(the third page level) |
山岳会メンバー4名(Miura, Sago, K.Suzuki, M.Ito)で、御在所岳の前尾根の登攀を終え、日没前に下山を完了しようと、急いで前壁ルンゼを下降し、裏道の合流点に到着した。ザックを下して、ヘルメットをかたずけ始めたその時、突然M.Itoさんが「あれ何!凄い!」と天空を指差して叫んだ。空のかなり高い所に、非常に強く輝く虹のようなものが見えた。しかし、虹と違って、弧の曲がり方が逆である。その輝きは、眩しいほど強い。
下山して「逆さ」+「虹」でInternet検索したところ、「環天頂アーク, circumzenithal arc」または「逆さ虹」と称される大気光学現象であることが分かった。虹は球形の雨粒に太陽光が入射して2回反射を繰り返す現象で、太陽とは反対側の空に現れる。一方、環天頂アークは六角柱の板状氷晶を1回通過する光の屈折現象で、太陽の上方に現れる。氷晶は落下する際の空気抵抗により、六角柱の底面を地面に水平にした状態で浮遊する。風が弱ければすべての氷晶底面が揃う。六角柱の氷晶が、側面と底面のなす角=90度のプリズムとして作用する結果出現する。
環天頂アークは、太陽から58度離れた位置に出現する。夜明けや日没の時間帯でも、かなり高い位置に出現するので、下を見て歩いていては視界に入りにくい。今回は、ちうどよいタイミングで休憩して、空を見上げたので感動的な大気光学現象に気がつく幸運に恵まれた。
2014年10月11日 15時48分ごろの現象
三浦 裕
名古屋市立大学大学院医学研究科分子神経生物学准教授
愛知県山岳連盟所属 社会人山岳会 チーム猫屋敷
|