チャールズ・ラム著「エリヤ随筆集」(戸川秋骨訳、昭和15年 岩波文庫, Charles Lamb: Essays of Elia, Everyman's Library No. 14)に、「休暇中のオッススフォード(OXFORD IN VACATION)」と題したエッセイがあり、そこに「古い書庫というものは、入っているのに何とも好いところであろう!総ての労作をこのボドレイ文庫に残し伝えてくれた凡ゆる文人の精霊が、あたかも寄宿舎に於けるがごとく.....」(原文:What a place to be in is an old library! It seems as though all the souls of all the writers that have bequeathed their labours to these Bodleians, were responsing here, as in some dormitory, or middle state.)と表現されています。古色蒼然たる大学図書館の静粛の心地よさは、ピカピカした日本の先端科学研究施設とはまた違った意味で深みのあるアカデミックな雰囲気であるように思われます。ラム自身はオッススフォード大学に入学を果たせず、人目を避けながら正規学生が夏休休暇である時期に、憧れの大学図書館に訪れて文献を読む至福の時を過ごしたようです。「ああ古よ!汝驚くべき魅力よ、汝は何ものであるか?」(原文:Antiquity! thou wondrous charm, what art thou? that, being nothing, art every thing!)とチャールズ・ラムは感激しております。