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インビボイメージング技術によるそれぞれの分子の動態に関してモデルマウスを用いて検討する。具体的には、臓器細胞から発現する因子として、いくつかの接着分子や免疫細胞の走化因子となるIL-18などのサイトカインの産生と、臓器細胞側にMHC classII が異所性に発現しうることも既に突き止めている(J Exp Med 205:2915, 2008)。サイトカインなどの液性物質をインビボイメージングにて検出するために、脈管イメージングですでに確立されている蛍光ナノパーティクルを応用し、サイトカインあるいはケモカインそのものを標識し、in vivo に投与することにより可視化を試みる予定である。また、抗体成分のFc部分とサイトカインなどのキメラタンパクをin vivo に応用することにより、生体内での液体物質の動態をモニターすることも可能である。一方で、モデルマウスの標的臓器あるいは免疫細胞を用いて、DNAアレイあるいはPCRアレイ法によって網羅的に標的臓器決定因子の同定を試みる。



上述にて同定した標的臓器決定因子を可視化した上で、各種自己免疫疾患モデルを用いて、病態のどの段階で候補因子がどのように作用し、病勢や予後にどのように影響を与えているのかを精査する。具体的には、シェーグレン症候群モデルマウス(NFS/sld, CCR7KO, aly/alyマウスなど)、I型糖尿病疾患モデルNODマウス、関節リウマチモデルMRL/lprマウス、炎症性腸疾患モデルなど多角的に解析を進めることにより、臓器固有の標的決定機構が存在しているのかどうかを検討する。また、これ迄に得られた免疫細胞または標的細胞の自己免疫反応に重要とされる分子に関してモデル動物を用いてノックダウンする系として、局所または全身へのshort interference (si) RNAの投与による実験を試みる予定である。申請者らはすでにアテロコラーゲンをデリバリーとした全身及び局所siRNA 投与の系を確立しており(Gene Ther 15:1126, 2008)、免疫細胞のNF-kBのsiRNAなどをモデルマウスに投与することによる病態への影響をインビボイメージングで検証する計画である。




自己免疫疾患の発症機序において、臓器と免疫システムとのネットワークの中で重要な分子群を様々な病期にどのように対応していくかを検討した上で、いくつかの病態発症のシミュレーション行い、病態の程度や臨床症状、予後などを予想する。例えば、シェーグレン症候群疾患モデルマウスを用い、発症前後、病態進展に伴う複数の標的臓器決定因子の変化をインビボイメージング 解析でトレースすることにより、最終的な疾患の病態が把握できる。病態の進展の中で、免疫細胞への活性化抑制効果を狙った治療法を考えるのか、標的臓器への治療法を考えるのかは病期によって大きく変化するものと予想される。



平成22-24年にて疾患モデルで得られた情報に基づいて、実際の自己免疫疾患患者サンプルを用いて、分子マーカーに関する発現、病態の把握を詳細に検討する。さらに、モデルで確立したインビボイメージングの患者への応用を目指し、各種自己免疫疾患患者の組織サンプル、血液サンプルを用いたメルクマールとなる分子群の発現を慎重に確認した上で、人体に 無害の蛍光色素を応用し患者への適応が可能かどうかを検討する。学内臨床各科との協力、製薬会社、画像専門メーカーなどと綿密な連携をとりながら、技術開発を促進する。