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Two ATBF1 related zinc finger proteins Snail and Slug are both activated by p53 to function for the critical pathway of survival and apoptosis. ATBF1 collaborates with p53 for these important biological processes. Considering the size of ATBF1, Snake may be adequate for its second name, because ATBF1 is bigger size than Snail and Slug. But ATBF1 is not only bigger than Snail and Slug, it has legs to stand on DNA using four homeodomains. Snake should not have legs, therefore we propose a fantastic name for ATBF1 as "Dragon" holding precious seven dragon balls including p53 and PIAS3.

ATBF1: 新しい癌抑制因子の発見に至る10年(1995-2005年)

   さまざまなヒト癌細胞で遺伝子異常が伴い,その異常は 特定の染色体領域に集積する傾向がある.しかしこれまでヒトの孤発性癌において, 何が原因遺伝子であるのかは同定されていない.以前からこれらの癌ではとくに 16番染色体を含めた領域に遺伝子異常が集積していることが知らるのみであった.問題のゲノム 領域にATBF1遺伝子が存在することから,アメリカのEmory大学医学部のDon博士との 共同研究により,66症例の前立腺癌症例を使って詳細な遺伝子異常のスクリーニングした ところ,実際にATBF1遺伝子の変異や欠損が高率に発生していることが発見された (Nature Genetics 2005年4月号407-412).この論文において、ATBF1が「癌抑制因子の 定義」に当てはまることを、「ATBF1の強制発現で細胞増殖抑制を示し、ATBF1のノッックダウン で細胞増殖性を示す」二つの実験系で証明した。ATBF1のゲノム構造の機能的な変異は, 私たちが開発した複数のATBF1抗体を使うことでATBF1の部位ごとの蛋白発現量の変化 として検出することが可能となった.今年、新潟労災病院病理部長の川口誠氏 との共同研究で,様々な臨床経過を辿った膀胱癌の病理組織学的解析をしたところ,ATBF1とp21 (細胞周期抑制因子)を組み合わせて評価すると,癌の長期予後(10年生存率)を,初回の生検 だけで予測できる臨床的事実の発見に至った.

   私はCalgary大学(Prof. Tamaoki研究室)で12000-bpの巨大なATBF1 (AT-motif bindinf factor 1, 4個のホメオボックスと23個のZnフィンガー を持つ巨大なDNA結合タンパク質) cDNAのクローニングに成功する幸運に恵まれた (Miura et al. J. Biol. Chem. 270: 26840-26848, 1995). 以来10年間基礎研究 に没頭してきた中で、私にとって特に興味深い発見は,細胞質/核移行による遺伝子調節のスイッチ機構である. 細胞内部の存在場所の移動という一見単純なスイッチ機構は,細胞外環境ECM (Extra Cellular Matrix)からの情報は細胞内情報伝達と直結してATBF1の細胞内局在が変化し, マクロレベルの複雑な脳の形態形成にまで影響を与える興味深い生命現象である(Development 132: 5137-5145, 2005). この細胞外と細胞内を繋ぐ分子機構にはStats, Smads, PIAS3, SUMO, ATM, p53など細胞内シグナル因子 とATBF1のタンパク質相互作用が関与している。核内部において転写調節因子として p21, trkB, neurod1(neuroD)など標的遺伝子の協調的な転写調節に携わっている.

   生命現象の中で取り分け重要な意味を持つDNAの安定性に関してはATBF1はATMからのリン酸化シグナルを、 p53とともに受け,p53と結合して転写調節因子としてSnailやSlugの発現調節などを介してDNA修復, アポトーシスの制御に関わっている。ATBF1の機能は遺伝情報の活性化と維持に関わることから、生命の誕生から死に至までの 幅広い現象に直結することから、我々の研究グループは発生学,再生医学,腫瘍学,神経科学、老化,加齢研究などさまざまな 観点から研究を推進している.

Feb 09, 2006

三浦 裕 (みうらゆたか, 名古屋市立大学 医学研究科 分子神経生物学助教授 )


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(Last modification, Feb 09, 2006)