Yutaka MIURA
Yutaka Miura's home page
(the third page level)

御在所岳中俣からのヘリコプターによる救助


2015年1月25日(日曜日)、私は医学部学生1名(山岳会所属)を連れて、三重県の御在所岳αルンゼでアイスクライミングを楽しみました。午後4時15分頃、藤内小屋まで下山して小休止しようとした所、藤内小屋の人から「遭難者が出ました。救助に協力して欲しい」と頼まれました。(山小屋の人は、私が医師で山岳医療関係者ということを知っています。)

という情報だけでした。
ヘリコプターの音が聞こえ、救助作業が開始されたのが見えたので、私の出番はないだろう思いました。ところが、ヘリコプターは現場の絶壁に接近して2回ホバリングで救助を試みたものの、岩壁に十分接近できないまま結局引き返してしまいました。それから15分後、菰野消防隊(山岳警備隊)数人と隊長として四日市西警察署地域課警部が藤内小屋に到着しました。ヘリコプターでは救出ができないと判断して、地上からの救助作戦が決まりました。 ところが到着した三重県の山岳警備隊員の登山装備は4本爪の軽アイゼンのみで、ピッケルも持っていません。アイスクライミング技術を必要とする遭難場所から救助できる可能性があるのは、私を含めた現場のクライマーだけでに思われました。隊長の要請で、私は救急隊と合流して救助作戦に加わることになりました。同行していた学生は登攀初心者であるので藤内小屋で待機してもらいました。 17:16の日没まで1時間弱の時間しかありません。藤内沢分岐点まで山岳警備隊といっしょに登り返し、救出準備を整えました。その時、警察無線で「遭難者はパートナーが要救助者を(懸垂下降でアイスクライミングの)取り付き基部まで降りた情報が入り、再度ヘリコプター救出を試みます。」という最新情報が入りました。数分でヘリコプターが到着し、今回は見事なホバリングで救助隊員が下降して、要救助者をホイストで吊り上げて救出に成功しました。日没前の無風の好条件が幸いしました。四日市西警察署地域課警部から「ご苦労様でした。皆様も無事に下山してください。」との言葉が出たので、安心して下山できました。

以上、直接的な出番は無かったのですが、私の個人装備は、

滑落した要救助者は、1935年創立の愛知県山岳連盟所属の社会人山岳会:名古屋山岳会のメンバーであることを、その場の関係者から聞かせていただきました。通報から自助救出まで迅速にできたことは、不幸中の幸いだったと思います。登山の危険性を痛感させられた一日でした。偶然居合わせたクライマーが一丸となって協力する姿もたいへん心強く感じました。

三浦 裕
名古屋市立大学大学院医学研究科分子神経生物学准教授
愛知県山岳連盟所属 社会人山岳会 チーム猫屋敷


to top menu of Yutaka Miura's Home Page

Please forward all comments, suggestions, or corrections to Yutaka Miura
(Last modification, January 17, 2015)