝(午前5時30分〜6時頃)に、桜山地下鉄出口周囲両側の歩道の清掃活動をされているそうです。 通行人のの邪魔にならないように配慮して早朝に、ほとんど誰の目につくことなく、掃除されていたのでした。私の知らない間に、落ち葉もゴミも奇麗に清掃されていたのでした。面白いことに今年になって真如園の皆様も、落ち葉が少なくなっているのを不思議に感じてておられたそうです。お互さまですね。いい人々の住む町に、お互いに喜びを感じさせていただきました。(2003.06.10. Yutaka Miura)

to Personal Essays
(the second page level)

Please forward all comments, suggestions, or corrections to

(January,20 2003)