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「教えて博士!なぜ?なに?ゼミナール」
--------生命の誕生〜地球の動きを体験する--------
「教えて博士!なぜ?なに?ゼミナール」名古屋市教育委員会と名古屋市立大学の連携事業:その道の達人派遣事業)の実施記録である。私は「生命の誕生と死」と題した野外教育実習を提案させて頂いた。
2009年はダーウィン生誕200年に当たる。ダーウィンは1831~1836年世界一周航海に出て1943年に「ビーグル号航海の動物学」を完成させた。1851~1855年にかけてフジツボの標本を集め「フジツボ総説」を出版し、1859年の「種の起原」出版に至った。ダーウィンの進化論は、フジツボ研究が基盤にあると言える。この興味深い歴史的背景は「フジツボ」(倉谷うらら著 岩波書店2009年)に詳しく書かれている。
私は1996年にカナダ留学から帰国して、カナダで生まれで海を知らない子供達に美しい海を見せようと、気軽な気持ちで知多半島の海岸を散歩した。そこで私自身が足下に生息する海中生物の面白さに目覚めたのである。一房の海藻を持ち帰って水槽に入れた所、無数の得体の知れない小さな節足動物が付いていた。この節足動物を図鑑と広辞苑でさっそく調べてみるとワレカラだと分った。
海人の刈る藻にすむ虫のわれからと音をこそ泣かめ世をばうらみじ(古今集)
「世」=男女関係の相手。「相手を恨むまい。」と言いながら泣く。これは千年変らない普遍的な人間心理らしい。千年を経ても、何も変らない人の心と、千年を経ても変らずに生きている海を発見した。自分は分子生物学の知識を持ち、千年前の人には想像できない最先端の分子生物学者のはずであった…。その私が千年前の人の常識だった生物=ワレカラの存在にまったく気がついていなかった。自分の無知を認識し自惚れが消えた瞬間である。これは孫悟空が釈尊の掌から飛び出していなかった衝撃に似る。今更ながら千年前の人の観察力の鋭さと、現存する海の素晴らしさに驚かされた。私たちは自然の生命に触れる機会が少なくなった。このままでは、多彩な生命を感じる能力が退化するかもしれない。
私はさっそく小学生、保育園児だった我が娘や息子たちを連れて、毎週のように知多半島の海岸に遊びに出かけた。そこに無脊椎動物から脊椎動物まで、膨大な種類の生命の存在を知った。これまで気に止めていなかった多彩な生物の身近な世界に新鮮な喜びを味わった。
2009年7月7日に実施した「生命の誕生と死」プロジェクトに寄せられた手紙である。
先日は,お忙しい中,子どもたちに楽しい体験と興味深いお話をしていただきありがとうございました。
子どもたちにとって大変貴重な体験ができ,どの子もとても楽しかったと笑顔で帰って来ることができました。
子どもたちの感想と写真をお送りします。
本当にありがとうございました。
2009年7月9日
名古屋市立森孝東小学校
畑崎 暁代
岡井 淑恵
小学生からの感想
一番初めに見つけたのが,O.エレガンスでした。三浦先生にその魚を見せたら,「すばらしい,O.エレガンスだよ。」と言われたのでとってもうれしかったです。
持っていった魚を三浦先生はすぐに分かっていて,すごいなと思いました。くらげにはみんな毒があると思っていたけど,足の短いクラゲは大丈夫なんだと初めて知りました。
フジツボが日本を救ったなんてすごいと思ったし,今,世界の医療に役立っているんだなあと思いました。
生き物がきらいでさわれなかったけど,三浦先生にいろいろやってもらってさわれるようになったのでうれしかった。
ダーウィンについて話をしたとき,私はずっとダーウィンは水の中の生き物は調べていないんじゃないかなと思っていたけど,三浦先生の話を聞いたとき水の中の生き物を調べてたと言ったときびっくりしました。
海にスポンジが生きているなんて思いもしませんでした。だけど,三浦先生の話を聞いて骨があると聞いてちょっとびっくり!!しました。楽しかったです。
三浦先生が見せてくれたさんごの化石や先生がしてくれた話にはすべて興味があり,おもしろかったです。フジツボの話など楽しかったです。
知多半島内海にて2009年7月7日
名古屋市立大学大学院医学研究科分子神経生物学准教授
三浦 裕(みうらゆたか)
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(Last modification, September 9, 2009)