Yutaka MIURA
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山行報告書

<メンバー>
先発隊:MIURA、SAGO、MANO
後発隊:Satoshi ITO、Miki ITO
<日程>先発隊:2014年10月14日(金)夜〜16日(日)
    後発隊:2014年10月15日(土)昼〜16日(日)
<山域>八ヶ岳(南部:ジョウゴ沢、赤岳)
<目的>ジョウゴ沢の概念を理解する。
<目的の背景>三浦がエントリーしている日本登山医学会主催の国際認定山岳医講習会および実技・検定試験が2014年1月に八ヶ岳で予定されている。その会場の現地を下見したいと考えた。 国際認定山岳医の検定項目

<UIAA/IKAR/ISMM 国際認定山岳医取得に際し求められる登山技術>
夏季:結び方とその使用法;ダブルフッシャーマン、エイトノット、プルージック、クローブヒッチ、ハーフクローブ(ムンター、イタリアン)ヒッチ、ハーネスへのロープの結び方;アンカーの作り方;確保;下降器およびプルージックを用いた懸垂下降;プルージックを用いた固定ロープの登行;UIAA((世界山岳連盟)III級の岩場のフォロアーとしての登攀;ヘリコプター避難のための着地場所の準備;地上から空中への手信号。
冬季:アイゼンを用いた氷河徒行と氷上歩行;雪と氷に適した様々な技術を用いた確保;簡単なアイスクライミング;単純なプーリーシステムを用いた即興のクレバスレスキュー;トランシーバー(雪崩ビーコン)とプローブを用いた雪崩埋没者の捜索、埋没者の掘り出しと救助の準備。
<行動記録>

ジョウゴ沢の概念(国土地理院地形図: 八ヶ岳西部・八ヶ岳東部を合わせて作図した)


<行動記録>
2014年10月14日(金)午後8時に名古屋を出発し、美濃戸口の赤岳展望荘に午後11時45分ごろ到着した。2階の仮眠室(24時間対応)を利用してよく寝ることができた。 2014年10月15日(土)無風快晴。午前3時45分起床。午前5時、美濃戸口出発〜午前8時25分、赤岳鉱泉到着。歩行時間3時間25分は、国際認定山岳医の基準である2時間45分より30分も余分に時間がかかった。今回は幕営装備一式+アイスクライミング登攀用共同装備(ザイルも含む)一式も含まれていていたので小屋泊まりよりはかなり重い荷物ではあった。しかし、この程度の荷持で標準時間で歩けないということを自覚する必要がある。テントサイトで地ならし作業を始めたところ、両足が痙攣してしまった。暫く足を伸ばして休憩せざるをえない。テント場の前に有名なアイスキャンディーが異様な姿で朝日に照らされているのを眺めながら休憩させてもらった。

赤岳鉱泉

午前11頃にテント場を出発して、ジョウゴ沢に向かった。分岐点を通り過ぎて赤岩の頭に向かって5〜10分登り始めて、ようやく道を間違えたことに気がついた。ジョウゴ沢へは小さな踏み跡があった。F1, F2周囲は雪に埋れてしまい、私たちより一足先に入っていた登山者はアイスクライミングを諦めて引き返してしまった。F2の手前で進むべきかどうか少し迷った。しかし私が「国際認定山岳医の検定会場となるナイアガラの滝を一目みたい」という強い希望があったので3人(MIURA, SAGO, MANO)で新雪をラッセルしながら登り続けることにした。ラッセルは幸いにも表面が固く締まった雪だったので、30 cmぐらい足が沈み込むだけでスノーシュー無しで気持ちよく歩けた。

ゴルジュの間隙から「乙女の滝 (20m)」が見えた。


乙女の滝 (20m)

2013年12月15日午後0時20分ごろ、この滝でアイスクライミング中の女性(名古屋市緑区滝ノ水4、会社員、久保郁子さん53歳)がグランドフォールして死亡した場所だ(毎日新聞)。アイスクライミングではアイススクリューを打ち込めば、どこにでも支点を作れるのでグランドフォールするようなことは避けようと思えば避けられる。乗り越しの所が難しいから、上が平で簡単に登れそうに見える場所でも、一本ランニングビレ?点を作ってから登り切れば死亡事故は防げただろうと推測している。

ナイアガラの滝

ナイアガラの滝 (15m) が青く光って立派に見えた。しかし近くで見るとナイアガラの滝の下部は深い雪に覆われていたので落差が小さくなって威圧感は感じなかった。左岸側の雪の吹き溜まりから簡単に滝の上流に抜けることができた。それでも2カ所にアイススクリューで確保点を作って安全を確保して登った。登り切ってた滝の上は雪に覆われていた。アンカーとなりそうな岩を探したところ、滝の落ち口に近い右岸の岩に人工のボルトが打ち込まれているのを見つけることができた。アンカーを構築してトップロープでアイスクライミングを楽しんだ。

アイスクライミング中のMiura


ナイアガラの滝からの眺め(大同心、赤岳、阿弥陀岳)が美しい

2014年10月16日(日)快晴。 コースタイムは7:05赤岳鉱泉〜7:42行者小屋〜文三郎尾根〜 10:24赤岳山頂〜地蔵尾根〜12:22赤岳鉱泉。赤岳山頂から地蔵尾根に向かう稜線上は強風に吹き曝されていた。S氏がバランスを取ろうと耐風姿勢をして風を背中から受けた瞬間にヘルメットが後ろからの強風で持ち上げられるように吹き飛ばされる珍しい事件があった。

文三郎尾根を登攀中に赤岳主稜線を登るクライマー(矢印)がよく見えた。


分岐点から赤岳山頂を目指す一般縦走路を登る登山者の姿が見える。


赤岳山頂(Mano, Itoh, Itoh, Sago, Miura)の強風の中で記念写真。フェイスマスクで個人識別は難しい。


<注1> 雪庇:文三郎尾根経由で赤岳山頂にに至る頂上直下の岩稜帯の東側には岩からテラスのように平な雪が張り出している。そのテラスは強風を避けるとても安全な場所に見えた。誘惑にかられて、そこへ踏み込もうと思って足下を見ると、そこに雪に埋れたロープの一部が見えた。「これは通行止めのロープ」だろうと感じた。つまりロープよりも先は崖である。平なテラスのように見える場所は雪庇である…..と判断して踏みとどまった。
<注2> 強風:赤岳山頂手前で目出帽をセットして登った。山頂から稜線では推定風速10-15mを越える強風が吹いていた。風には強弱の息がある。非常に強い風の時には背中を風上に向けた耐風姿勢を取った。その瞬間、Sagoさんのヘルメットが飛ばされてしまった。強風対策として顔面を覆う目出帽は、稜線に出る前に安全な場所で装着する。鼻と口に穴が空いているBalaclavaが眼鏡が曇らないので便利だろう。
<注3> 30mザイル:急斜面や強風帯でコンテで初心者を確保するためには短いザイルが使い易い。通常のクライミング用50-60mザイル出十分に代用できるが、山行計画でクライミングの要素がない場合には短いザイルが便利だろう。
<注4>手袋:Black Diamond(ブラックダイヤモンド) ソロイスト ロブスターは3つ指で、リムーバブルインナーと一体感がある。オーバーミトンと厚手の毛糸手袋の組み合わせよりも、操作性がよい。断熱素材はプリマロフト2種類が使われていて、アウターと脱着できるので乾燥させことも容易だ。私はさらにその下に薄いウール製の手袋を装着して使った。写真撮影などで細かい作業が必要な際にはこの薄いウールの手袋で操作する間は手が冷たくなる。
<注5>テントを設営・撤収する際にポールの接続部に雪を付けないように注意する。接続部分が凍結する組み立てや分解が困難になる。
2014年3月19日
三浦 裕
名古屋市立大学大学院医学研究科分子神経生物学
愛知県山岳連盟所属 社会人山岳会 チーム猫屋敷


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(Last modification, March 19, 2014)