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懸垂下降で使う二本のロープを繋げる結び方は諸説ある。「8の字結び」は二本のロープが異なる方向に引っ張られる力が作用すると、結び目が移動して抜けてしまう転落死亡事件が発生している。Double Fisherman's Knotは強固な結び方ではあるが、ロープの回収時に岩に結び目が引っ掛って回収できなくなるトラブルが起こる。どのような結び方が合理的だろうか?世界の登山情報サイトを検索した結果「止め結び」がもっとも実用的な結び方だろうと考えるに至った。
「止め結び」は英名で The Eeuro Death Knot (EDK, Overhand Knot)と称する恐ろしい名前である。その語源はは不明であるが、ヨーロッパの登山者が使っているのをアメリカ人が見て、あまり簡単で「死ぬ結び方」と呼び始めたという伝説がある。しかし実際には死亡事故は報告されていない「Not Death」で安全である。
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フリクションノットは、メインロンロープと巻き付けるロープの太さの差が大きいほど、固定力が強くなる。対称性のある結び方ではロープの径が一致した方が固定力が強いだろう。しかし、非対称の結び方はロープの径が異なる方が固定力が強い可能性もある。ブラック・ダイアモンド研究所は実際に10.2 mm/8.1 mmと8.1 mm/8.1 mmという径の異なるロープの組み合わせた結び目の強さの実験データを公開している。Double Fisherman’s KnotとRing Bendでは同径のロープの結び目の方が強固であることが示されている。しかし非対称性の結び目になるEuro Death Knotは太さ異なるロープ同士の結合の方が若干結合力が強くなる傾向を示している(14 > 13 kN)。その差は僅かな値である。懸垂下降では体重と荷物を合計してもせいぜい100 kg程度であり、二つのロープの結合力はその10倍以上あるので、実用上からは10.2 mmと8.1 mmの組み合わせ程度の径差のあるロープを結んでも問題はないと考えてよいだろう。
2013年11月6日
三浦 裕
名古屋市立大学大学院医学研究科分子神経生物学
愛知県山岳連盟所属 社会人山岳会 チーム猫屋敷
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