研究会活動

〜開催のお知らせ〜

定例研究会(関西) 定例研究会(関東) 看護・ケア研究部会

『保健医療社会学論集』編集委員会企画・第3弾 論文投稿支援ワークショップ10・16のご案内

◎日時:2016年10月16日(日)13:00〜16:30(開場は12:45の予定)
◎場所:東京大学本郷campus 医学部総合中央館(医学部図書館)3階、333会議室
 http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_02_01_j.html
◎企画(参加者の様子を見て、企画内容を調整する可能性があります)
13:00〜13:05
主催者挨拶(含:進行についての説明)
13:05〜13:25
第1報告 石川ひろの(東京大学)
「論文執筆のプロセスとポイント」
13:25〜13:45
第2報告 白井千晶(静岡大学)
「共同研究で論文を書くやり方」
13:50〜14:50
前半WSと班発表(発表5分+2分質疑)or「査読コメントの典型例の提示とその読み方演習」
15:00〜15:15
第3報告 樫田美雄(神戸市看護大学)
「投稿リテラシーの向上が必要な理由」
15:15〜16:10
後半WSと班発表(発表3分+2分質疑)
16:10〜16:20
第4報告(総括的感想として)
齋藤圭介(明治大学)
16:20〜16:30
まとめ(アンケートも御願いします)。事後課題の相談(班別)
◎申し込み方法
  • @2016年8月20日土曜日の24時までに(日本標準時)
  • A電子メールで、「kashida.yoshio_at_nifty.ne.jp(樫田)※_at_を@に変更してください。」宛に
  • B氏名、メールアドレス(添付ファイルが受け取れるもの)、所属、査読雑誌投稿歴の有無、希望する事前課題テーマの番号(第一希望を前に、第二希望を後ろに書いて下さい)、ワークショップに期待すること(400字以内)、メールアドレスを当日配布予定の名簿に記載することの諾否(他の情報については、WS運用上の必要から記載を原則とさせて頂きます)を、一覧的に記して申し込んで下さい。応募者多数の場合は、内容で選考がなされる可能性があります。必ず、8月末日までには、採否と班分けの返信をします。
 なお、事前課題の提出締切は、9月末日24時を予定しております。
 詳細はこちらをご確認下さい。

2016年度第2回定例研究会(関東)

日  時:2017年3月5日(日)14:00-17:00(予定)
場  所:未定(都内)
報告者:宇田和子先生(福岡工業大学)
指定発言者:本郷正武先生(和歌山県立医科大学)ほか1名を予定
タイトル:未定(食品公害の補償政策について)

2016年度第1回定例研究会(関東)

※看護・ケア研究部会と共同開催の予定

日  時:2016年11月23日(木・祝日)午後の予定
場  所:首都大学東京荒川キャンパス、あるいは秋葉原サテライトキャンパス
発表者:菅原和孝(京都大学名誉教授)

看護・ケア研究部会 7月定例会

日  時:7月30日(土)14:00〜16:00
場  所:首都大学東京荒川キャンパス 校舎棟364教室
発表者:横山正子さん(神戸女子大学)
発表テーマ:「期待されるキャリア介護福祉士のパスとは」

※開催場所の地図は以下をご覧ください。
http://www.hs.tmu.ac.jp/access.html

※交通案内
・日暮里駅・西日暮里駅から 舎人ライナー「熊野前」駅下車 徒歩3分
・王子駅・町屋駅から 都電荒川線「熊野前」駅下車 徒歩3分
・田端駅から 都営バス(端44系統)「北千住駅行」に乗車
 「首都大荒川キャンパス前」下車 徒歩0分
・北千住駅から 都営バス(端44系統)「駒込病院行」に乗車
 「首都大荒川キャンパス前」下車 徒歩0分
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看護・ケア研究部会に関する問い合わせ先

看護・ケア研究部会へのお問い合わせ、入会希望者のご紹介などは、
庶務までご連絡ください。メールまたは郵送・FAXで入会案内を
お送りいたします。例会見学も随時受け付けております。

日本保健医療社会学会 看護・ケア研究部会
2016-2017年度 役員
会長・中村美鈴、副会長・朝倉京子、会計・松繁卓哉、庶務・白瀬由美香(事務局)
e-mail: y.shirase_at_r.hit-u.ac.jp (事務局)※_at_を@に変更してください。

定例研究会報告

2015年度  第1回(228回) 第2回(229回) 第3回(看護・ケア研究部会と共催) 第4回(230回)

2014年度  第1回(224回) 第2回(225回) 第3回(226回) 第4回(227回)

2013年度  第1回(220回) 第2回(221回) 第3回(222回) 第4回(223回)

2012年度  第1回(216回) 第2回(217回) 第3回(218回) 第4回(219回)

2011年度  第1回(212回) 第2回(213回) 第3回(214回) 第4回(215回)

2010年度  第1回(207回) 第2回(208回) 第3回(209回) 第4回(210回) 第5回(211回)

2009年度  第1回(202回) 第2回(203回) 第3回(204回) 第4回(205回) 第5回(206回)

看護・ケア研究部会報告

2015年度  第1回 第2回 第3回 第4回 第5回

2014年度  第1回 第2回 第3回 第4回 第5回

2013年度  第1回 第2回 公開企画 第3回 第4回

2012年度  第1回・第2回 第3回 第4回 第5回

2011年度  第5回

第230回定例研究会

日時:平成28年3月5日(土)15:00〜17:00
場所:大阪市立大学梅田キャンパス・文化交流センター・小セミナー室(駅前第2ビル6階) テーマ:大会シンポジウム連携企画「〈薬害〉経験のナラティヴをきく」
1. 大阪の血友病患者会はどのように問題経験を切り抜けたか −四半世紀を振り返って
発表者:若生治友(大阪ヘモフィリア友の会)
2. 血友病患者会全国組織の再始動
発表者:佐野竜介(ヘモフィリア友の会全国ネットワーク)
要旨:関西定例研究会は、薬害問題を取り上げた第42回大会(大会長:蘭由岐子)のメインテーマ「問題経験のナラティブをきく」と連携するテーマとして企画し、薬害HIV事件の経験について報告していただいた。
若生さんからは、HIV感染禍に血友病患者会が対処不能になり、かつ活動しにくい状況があった1990年代初頭に、HIVのNGOとして血友病患者並びにその家族の支援団体を立ち上げ、この際、運営に患者・家族以外のいろいろな人を巻き込んだことにより、実質の主体は患者であったが、医療機関の紹介、入院や通院介助、訴訟準備、面談などの活動がやりやすくなったことや、阪神大震災、薬害HIV訴訟和解後の国との医療体制整備、神戸での薬害エイズ国際会議(1996)などの経験を踏まえて、その時々の問題や課題に取り組みやすいのか、ふさわしいのかを考えて、それに対応しやすい組織や構成員で対応することが問題経験を乗り越えていく戦略として紹介された。佐野さんからは、HIV禍の影響で、患者会の主たる会員の体調不良や死亡、強烈な偏見差別で活動しにくくなるなどにより、全国的に活動停止に陥った状況があったことが紹介された。佐野さんは、転居により転入先の地域の患者会の戸を叩き、その地域での「HIVのゴタゴタを知らないことが良かったのかもしれない」という立場で、主として2000年以降の各地域のローカルな患者会活動や、各組織の主体性を尊重して緩やかにつなぐという新しい関係での全国血友病患者会組織の再組織化、活動のための資金の獲得や、活動を推進する上での資金提供者との自律的な関係について報告していただいた。参加者は23名。

第229回定例研究会

日時:10 月10 日(土)14:00〜16:00
場所:首都大学東京 秋葉原サテライトキャンパス 秋葉原ダイビル 12 階(1202)D 会議室
報告者:孫大輔先生(東京大学大学院医学系研究科医学教育国際研究センター講師)
タイトル:「カフェ型ヘルスコミュニケーションにおける変容的学習」
要旨:孫先生は、家庭医として生活習慣病や慢性疾患患者の生活を知る必要があるのだが、患者は診察室では本音を言えていないと考え、医療系専門職と市民・患者がワールドカフェなどで自由にフラットな対話を通じて互いに学び合う「みんくるカフェ」を開催している。参加者を対象とした調査の分析から、そこで「変容的学習(transformative learning)」のプロセスが起こり、他者への理解が促進されていたことが確認された。さらに、カフェのファシリテーター育成講座の修了生が全国で活動を展開していて、地域住民の誰もが参加し学びあい、支えあえる地域づくりを目指すと報告された。
報告後の質疑応答では、カフェの案内がソーシャルメディアであることによる市民としての特殊性と医療者も市民であるという二重性があること、ファシリテーター育成では質の担保や活動の把握よりは自由な活動の展開を優先していること、専門医を中心とした医師の自己中心性やプライドの変化の可能性、看護職が医師に対抗してしまうなど他の職種との関係性、社会全体が情報に基づく意思決定のためにフラットなコミュニケーションやつながりを求めている可能性などが話題となった。今後の広がりとそれが意味するものについて、今後も注目すべき活動であることが確認された。

第228回定例研究会

日時:9月28日(月) 14:00〜16:30
場所:大阪市立大学梅田キャンパス・文化交流センター・小セミナー室(駅前第2ビル6階)
発表者:天田城介先生(中央大学)
タイトル:「戦後日本超高齢化論――ケア労働の変容」
 天田先生はここ数年の研究を、1)男性介護者、2)日本型生存保障システム、3)地方におけるケア労働、の三つに整理した上で、これらをすべて組み込んだ目下構想中の草稿の骨子を提示された。
 特に焦点化されて取り上げられたのは、産業構造の変容、高齢者関連市場の拡大に伴う地方における「生き延びの女性化」(ウォーラスティン)であり、同時にそのかろうじて可能となった「生き延び」が期間限定つきのもの(人口規模の小さな地方ではすでに高齢者人口自体が減少し、市場自体の縮小が始まる)であることから、「地方における生き延びの都市化」が進行する、という見通しであった。これに対して、出席者からは、地方における女性の労働化の時期、ケアマネの役割、訪問看護の現況、ジェンダー・ポリティクスの問題などをめぐって、多岐にわたって活発な議論がなされた。
 平日開催ということもあり、参加者は限られていたが、討議を通して、フィールドワークに基づいた知見に裏付けられた、地方の実情がリアルにうかがうことができ、充実した会合となった。

第227回定例研究会

日時:2015年2月28日(土)14:00〜16:00
場所:首都大学東京秋葉原サテライトキャンパス会議室A・B(秋葉原ダイビル12階)
報告者:すぎむらなおみ先生(愛知県公立高等学校養護教諭)
タイトル:「学校におけるケアの現状と課題〜スクール・セクハラや「いじめ」事件において、ケア提供者は不在だったのか〜」
 すぎむら先生は、まず学校という「場」の存在から問題提起をされ、「学校」「教室」「保健室」という場における教員の規範意識、教員-児童・生徒関係などについて説明された。それらを前提に生徒が受ける「被害」がどのように学校内、そして家庭や警察などでどのように取り扱われているのかという点について「生徒」と「教員」の被害観のズレがしばしば生じる現状が調査による事例とご自身の経験も交え平易に説明された。
 こうした状況の中、被害を受けた生徒にケアを提供する立場と考えられる養護教諭においても、その立ち位置は多様であり、積極的なケアを提供しようとした場合には、学校においてマイノリティになりがちであり、ともすると学校社会から「孤立」「バーンアウト」「排除」といった状態に陥りかねない。そうしたなか、意欲ある養護教諭たちが生徒のために学校内もしくは教育委員会や児童相談所などを交えた「仲間作り」を通じ、生徒にとってもケアを求めやすい「場」に作り替えていく作業を必要としている状況が理解できる内容であった。
 報告後、10名強の参加者との質疑応答が活発に行われ、医療現場でのインシデントの扱いなどとの比較の中で、セクハラやいじめといった問題に対する学校・教育現場の認識や対応がどのようなものであるのかなどについて討論が行われた。

第226回定例研究会

日 時:2015年2月28日(土)13:30〜16:30
場 所:大阪市立大学梅田キャンパス・文化交流センター(駅前第2ビル6階)
報告者:西村ユミ先生(首都大学東京)
タイトル:看護師に学ぶ協働実践の知――現象学と看護学の対話から
 本学会において現象学を用いた研究を常にリードされている西村ユミ先生を招いて、近著『看護師たちの現象学:協働実践の現場から』(青土社 2014)のテーマでもある協働実践の知を中心にお話いただいた。
 現象学的記述というものが具体的にどういうものであるのか、ありうるのかに関して理論的にはいくつかのスタンスがありうると思われる。西村先生はどのように咀嚼しておられるか。今回の報告の冒頭部分で話された、次の言葉が印象に残った。フィールドワークの実践のなかで、「一人のナースの関心に寄り添い、時間的順序ではなく、ナースが気づいた通りに」記述してゆく、という一言である。現象学的、という表現が適切かどうか分からないが、要諦の一旦が凝縮されていたと感じさせられた。
 報告後、参加者25名と盛会ななかでの自由討論となり、ナースの個人的能力、時間体験、フィールドワークの困難さなどをめぐって、活発な意見が交わされた。

第225回定例研究会

日 時:平成26年11月8日(土)13:00〜16:00
場 所:大阪市立大学杉本キャンパス(学術情報センター5階 AVホール)
報告者:山田陽子先生(広島国際学院大学)
タイトル:自殺の医療化と労災補償:メンタルヘルスと責任帰属
 山田先生はまず、自殺という現象が、労働災害保険において「故意」による行為として保険給付対象外とされ、うつ病という疾患名および「心神喪失」という法的概念を介して例外的にのみ給付が認められていた時代から、自殺の業務起因性を認め「故意の欠如の推定」原則が容認されるにいたる歴史的経緯を丹念に指示するところから議論を始める。そこから、自殺と労災の「リスク化」という社会的動向を踏まえた上で、労災認定状況において、医学的判断、行政判断が錯綜する事態を指摘し、遺族が戦略的な動機の語彙として「医学的語彙」を選択すること、労災認定プロセスにおいて診断書が「医学的根拠」として機能すること、その結果として医療化が再生産される過程が提示される。
 上記の提示自体、非常に説得的かつ興味深いものであったが、とりわけ「責任帰属」の箇所で言及された遺族の事例は印象的であった。
 報告後、10名程度の参加者による自由討議を行い、事実確認あるいは方法論的問題をめぐって、活発な意見交換がなされた。

第224回定例研究会

日 時:平成26年9月6日(土)14:00〜16:00
場 所:首都大学東京秋葉原サテライトキャンパス会議室A・B
報告者:青木美紀子先生(聖路加国際病院遺伝診療部 看護師・認定遺伝カウンセラー)
タイトル:遺伝カウンセリングの現状と社会との関わり−遺伝性腫瘍−
 青木先生からは、聖路加国際病院での遺伝医療に携わる認定遺伝カウンセラーとしての経験も踏まえた報告をいただいた。まず遺伝医療の多様性として遺伝医療に含まれる医療の種類や対象者の多さ、関わる診療科や職種の多さが特徴として示され、次に遺伝性乳がん卵巣がん症候群を中心に遺伝性腫瘍の説明、病院での取り組みが報告された。
最後には検査結果が血縁者を巻き込むものであること、現在は重要性が分からない遺伝情報が、将来的に重大な内容をもたらすことが分かった場合どうするのかといった問題や、近年国内でも誕生した遺伝子検査ビジネス、また予防的手術の保険適用やカウンセリング体制の充実や人材の育成など遺伝医療の社会的側面についても指摘がなされた。
 報告後、数名の参加者と講師との間で自由討議が行われ、著名人に関する報道でその存在を知る者は増えたが、報道では伝えられない外国で”previvors”と呼ばれている非発症の保因者の問題が血縁者にも広がる可能性があることなど、遺伝医療の特殊性についての活発な意見交換がなされた。

第223回定例研究会

日時:2013年2月1日(土)13:30〜16:30
場所:大阪市立大学梅田キャンパス(駅前第2ビル6階 文化交流センター)
報告者:村上靖彦先生(大阪大学)
タイトル:精神科看護師の語りを通した現象学的研究
村上先生は現象学の視点から看護実践を分析されてきた。当日は、近著の『摘便とお花見』を踏まえながら、現象学的分析の方法論的特質、そして現在進めておられる単科精神病棟の看護師の語りの分析についての報告がなされた。
一見すると意味をなさないかに見える「ノイズ」や「シグナル」を手掛かりに、そこに「モチーフ」(<意味のある>要素)を読み取り、モチーフ間の布置に語り手の意図を超えた構造を見出していくプロセスは刺激的で興味深いものであった。同時に、この分析それ自体が一つの「ナラティブ」を構成しうるものであり、それゆえ語り手への「カウンセリング」効果を持つという印象も抱かされた。
研究会には38名の参加があり、予備の椅子とプリントアウトを用意する必要があったほどの盛会であった。報告後、参加者との質疑応答、自由討議が行われ、方法論的問題に関する質疑、個別のトピックをめぐる解釈等について活発な意見交換がなされた。

第222回定例研究会

日  時:2013年2月22日(土)14:00〜16:00
場  所:首都大学東京秋葉原サテライトキャンパス会議室 A・B
報 告 者:堀田聰子先生(労働政策研究・研究機構:研究員)
タイトル:地域包括ケアの担い手を考える
 堀田先生は公共政策科学の視点から、国などが実施する様々な調査研究に関わられており、多くの調査結果を基に以下の7点について報告がなされた。1.介護労働市場と介護労働力需要、2.介護職をめぐる政策の変遷、3.採用・離職と過不足感をめぐって、4.介護職員のストレス軽減と雇用管理、5.人材確保・定着とワーク・ライフ・バランス、6.諸外国におけるケアの担い手をめぐる政策・研究の動向、7.地域包括ケアのまちづくりに向けて。
 特に介護職の離職率やその理由は常勤・非常勤、施設・非施設によって異なっていることや、地域社会に開かれた事業所であることが職員の質・量の確保につながる可能性があるといった指摘は、社会学的な視座からも研究の蓄積が求められる内容であった。
 報告後10名程度の参加者との質疑応答、自由討議が行われ、対人サービス職間での人材移動を容易にするシステムや、地域包括ケアにおける地域の看護力(機能)を高める方策について意見交換がなされた。

第221回定例研究会

日  時:平成25年10月5日(土)15:30〜17:30
場  所:大阪市立大学梅田キャンパス(駅前第2ビル6階 文化交流センター)
       https://www.osaka-cu.ac.jp/ja/academics/institution/bunko/index.html
報 告 者:山田富秋先生(松山大学)
タイトル:ライフストーリー研究における理解の達成――薬害HIV感染被害の社会学的調査から
 山田先生は、2001年から2010年にかけてなされた「輸入製剤による薬害HIV感染被害調査研究委員会」の研究成果を、著書『フィールドワークのアポリア』に依拠しつつ、ライフストーリーの観点から詳説された。メディアによって構築された単純な加害?被害構造の図式を、ライフストーリーの丹念な解読・文脈化を通して溶解させてゆくプロセスはスリリングで刺激的なものであった。同時に、社会学者という外側に位置するものが、いかにして内部理解にたちいたったか、いたりえたのかを描くことによって、自省を強いられる方法論的な問題提起でもあった。
 報告後、10数名程度の参加者による自由討議を行い、事実確認あるいは方法論的問題をめぐって、活発な意見交換がなされた。

第220回定例研究会

日  時:平成25年8月3日(土)14:00〜16:00
場  所:首都大学東京荒川キャンパス 1階182教室 (熊野前駅 徒歩3分)
     http://www.tmu.ac.jp/university/campus_guide/access.html#maparakawa
話題提供者:松繁卓哉先生/国立保健医療科学院 主任研究官
指定発言者:浦野慶子先生/帝京大学 専任講師
テ ー マ:日本の保健医療福祉への海外からの関心と日本からの情報発信に向けて
概  要:
2014年にはISA世界社会学会議横浜大会が開催され、世界から多くの社会学者が日本を訪れます。日本の保健医療社会学にとっても、日本の保健医療福祉の状況や保健医療社会学の研究成果を国際的に認知してもらう好機といえます。そこで今回の定例研究会では海外での調査研究等を進めてこられた松繁先生に、ご自身の経験を踏まえて日本の保健医療福祉に対する海外の関心の高さや、日本から世界に発信していくべき知見についての話題提供をしていただきます。また浦野先生には松繁先生の話題提供を受けてのコメントとアメリカ社会学会での保健医療社会学の研究動向についても情報提供をしていただきます。最後には全体でのディスカッションを行いながら、参加者にISA横浜大会への関心を高めてもらいたいと考えます。
連 絡 先:清水 準一(jshimizu@hs.tmu.ac.jp)  @を半角にしてください。

(研究活動担当理事・関東:木下康仁、清水準一)

第219回定例研究会

日  時:平成25年3月3日(日)14:00〜16:00
場  所:筑波大学東京キャンパス 4階432教室 (茗荷谷駅 徒歩5分)
講  師:田中俊之先生/学習院大学等非常勤講師
テ ー マ:現代日本社会における自殺者数の推移について――男性学の視点から
概  要:
日本では、1998年に年間の自殺者数が3万人を突破する。その後、2003年の34,427人をピークに、2011年まで連続して3万人という数字が続くことになる。男性の自殺者数は、1997年の16,416人から翌1998年には23,013人と急増し、2011年の20,955人にいたるまで14年連続して2万人代であった。人口10万人当たりの自殺者数である自殺死亡率でみれば、過去最悪の数字となった2003年の40.1は、女性の2.77倍に達している。指摘しておかなければならないのは、バブル期の1986年から1990年においても日本では自殺者は2万人を超えていたという事実である。そして、今日ほどではないにせよ、その数にはやはり男女差があった。すなわち、自殺においてはもともと男女差があり、1998年以降に、その差を広げるような要因があったと理解するのが適切である。このように性別によって大きな偏りのある自殺という現象を、男性学の視点から考察する。
連 絡 先:小澤 温(ozawa-a@human.tsukuba.ac.jp)  @を半角にしてください。

(研究活動担当理事・関東:朝倉京子、小澤 温)

第218回定例研究会

日  時:平成25年2月9日(土)13:30〜17:30
場  所:関西学院大学大阪梅田キャンパス 1403号室
     (阪急「梅田駅」 茶屋町口改札口より北へ徒歩5分)
     参照URL:http://www.kwansei.ac.jp/kg_hub/
講  師:藤井ひろみ先生/神戸市看護大学、ほか1名を予定(現在調整中)
司  会:佐藤哲彦(関西学院大学)
タイトル:「患者と保健医療従事者のためのクィア・スタディーズ入門」

概  要:
今回の研究会は「患者と保健医療従事者のためのクィア・スタディーズ入門」と題し、クィア・スタディーズと保健医療社会学の接点について検討する。保健医療の現場には人間のセクシュアリティが露わになる場面が少なからずある。そこでまずクィア・スタディーズの基本的概念枠組みについて議論し、そののち、藤井ひろみ先生より「看護における対象理解とクィア・スタディーズ」と題して、具体的な保健医療実践のなかでそれがどう関わっているのかについてお話しいただく。今回は、クィア・スタディーズを通じて保健医療の現場における多様な患者の様々なセクシュアリティに纏わる現象が、どのように解釈可能となるのか、その可能性を共に考えてみたい。
連 絡 先:佐藤哲彦(akisatocom@gmail.com)  @を半角にしてください。

(研究活動担当理事・関西:池田光穂、佐藤哲彦)

第217回定例研究会

・テーマ:「自立と支援の社会学」
・日時:9月16日(日) 13:00〜15:00
・場所:筑波大学 東京キャンパス 4階432ゼミ室 (茗荷谷駅 徒歩4分)
・講師:佐藤 恵先生(法政大学・キャリアデザイン学部)
・司会:小澤 温(筑波大学)

2012年9月16日に、筑波大学文京キャンパスにおいて、佐藤恵氏(法政大学キャリアデザイン学部准教授)により、「自立と支援の社会学:阪神大震災とボランティア」というテーマで1時間程度の報告がなされ、その後1時間程度の質疑を行った。佐藤氏の報告は、最初に、自らの研究の立場を概括的に述べた後、著書である「自立と支援の社会学:阪神大震災とボランティア」(東信堂、2010年)の内容の説明を中心に行われ、最後に、東日本大震災への示唆に関して資料をもとに説明がなされた。内容は、阪神大震災を契機とした障害者と支援者による「支えあい」の取り組みとそれに関わる第三者(コミュニティ、市民の共感、行政)との関係について、神戸市での現場での聞き取りをもとに、社会学的に考察したことを、著書の章立てにそってポイントを絞った説明がなされた。その後の質疑では、災害時、緊急時の行政をどう考えるのか、東日本大震災でも阪神大震災でみられた課題が再現したこと、などの点について意見交換がなされた。(文責:小澤 温)

(研究活動担当理事・関東:朝倉京子、小澤 温)

第216回定例研究会

・テーマ:「自閉症」の医療化と社会問題化について:医療社会学からのアプローチ
・日時:2012年6月30日(土):13時30分〜17時
・場所:大阪大学全学教育推進機構・全学教育総合棟(1)2階:セミナー室1
    ※会場は大阪大学コミュニケーションデザイン・センター(CSCD)がある同じ建物です。
    グーグルマップ参照。 http://bit.ly/banpOM
・講師:竹内慶至(金沢大学子どものこころの発達研究センター社会技術部門)
    工藤直志(金沢大学人間社会研究域学校教育系研究員)

関西地区研究会を2012年6月30日(土)13時30分〜17時に大阪大学大学教育実践センター・研究教育棟(1)2階:セミナー室1において開催した。今回のテーマは「『自閉症』の医療化と社会問題化について:医療社会学からのアプローチ」であり、竹内慶至さん(金沢大学子どものこころの発達研究センター社会技術部門・助教)と工藤直志さん(金沢大学人間社会研究域・研究員)に話題提供していただき、その後、会員を交えて討論した。話題提供者であった竹内氏と工藤氏は、金沢大学での「子どものこころ発達研究センター」の諸活動に関わる数少ない医療社会学者として、日々これらの問題に直接関わっておられ、現場からの「生の声」を報告していただいた。ここで医療社会学ならびに保健医療社会学の研究において「自閉症」を考えることは少なくとも次の3点を含めて極めて重要である。
(1)エヤールらの『自閉症のマトリクス』(2010)研究以降、これらを形成する一連「疾患」が、古典的でシンプルな医療化の産物というよりも当事者と家族を含めた支援者グループ、教育政策や福祉政策担当者や製薬業界などが絡む複雑な社会現象の一環として現れてくることを指摘していること。
(2)「自閉症」が「精神遅滞」や「精神疾患」という疾患や障害のカテゴリーに単純に収まるのではなく、緩やかに「健常人」との連続性を持ちながら、脱施設化による行動の自由を含む社会的活動に参与する権利主体としての「浮上」を市民社会は考慮せざるを得ないこと。すなわち理性概念をめぐる近代の人間観の変化を表象する出来事であるということ。
(3)日本や欧米では、pET, MEG, fMRI, NIRSなどの脳の活動をイメージングする機器の発達と認知脳科学研究の進展により「自閉症」の脳科学的な解釈や説明(=言説)が、科学ジャーナリズムを介して市民生活の中に入ってきて、自閉症に介入——一般的には「治療」を意味する——することができるのでないかという「期待」が急速に成長しつつある。それゆえ我が国でも科学技術振興機構(JST)などの政府系機関が大規模な予算をつけた数々の「プロジェクト研究」が進んでいること。すなわち、基礎科学と技術開発と応用的な実践科学としての医療の三すくみの複合体が「自閉症」を取り巻いているということ、である。会場では『社会学評論』63-1で「テーマ別研究動向(医療)」レビュー論文を上梓されたばかりの山中浩司氏などからコメントなども出て、発表者も含めて十数名のこぢんまりとした参加の規模ではあったが、その議論は多岐にわたり活発に展開された。終了後の懇親会の席上では、今回の研究会をより発展させて、本学会での分科会やシンポジウムとして企画提案しようとする構想も沸き上がり午後から夜まで大いに盛り上がった。(文責:池田光穂)

(研究活動担当理事・関西:池田光穂、佐藤哲彦)

第215回定例研究会

・テーマ:HIV陽性者の現状について考える
・日時:3月3日(土)14時〜17時
・場所:関西学院大学大阪梅田キャンパス
    (大阪市北区茶屋町19-19 アローズタワー14階(受付)
    阪急梅田駅茶屋町口より徒歩5分)
・講師 :日高 庸晴(宝塚大学・看護学部)
     榎本てる子(関西学院大学・神学部)
・司会:佐藤 哲彦(関西学院大学)

今回の研究会のテーマは「HIV 陽性者の現状について考える」であり、まず最初に、宝塚大学の日高康晴氏より「ゲイ・バイセクシュアル男性の薬物使用行動に関する研究−全国インターネット調査の結果から−」というタイトルでお話しいただいた。日高氏の講演は、これまでのHIV 感染傾向を踏まえ、性的志向自覚の年齢とセクシュアリティ教育欠如の問題、そのような社会的環境に置かれたゲイ・バイセクシュアル男性の孤独感や薬物使用の状況など多岐にわたり、示されたデータとともにHIV 陽性者の現状を理解するのに非常に重要なものであった。次にHIV 陽性者へのカウンセリングを長年続けていらっしゃる関西学院大学の榎本てる子氏より「HIV 陽性者と薬物使用−カウンセリングの現場からの報告―」と題してお話しいただいた。榎本氏の講演は、行動変容理論を踏まえてカウンセリング事例をそのステージに沿って整理しつつ、HIV 陽性者の感染過程やその悩みなどについて具体的に示したもので、現実のHIV 陽性者を理解するのに非常に重要なものであった。NpO からの出席者や、HIV 陽性者支援のための学生サークルからの出席者などもあり、時間も延長して活発な議論が行われた。

第214回定例研究会(関東)

・テーマ:「生命倫理学の挑戦:『自己決定』概念の再構築」
・日時:平成24年3月11日(日)14:00〜16:00
・場所:筑波大学・文京キャンパス2階 講義室8 (丸の内線 茗荷谷駅 徒歩5分)
・講師:根村直美(日本大学経済学部教授)
・司会:朝倉京子(東北大学)

根村氏からは、かつて生命倫理学においてキー概念であったが、現在はその位置から転落しつつある「自己決定」概念を、フェミニスト哲学者のマリリン・フリードマンの議論を手がかりに再構築する独自の試みが紹介された。報告をめぐっては、欧米と日本での自己決定をめぐる相違やコンテクストの重要性、自己決定を超越する共同決定の可能性、合意の形成、などについて活発にフロアとの意見交換がなされた。

第213回定例研究会

・日時:2011年10月1日(土)13時〜17時
・場所:大阪大学豊中キャンパス
・講師:西村ユミ(大阪大学)
    蘭由岐子(神戸市看護大学)
    池田光穂(大阪大学)
・テーマ:調査の経験についての語りを伝える ――質的調査の過去・現在・未来――

 2011年10月1日午後1時から、日本保健医療社会学会・関西支部例会が大阪大学・豊中キャンパス「スチューデントコモンズ」で開催された。研究会のテーマは「調査の経験についての語りを伝える:質的調査の過去・現在・未来」というのもので、西村ユミ(大阪大学)「急性期病棟におけるフィールドワークの経験から」、蘭由岐子(神戸市看護大学)「ハンセン病問題と『薬害HIV』問題に関する調査の経験から」、池田光穂(大阪大学)「海外での文化人類学のフィールドワーク調査の経験から」の3名が、それぞれのフィールドワークの実際の経験、その後に作成されたモノグラフに書かれたこと/書かれなかったこと、フィールド経験の表象としてのモノグラフの意義などについて話題提供した後、およそ40名の参加者を交えて総合討論した。全体で4時間以上にわたる発表と討論であったが、フロアからの質疑応答や、コメントシートを使った、保健医療社会学の基本的問題構成のみならず、看護における質的研究教育の現実や、現場実践を質的方法によって表現する方法の可能性など活発な議論が展開された。

第212回定例研究会

・日時:2011年9月24日(土)14時〜16時
・場所:筑波大学東京キャンパス 208教室
・講師:原山 哲(東洋大学・社会学部)
・テーマ:ケア組織の国際比較−パリと東京

 2011年9月24日に、筑波大学文京キャンパスにおいて、原山哲氏(東洋大学社会学部教授)により、「ケア組織の国際比較−パリと東京」というテーマで1時間程度の報告がなされ、その後1時間程度の質疑を行った。原山氏の報告は、看護職の専門性に関する日仏比較調査研究(1988年調査と2008年調査)の結果を中心に、看護労働の実態、業務の違いなどについて20年間の変化を中心に調査データをもとに解説した。後半の意見交換では、開業看護師の多いフランスにおける「看護師の固有の役割」の意味、近年フランスにおいて重視されているpOLE(複数の病棟をまとめて看護師のセクタリズムを超える試み)導入の課題について質疑と意見交換を行った。

第211回定例研究会

・日時:2011年3月19日(土)13:30〜
・場所:龍谷大学大阪梅田キャンパス
・講師:栗岡幹英氏(奈良女子大学)
    油井清光氏(神戸大学・日本学術振興会・学術システム研究センター専門研究員)
    田島明子氏(吉備国際大学)
・テーマ:研究費申請支援のために

 第211回定例研究会(関西)を,3月19日(土)14:00〜,TKp大阪梅田ビジネスセンターにおいて,諸事情から会場と時間を急遽変更し開催しました。「研究費申請と獲得の実際−仕組みと実例−」をテーマとし,科研費と民間研究費の両方に目配りしつつ,「研究費と学会との関係」や「研究費と研究者のキャリア戦略との関係」にいたる発展的な議論を行いました。司会は,樫田美雄(徳島大学)。
 まず,前半で,科研費審査の仕組みと実際について,栗岡幹英氏(奈良女子大学),・油井清光氏(神戸大学・日本学術振興会)に講演を頂きました。ついで,後半で,作業療法ジャーナル研究助成第2回受賞者の田島明子氏(吉備国際大学)に,獲得までの経緯と獲得後の推移を講演して頂きました。
 科研費については,過去の慣習や,理系に関する情報があたかも現在も通用している科研費一般に関する情報であるかのように流通している事実があり,そのいくつかが現在的・文系的に修正されました。例えば,「少なくとも社会学では,科研費獲得において,欧文論文の執筆歴が必須ということはない」,「第1次審査の審査員構成はほぼ半舷上陸方式で入れ替わる」,「3年続けて応募すれば獲得できるというのは,都市伝説」,「費目内の複数の第一次審査チームへの各応募課題の割り振りは,キーワードによってなされている」などの重要な情報開示が行われました。その結果「無理をして欧文論文のある分担研究者を迎える必要はないだろう」,「キーワードとする文言は,よく吟味しなければならない」等が実践可能と推論されました。
 民間研究費に関しては,支援金額そのものの研究促進効果だけでなく,受賞で意欲がわくことや,資金提供団体等とつながりができることによる効果(田島氏は,この研究資金関係のつながりから単著出版に至った)も語られました。また,総括討論では,田島氏が専攻する「作業療法史」のような分野は,「作業療法」でやっと一つの審査グループを成しているに過ぎず,文系的な企画を適正に評価する科研費審査の枠組みはいまだ成立していないということなども話し合われました。

第210回定例研究会

・日時:2011年3月5日(土)13:30〜16:30
・場所:法政大学市ヶ谷キャンパス80年館7F大会議室1。
(図書館と同じ建物ですが、入り口は別です)
・講師:川口有美子(さくら会)
・司会:三井さよ(法政大学)

 第210回定例研究会は,3月5日(土)13:30〜法政大学市ヶ谷キャンパス80年館7F大会議室1にて,川口有美子さん(さくら会)から「『ただそこにいる』という関係」と題して報告がありました。報告では,川口さんの著者『逝かない身体―ALS的日常を生きる』(医学書院)に基づいて,そこには書ききれなかった経緯や思いなどを話していただきました。討論では,他の国々でのALS患者を取り巻く状況や障害者運動とのかかわりについて質問が出て,ALS患者が「病人」と扱われるか「障害者」と扱われるかという点で大きな違いが出てくることなど,川口さんから国際的な視点から捉えたお話を伺いました。また,入院に際して,医療体系と福祉体系の齟齬についての議論も出されました。さらに,人工呼吸器の装着を「選択」とさせ,「選好」とならない社会のあり方が何に起因するのかなど,議論が深まりました。
 参加者は8名と少なめだったのですが,その分密度の高い議論となりました。司会は三井さよ(法政大学)。

第209回定例研究会

・日時:2010年12月11日(土)15:30〜18:00
・場所:首都大学東京秋葉原サテライトキャンパス会議室A
・講師:栗盛須雅子氏(茨城キリスト教大学)
・司会:三井さよ(法政大学)

第209回定例研究会では、栗盛須雅子氏(茨城キリスト教大学)から「自治体別にみた健康寿命(余命)の現状」と題してご報告いただいた。出席者は9名。栗盛さんからは、介護保険認定を利用して新たに開発した指標である、障害調整健康余命(DALE)や加重障害保有割合(WDp)について解説していただき、さらにそれらの指標を活用した実践例として、神奈川県南足柄市や茨城県での取り組みについてご紹介いただいた。DALEやWDpをはじめとして、多様な指標を用いての「健康」の現状の分析や取り組みの可能性について示された。フロアからは、効用値に関する質問や、茨城県で栗盛さんと共同研究をしている職員の意見も出され、議論がなされた。

第208回定例研究会

・日時:2010年9月25日(土)13:30〜16:30
・場所:首都大学東京秋葉原サテライトキャンパス
・講師:猪飼周平(一橋大学)
・司会:三井さよ(法政大学)

第208回定例研究会(関東)は、9月25日(土)に首都大学東京秋葉原サテライトキャンパスにて、猪飼周平さん(一橋大学)から、「地域包括ケアシステムの社会理論へ向けて」と題してご報告いただいた。コメンテイターは稲葉振一郎さん(明治学院大学)、司会は三井さよ(法政大学)。参加者は30名。
猪飼さんから、2010年3月に上梓された『病院の世紀の理論』(有斐閣)の議論を土台として、20世紀の病院を中心とした医療システムに課せられた課題から論理的に解きほぐし、医療システムが三つの類型に分けられること、それぞれが持つ必然性や帰結について論じられた。日本の20世紀医療システムを安易な特殊論ではなく、より総合的に捉える視角が提供された。また、現在医療システムに生じている転換期の内実と、新たな医療システムを探る試論が展開された。稲葉さんのコメントでは、猪飼さんの議論が川上武の議論が持つ潜在的な力を読みとり医療史を描きなおすものであり、日本のプロフェッション論としても優れた意義を持つものであることが示された上で、現在生じている転換について、その断絶と連続性をどのように考えるか、それは社会における医療の持つ機能そのものを問いかえすことにもつながるのではないか、という問題提起がなされた。フロアからは、主に医療従事者として働く人たちから、現在の転換をどのように捉えたらいいのかという質問がいくつか出された。総じて、今後の保健医療社会学が何を課題とすべきか、多くの示唆を与えられた。

第207回定例研究会

・日時:2010年9月18日(土)13:30〜17:30
・場所:龍谷大学大阪梅田キャンパス研修室
・講師:樫田美雄氏(徳島大学・大学院)、木下衆氏(京都大学大学院)、有吉玲子氏(立命館大学大学院)
・司会:伊藤美樹子(大阪大学)

第207回定例研究会(関西)を、9月18日(土)に龍谷大学大阪梅田キャンパスにて開催いたしました。今回は、テーマを「論文投稿支援のために―論文審査の実際と査読コメントの読み方:論文投稿から掲載まで―」と定め、事前配付資料のある新機軸の研究会でしたが、全国から39名の参会者がありました。司会は、伊藤美樹子氏(大阪大学)。
まず、第1部で、論文審査の実際について、樫田美雄氏(徳島大学・大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部)より、「論文投稿のすすめ―投稿誌の選定から査読対応まで」、天田城介氏(立命館大学・大学院先端総合学術研究科)より、「歴史と体制を理解して書く―社会学の学会研究体制の歴史と現在」と題した講演がありました。続いて第2部で、査読コメントの読み方実習について、木下衆氏(京都大学大学院)による発題その1(論文+コメント+リプライ)と、有吉玲子氏(立命館大学大学院)による発題その2(私の査読雑誌投稿物語)がありました。
議論では、「投稿者側」と「編集委員会・査読者側」とのコミュニケーションはもっと盛んになった方がよいという意見があり、一方で、実務側から、その要望に応えることが現在の編集体制では難しいという意見がありました。また、第2部の演者から、論文をよくするための環境作り(多様な助言者の確保・口頭発表の場の確保等)は、自分自身で行うべきであるという意見や、締め切りや学術性の程度などの異なる多様な雑誌があることを活用した投稿戦略についてよく考えるべきだという意見が出されました。
終了後、「査読割れの処理法がわかって興味深かった」「どんな感じで査読が進行しているのか、審査の原理がわかって納得した」などの感想が聞かれました。

第206回定例研究会

・日時:2010年3月27日(土)13:30〜
・場所:首都大学東京秋葉原サテライトキャンパス
・講師:松岡智恵子氏(首都大学東京大学院)
・司会:三井さよ(法政大学)

第206回定例研究会(関東)は、3月27日(土)13:30〜首都大学東京秋葉原サテライトキャンパスにおいて行われました。松岡智恵子さん(首都大学東京大学院)から「介護施設内の高齢者虐待防止にむけた第三者機関活用に関する研究――国保連合会「苦情処理業務」の取組から――」と題して報告がありました。補足として、八王子市で介護相談員を務める菅原まり子さんからも、虐待防止の取組について紹介がありました。司会は三井さよ(法政大学)。参加者は12名。
松岡さんからの報告は、高齢者虐待防止の現状を踏まえたうえで、介護施設内での虐待防止に取り組む上で重要な手掛かりの一つとして、国保連の「苦情相談」が虐待相談でもあることに着目したものでした。それを具体的な対策につなげられるために、「苦情相談」が匿名ではなくなるような信頼関係を、苦情処理担当職員が相談者との間に育めるようなプログラムを作り、実際に匿名の訴えを正式な苦情申立につなげていった取組について紹介がありました。
フロアからは、虐待の防止が有機的につながることの重要性などが提起され、また虐待防止を考えるなら医療・福祉のより構造的な問題に取り組まなければならないという議論にもなりました。さまざまな背景を持つ研究者が集まり、それぞれの立場から高齢者虐待という大きな問題への取組をともに考える場となりました。

第205回定例研究会

・日時:2010年3月6日
・場所:龍谷大学大阪梅田キャンパス
・講師:霜田求氏(大阪大学) 杉浦圭子氏(大阪大学)

第205回定例研究会(関西)を龍谷大学大阪梅田キャンパスにて開催しました。今回は、霜田求氏(大阪大学)に「脳と行動−ニューロサイエンスの倫理から−」、杉浦圭子氏(大阪大学)に「日本の介護者の性差−東大阪市の介護保険サービス利用者縦断調査の結果から−」という演題でお話し頂きました。討論では、霜田氏に対しては「脳科学の主張を疑似問題を前提としたものであると主張するのなら、もはやその非科学性を告発する必要はないのではないか?」という問いや「ロンブローゾの頃の議論に似ているのではないか」という問い等が出されました。杉浦氏には「なぜ東大阪で縦断調査するのか?」「疑似相関を見落としている面はないのか?精神状態にはそもそも男女差があるのではないか」等の問いが出されました。コーヒーブレークも含め、和気藹々とした雰囲気で有意義な意見交換ができました(参加者14名)。

第204回定例研究会

・日時:12月19日(土)13:30〜
・場所:首都大学東京秋葉原サテライトキャンパス会議室C
・講師:戸ヶ里泰典氏(山口大学)
・司会:星旦二(首都大学東京) 三井さよ(法政大学)

第204回定例研究会(関東)は、12月19日(土)13:30〜首都大学東京秋葉原サテライトキャンパス会議室Cにて、戸ヶ里泰典氏(山口大学)から、「Sense of Coherenceと社会研究」と題してご報告いただきました。司会は星旦二(首都大学東京)、三井さよ(法政大学)。参加者は21名。 SOC論の背景となっている健康生成論から解きほぐし、特にSOC形成・規定要因に関して、従来の仮説や実証研究について、さらには戸ヶ里さん自身の仮説とその検討について、詳しくご紹介いただきました。
フロアとの間では、SOC概念が支援論にとってもつ意義や潜在的可能性について、多く論点が出されました。また、ポジティブ心理学との関連、SOC形成・規定要因に関するとらえ方などについても議論となり、さまざまな論点にかかわる活発な議論がなされました。

第203回定例研究会

・日時:10月3日
・場所:神戸学生青年センター
・講師:井口高志氏(信州大学医学部保健学科) 山中京子氏(大阪府立大学人間社会学部社会福祉学科)
・司会:樫田美雄(徳島大学)
・コメンテイター:栗岡幹英氏(奈良女子大学)

第203回定例研究会(関西)を神戸学生青年センターにて開催しました。今回は「倫理的観点から見直す医療と福祉の社会学」と題して、井口高志氏 (信州大学医学部保健学科)「研究倫理と向かい合うことから社会学研究を問い直す−認知症ケアに関する調査経験から−」と山中京子氏(大阪府立大学人間社会学部社会福祉学科)「個人情報の保護をどのように実現するのか −HIV 感染者への面接調査経験を踏まえて−」のお二人に登壇いただき、コメンテーターには栗岡幹英氏(奈良女子大学)を迎えました。司会は樫田美雄(徳島大学)。全体討論では、研究者の倫理と手続き・装置としての倫理委員会問題を切り口に、被験者の権利を守るための個人情報の保護と研究としての研究手続きの妥当性・検証可能性の保障との兼ね合いや、被験者の権利を守るという約束とその対象に対する研究者としての批判的な態度との兼ね合い等、調査者と被調査者の関係について意見交換がなされました。また医療系のみならず、社会福祉領域においても学会や研究機関・大学での倫理規定や倫理委員会の設置が進んでいる趨勢について報告され、当学会においてもそうした倫理規定や倫理綱領の必要性や策定を検討する時期ではないかとの議論がなされました(参加者18名)。

第202回定例研究会

・日時:9月12日(土)13:30〜
・場所:キャンパスイノベーションセンター田町の多目的室4
・講師:浮ヶ谷幸代さん(相模女子大学)
・司会:三井さよ(法政大学)
・コメンテイター:鷹田佳典(法政大学)

相模女子大の浮ヶ谷幸代氏に「『開かれた専門性』に向けて:北海道浦河町精神保健福祉の取り組みから」と題して報告していただいた。北海道浦河町赤十字病院精神病棟の看護実践と、精神保健の多職種連携の取り組みに関するフィールドワークから、ケアのなされる「場」に注目し、その「場」によって生まれる/を生み出すローカルな専門性を汲みとろうとする報告であった。フロアからは多くの質問が出て、専門性や場などの定義に関してや、場を変えたときにどのような実践へと変化するのか、文化という視点がどう生きるのか、などが議論となった。会場の制限時間ぎりぎりまで議論が続くなど、活気ある会となった。

看護・ケア研究部会

研究活動報告

2015

第5回定例研究会(看護・ケア研究部会 3月定例会)

日 時:3月12日(土)14:00〜16:00
場 所:東京女子医科大学看護学部 第2校舎4階 241教室
発表者:吉田澄恵さん(東京女子医科大学)
発表テーマ:「看護学教育の変遷から考える看護職と社会の関係に関する一考察」
要旨:
「看護学教育の変遷から考える看護職と社会の関係に関する一考察」と題して、まず、日本における看護職資格に関わる主な法、基礎教育制度、看護師国家試験制度、厚生労働省で定めている看護師養成教育のカリキュラムの主要な変化を概説した。さらに、看護職のキャリア開発の現況と、看護学研究の主たる関心を看護現象との関係性で整理し報告した。その上で、看護職を社会システムとの関係でどう位置づけ、看護職が社会システムに及ぼす影響について検討していくことの必要性を述べた。また、看護職が看護学を基盤として、社会システムの変革に関与していくためには、看護学の知を社会全体の知へと解放していくことが重要であると考えていることを述べた。ディスカッションでは、ミクロ社会に焦点をあてる看護学の成果を、マクロ社会に応用していく上で、医学や社会福祉学とは異なった特徴と課題があることが検討された。

第4回定例研究会(看護・ケア研究部会 1月定例会)

日  時:1月9日(土)14:00〜16:00
場  所:首都大学東京荒川キャンパス 校舎棟3階333教室
発表者:鷹田佳典さん(早稲田大学)
発表テーマ:「医師のgrievingとその規定要因」
要旨:
本報告では、15名の小児科医に対して行った聞き取り調査の結果をもとに、医師が患者の死をどのように経験しているのかについて報告を行いました。しばしば、医療専門職者は患者の死に「慣れている」という言い方がされますが、調査からみえてきたのは、患者の死に直面した小児科医は、喪失感や悲しさ、患者を救えなかったという自責の念、患者が病いから解放されるという安堵感など、複雑な感情を経験しており、患者の死は医師にとって、それに向き合うために一定の“work”を必要とするような課題として立ち現れているということでした。報告では、こうした課題に対し、小児科医が、患者やその家族から一定の距離を置く、先輩医師の思いにふれる、医師間で相互的な支援を行う、患者の死に意味を見出す、次の患者に気持ちを切り替える、遺族との対話から治療を振り返るといったさまざまな仕方で向き合っていることを指摘しました。報告に対し、医師による感情労働の内実や指導医の影響、患者の死に対し業務的に対応することの弊害についての質問・意見があり、今後、データを分析していくうえでの貴重な示唆を得ることができました。

第3回定例研究会

看護・ケア研究部会 関東定例会共催 公開企画 報告
日 時:11月28日(土)15:00〜17:00
場 所:首都大学東京荒川キャンパス 講堂
テーマ:「医療政策の決定過程:会議の政治学」
講師:森田 朗先生(国立社会保障・人口問題研究所 所長)
指定討論者:小澤 温先生(筑波大学大学院人間総合科学研究科 教授)
司会:中村 美鈴(自治医科大学看護学部 教授)
要旨:中央社会保険医療協議会(以下、中医協)の元会長による講演であり、審議会の機能をはじめとした医療政策の決定過程について、報告がなされた。具体的には、医療政策の合意形成の類型とプロセス、中医協の関連組織、既存の医療システムにおける診療報酬改定のスケジュールとあり方、審議の実際、決定のメカニズムなど、経験に基づく講和であり、わかりやすく説明いただいた。その上で、支援現場の実態と政策に詳しい小澤温先生から、「事務局の想定シナリオに沿った合意形成がなされていくのか、その場合は知見や既存の研究データなどエビデンスとなるものはどう考えたらよいのか、中医協の決定のあり方にも検討が必要ではないか」とコメントがあった。他、フロアの参加者と課題を共有し、活発な討議がなされた。
参加者は33名であった。アンケートは23名から回答いただき、その内容は「中医協で行われている議論が具体的に理解できた」、「経験を踏まえてご教示いただき、非常にわかりやすく面白かった」など、大変好評で肯定的な意見ばかりであった。

第2回定例研究会(看護・ケア研究部会 9月定例会)

日 時:9月12日(土)14:00〜17:00
場 所:首都大学東京荒川キャンパス 校舎棟4階463教室
発表者:齋藤公子さん(立教大学大学院博士課程前期課程)
発表テーマ:「がん患者は<補完代替医療>の利用でなにを手にしたか ―グループワークに参加する患者たちの語りから―
要旨:
今回は、がん患者当事者である発表者が、がん患者を対象としたグループワークで出会ったピア8名に対してインタビューを行い、それにもとづき執筆している修士論文の概要を報告した。
この研究はライフストーリー研究として進められてきたが、その理由や、研究目的に照らしたその妥当性について議論された。そのなかで、研究者の当事者性は研究にどのように反映されるべきかという点についても検討がなされた。
 加えて、<補完代替医療>の使用というがん患者たちの行動をどう捉えるのかについて、掘り下げた議論がなされた。医療者か患者かなどの立場の違いにより、捉え方に違いが出ることが明らかになった。
 先行研究の選択とその検討における課題、研究の意義やその結果活用における課題なども浮き彫りになった。看護学、社会学それぞれの異なった領域の研究者の参加により議論が深まり、意義深い機会となった。

第1回定例研究会(看護・ケア研究部会 7月定例会)

日 時:7月11日(土)14:00〜16:00
場 所:首都大学東京荒川キャンパス 校舎棟382教室
発表者:坂井志織さん(首都大学東京大学院博士後期課程)
発表テーマ:「しびれている身体で生きる経験 〜中枢神経障害者の回復期フィールドワークから」
要旨:
本報告では、「しびれていることで生活世界がどのように経験され、その経験と共にしびれがどのような意味を帯びてくるのかを記述すること」を目的とした、現象学的看護研究の結果の一部について議論した。結果記述において、しびれていることで、交わりの手ごたえが身体としてつながりを持って経験されていないことなどを示した。
議論においては、現象学的な分析の視点や、記述のなされ方、フィールドワークでの関係性などについて、さらには、難治性といわれる症状との付き合い方、周囲のサポート状況など、様々な背景の研究者から多様な視点の意見が出た。
他分野、現象学以外の研究者とのディスカッションにより、伝わりやすい点、そうではない点などがわかり、今後まとめていく上で考慮すべき点が明らかになった。

2014

第5回定例研究会

日  時:3月14日(土)13:30〜17:00
場  所:国立社会保障・人口問題研究所 第4会議室
発表者:佐藤幹代さん(東海大学)
発表テーマ:「語りを臨床に応用する
     〜「慢性の痛みの語り」映像を用いた慢性痛患者への看護支援の構築を目指して〜」

要旨:英国Oxford 大学で作成された、データベースDatabase of Individual Patient Experiences(DIPEx)を参考に、6か月以上の非がん性疼痛の痛みを患う人と、その家族にインタビュー調査を行い、身体的・精神的・社会的苦悩や疼痛対処の方法、患者・家族・医療者の相互理解のありかたを明らかにして、生活の再構築に向けた支援ツールとして、「慢性の痛みの語り」データベースをつくるプロジェクトの紹介を行った(http://www.dipex-j.org/outline/josei_itami)。
すでに撮影した慢性の痛みをもつ人(腰痛,60代,疼痛期間23年)の語り映像を上映し、「痛みを共有すること」、というテーマについて意見が出された。痛みのケアにかかわる人は、他者の痛みを共有することは難しく理解が及ばないことがあるが、痛みに関心を持ち続け、どのようにしたらその痛みをもつ人に寄り添うことができるのか。一方では、痛みをもつ人はそもそも、痛みを理解してもらいたいと思っているか、など多様な意見が出され、議論が深まった。

第4回定例研究会

日 時:1月10日(土)14:30〜17:00
場 所:国立社会保障・人口問題研究所 第4会議室
報告者:三浦恵美さん(東北大学大学院)
発表テーマ:「看護師長が認識するsuccessfulな部署運営」
要旨:今回の報告では、「看護師長が認識するsuccessfulな部署運営」と題して、看護師長が考えるsuccessfulな部署運営についてのインタビュー調査の報告を行いました。研究の背景や目的、研究方法、結果、考察が報告され、分析結果として看護師長が認識するsuccessfulな部署運営と、successfulな部署運営を達成するための行動が示されました。討論の中では、看護師長が行動する前に何かしらの目標設定となるカテゴリーがあるのではないか、successfulな部署運営を達成するプロセスには看護師長の試行錯誤がもっとあるのではないか、一方向のプロセスが得られたが循環型や円錐形のプロセスではないのか、といった議論が行われました。また、コアカテゴリーの設定の根拠についての質問、背景から示される研究目的と考察のバランスが取れていないのではないかという指摘もなされ、分析内容や考察の方向性に対しての議論も行われました。

◆◇◆ 看護・ケア研究部会に関する問い合わせ先 ◆◇◆
看護・ケア研究部会へのお問い合わせ、入会希望者のご紹介などは、庶務までご連絡ください。メールまたは郵送・FAXで入会案内をお送りいたします。例会見学も随時受け付けております。

日本保健医療社会学会 看護・ケア研究部会
2014〜2015年度 役員
会長・中村美鈴、副会長・朝倉京子、会計・松繁卓哉、庶務・白瀬由美香(事務局)
e-mail: shirase-yumika@ipss.go.jp(事務局)

第3回定例研究会

日 時:11月15日(土)13:00〜15:30
場 所:国立社会保障・人口問題研究所 第4会議室
報告者:西原かおりさん(神戸医療福祉大学)
発表テーマ:「高齢者自身がもつ性意識と高齢者のイメージと看護師がもつ高齢者に対する性意識と高齢者のイメージ」
要旨:病院に通院する高齢者とその病院に勤務する看護師がもつ「高齢者の性意識」と「高齢者のイメージ」の差を比較した調査結果の検討を行った。調査対象者数と調査病院の地域が限られていたため信憑性にかけていること、文献検討の再確認、表現の仕方などのアドバイスがあった。また、調査結果から「看護師がもつ高齢者に対する性意識の思い」が肯定的でない意見が一部あったことが明らかになった。討論の中で今後、看護師の「高齢者に対する性意識の受け止め方」「高齢者のQOLの向上の図り方」「看護教育の再確認」などの課題が示唆された。 報告後、ジェンダーの問題について、討論が行われた。

日本保健医療社会学会 看護・ケア研究部会
2014年2015年度 役員
会長・中村美鈴、副会長・朝倉京子、会計・松繁卓哉、庶務・白瀬由美香(事務局)
e-mail: shirase-yumika@ipss.go.jp(事務局)

第2回定例研究会

日 時:9月13日(土)13:00〜15:30
場 所:国立社会保障・人口問題研究所 第4会議室 報告者:本多康生さん(福岡大学)
発表テーマ:「東日本大震災被災地における民生委員の活動」
要旨:2011年3月の東日本大震災で被災した東北沿岸部A町の民生委員への全数調査をもとに、民生委員が自らも被災した困難な状況の中で、発災時から避難所生活、さらには応急仮設住宅での生活に至る過程で、どのような活動を行ってきたのかを考察した。町内外の仮設完成に伴い、担当区は再編され、多くの委員は従来の担当区に残された世帯以外に、仮設や他の地区をも割り当てられ、活動を継続する上で多くの困難を経験してきたことが示された。報告後の質疑では、民生委員活動と公私の関係性、災害時要援護者登録制度の妥当性、 生活支援員制度との関連、ジェンダーの問題、などについて討議が行われた。

*看護・ケア研究部会に関する問い合わせ先
看護・ケア研究部会へのお問い合わせ、入会希望者のご紹介などは、 庶務までご連絡ください。メールまたは郵送・FAXで入会案内をお送り いたします。例会見学も随時受け付けております。

第1回定例研究会

日 時:7月26日(日)13:30〜16:30
場 所:国立社会保障・人口問題研究所 第4会議室
報告者:松繁卓哉さん(国立保健医療科学院)
発表テーマ:「「セルフケア」の社会学の射程」
要旨:
 今回の報告では、「セルフケアの社会学の射程」と題して、近年の「セルフケア」をめぐる動向に関する社会学研究の可能性(問うべき課題・異なる水準における問題設定)について述べました。「セルフケア」の営み自体は、近代医療の成立以前より人々が行ってきたものですが、近年の「セルフケア」をめぐる動向の大きな特徴は、日本を含む多くの国々で持続可能性が危ぶまれるようになった医療制度の問題と重ね合わせながら、「行政課題」として議論されている点にあります。
 報告では、一事例として2000年代以降のイギリスにおけるセルフケアの振興の経緯について整理しながら、社会学研究の主題設定として(セルフケアの実践・振興における)「行為主体の問題(誰がおこなうものなのか)」「能力の問題(どのような能力が必要とされるのか)」「文化的差異の問題(どの程度普遍性を持つものなのか)」を挙げました。さらに、「セルフケア」と「フォーマルケア/正規医療」との関係性の問題、「セルフケア意識」の高まりが社会に及ぼすインパクトついて述べました。
 質疑応答では、本報告が事例として挙げたイギリスのセルフケア振興策と、看護実践の中で形成されてきたセルフケア理論とのつながりや、保健・医療・福祉領域におけるセルフケア実践に対する社会学の立ち位置の問題、さらに、日本のコンテクストとの対比などについて意見交換が行われました。

2013

第4回定例研究会

<報告:看護・ケア研究部会:2013年度 第4回定例研究会、2014年度総会>
 2013年度第4回定例研究会が、3月22日(土)13:30〜17:00に、東京女子医科大学河田町キャンパスで開かれました。白瀬由美香さん(国立社会保障・人口問題研究所)から、「ケアの質をめぐる政策と従事者の専門性」と題して報告がありました。内容については次の通りです。本報告は、イギリス医療における事例をもとに、ケアの質を保証するための政策と従事者の専門性のありようとの関係性を探ろうとした。イギリスは租税を財源として、予算の枠内でサービス供給をする医療システムであることから、ともするとサービスが過小になりやすく、一定水準のケアの質を保つための多様な方策が講じられている。したがって、イギリスの事例は公的サービスとしてのケアの質の保証する政策の一つの極を表すものとして位置づけることができる。具体例として、受診までの待機期間の目標設定、成果に基づく診療報酬や施設基準の策定、専門職免許の更新制、診療ガイドラインの導入などが紹介された。こうした諸施策によって形成される医師や看護師の行動規範や両者の関係性、専門職として求められる資質等に関して報告者から論点が提示され、伝統的専門職論とイギリスの現状との違い、ケアサービス全体における公共部門と民間部門の占める比重に関する日英比較などに関して議論がなされた。
 また、2014年度総会が、5月18日(日)に東北大学での大会中に開催されました。新役員は次の通りです。会長は中村美鈴さん、副会長は朝倉京子さん、会計は松繁卓哉さん、庶務は白瀬由美香さん。例会の日程は、7/26(土)、9/13(土)、11/15(土)、1/10(土)、3/14(土)を予定しています。毎回2人まで報告できますので、報告希望の方は事務局までご一報ください。
 看護・ケア研究部会問合せ先: 事務局 白瀬由美香 shirase-yumika@ipss.go.jp
(看護・ケア研究部会長:中村 美鈴)

第3回定例研究会

<報告:看護・ケア研究部会:2013年度 第3回定例研究会>
 2013年度第3回定例研究会が、1月12日(日)に東京女子医科大学河田町キャンパスで開催され、三井さよ(法政大学)が「ケア労働と組織」について報告しました。報告要旨は次の通りです。今回の報告では、ケア労働をどのように捉えられるかという試論を報告した。ケア労働のひとつの極に、報告者が以前からかかわってきた看護職をおき、もうひとつの極に近年になって報告者が参与観察している、重度知的障害・自閉の人たちの自立生活支援の現場で働く支援者たちをおきながら、ケア労働に共通した特性と、内部での多様性を捉えかえそうとした。具体的には、公私の区別の困難、専門職論の再考、新たな協働モデル、〈場〉の議論などの試案を提示した。フロアとの間で、社会学的な概念の使い方の妥当性について、看護職と地域生活支援ヘルパーの異同について、専門職の定義についてなど、さまざまな議論がなされた。
  看護・ケア研究部会問合せ先: 事務局 本多康生 yasuohonda@fukuoka-u.ac.jp
(看護・ケア研究部会長:三井 さよ)

2013年度 公開企画

<報告:看護・ケア研究部会:2013年度 公開企画[福祉社会学会と共催]>
 2013年度公開企画「『介護事故』をどう考えるか?――法政策の現状と、現場の状況から」(福祉社会学会と共催)が、11月30日に日本赤十字看護大学広尾キャンパスで開催されました(司会は三井さよ(法政大学)。以下、文責は三井)。
 まず、長沼建一郎さん(法政大学)から、ご著書『介護事故の法政策と保険政策』の内容をご紹介いただくとともに、その後の傾向等にも解説していただいた上で、それぞれの判決について法学者の中でもさまざまな立場があることなど、わかりやすく話していただきました。そして、現在の介護事故の判決では、たとえば「もう少しなんとかできたはずだ」ということで不作為による過失を認めてしまっているが、これは福祉領域の規範(had better)と法規範(must)の混同でもあるという指摘があり、ケア言説の過剰さを改めて痛感させられました。
 討論者として、まず宇城令さん(聖隷クリストファー大学)から、自治医科大学病院での転倒予防の取り組みについてご紹介いただきました。ころばぬ先のパンフレットなどの作成に加え、全病室に手すりがついたこと、そうした取り組みが実際にどのように進んだかなど、解説していただきました。
 また、岡部耕典さん(早稲田大学)から、「安全性の確保」は「もっとも基本的な利益」なのだろうかという根本的なところから改めて問いが発せられました。入所施設と地域での発想の仕方について問題提起がなされるとともに、現状として家族に責任が問われてしまうことについても指摘がありました。
 フロアからは、判決の議論の仕方等についても質問が出て、本人の意思をどこまで中心として考えるべきか、施設と地域の違い、ケア言説についてなど、議論がなされました。総じて、看護や介護という枠ではなく、人の生活において安全という問題をどのように考えるかという議論ができたように思います。
  看護・ケア研究部会問合せ先: 事務局 本多康生 yasuohonda@fukuoka-u.ac.jp
(看護・ケア研究部会長:三井 さよ)

第2回定例研究会

<報告:看護・ケア研究部会:2013年度 第2回定例研究会>
 2013年度第2回定例研究会が、9月28日に東京女子医科大学河田町キャンパスで開催され、海老田大五朗さん(新潟青陵大学)が「相互行為から柔道整復を記述する:学位申請論文『柔道整復師と患者の相互行為』の概要」について報告しました。報告要旨は次の通りです。本報告の目的は、学位論文である拙著『柔道整復師と患者の相互行為』について発表し、本論文の意義を医療実践者の集まる看護・ケア部会において議論することであった。論文において明らかになった知見を報告し、こうした知見が学術界ではどのような評価を受けるか、実践者からはどのような評価がなされるかが話し合われた。論文は医療実践者からの意見を取り入れて構成されている。本論文では大きく分けて7つのデータを分析しているが、その全てがひとつの医療的活動(たとえば問診や触診など)の始めから終わりまでを含んでいる。これは「相互行為を相互行為の断片として検討しても医療者が得られるものは少なく、ひとつの医療的活動の単位のなかに相互行為を包括したものとして提示したほうが、医療実践者としても受け入れやすい」という医療実践者の意見を取り入れたためだ。こうした医療実践者に寄り添った記述が、どのような学術的な意味を持つのか。これがくり返し問われ続けることが確認された。
  看護・ケア研究部会問合せ先: 事務局 本多康生 yasuohonda@fukuoka-u.ac.jp
(看護・ケア研究部会長:三井 さよ)

第1回定例研究会

<報告:看護・ケア研究部会:2013年度 第1回定例研究会>
 2013年度第1回定例研究会が、7月13日に東京女子医科大学河田町キャンパスで開催され、長峰久美子さん(東京都立板橋看護専門学校)が「知的障害者施設における看護職員と生活支援員の連携・協働に関する認識」について報告しました。報告要旨は次の通りです。本報告では、自記式質問紙調査を用いて、知的障害者施設における看護職員と生活支援員の連携・協働の実態について分析した。研究協力者は、関東圏内の知的障害者支援施設における生活介護事業の施設入所支援で勤務する看護職員と生活支援員である。報告後の討議では、知的障害者施設における両者の業務内容の差異を明らかにする必要があること、業務が重なり合う領域について両者がどのような認識を持っているかを解明すべきであることなど、今後の分析方針に関する具体的な助言をいただいた。これらの示唆をもとに、分析を精緻化し、論文執筆を進めたい。
  看護・ケア研究部会問合せ先: 事務局 本多康生 yasuohonda@fukuoka-u.ac.jp
(看護・ケア研究部会長:三井 さよ)

2012

第5回定例研究会

<報告:看護・ケア研究部会:2012年度 第5回定例研究会>
2012年度第5回定例研究会が、3月9日に東京女子医科大学河田町キャンパスで開催され、まず、千葉京子さん(日本赤十字看護大学)が「ピック病と診断された若年性認知症者と妻」について報告しました。報告要旨は次の通りです。本研究の目的は、ピック病と診断された若年性認知症者の妻がどのような体験をしているかを明らかにすることであり、在宅で1年以上介護をしている妻3名に半構成的面接を行った。分析の結果、経済的困難なども体験していたが、一人の家族成員の病が、家族全体に破壊的な影響を及ぼし、妻が苦悩していることが明らかとなった。また、「愛おしさ」に焦点をあて、夫の人格の変容が夫婦関係の変容をもたらす様子を示した。報告後、相互行為や応答性について学際的な意見交換が行われ、今後の考察について重要な示唆を得た。


第4回定例研究会

<報告:看護・ケア研究部会:2012年度 第4回定例研究会>
第4回定例研究会が、2013年1月12日に東京女子医科大学河田町キャンパスで開催され、吉田千鶴さん(帝京科学大学)が「派遣看護師として介護施設ではたらく看護師の思い」について報告しました。報告要旨は次の通りです。今日では看護職のはたらき方が多様化し、正規雇用だけではなく、非正規雇用、短時間勤務などの看護師が大規模病院でも存在するようになった。本研究では介護施設で派遣看護師としてはたらく看護師を協力者とし、介護施設で派遣看護師としてはたらく意味を明らかにした。研究協力者は雪だるま方式で募り半構造化面接法を用いてインタビューを実施し、質的帰納的に分析した。また、倫理的配慮はA大学倫理審査受審後承諾を得て実施した。同意の得られた研究協力者10名の語りを逐語録にし、データ分析した結果35個の概念、9個のサブカテゴリー、3個のカテゴリーを生成した。以下にカテゴリーを≪≫、サブカテゴリーを〈〉で示す。10名の研究協力者たちはさまざまな理由で病院を辞め、次の職場を決める際、〈自分のペースではたらく〉や〈自由に職場選択〉できる職場を選び≪とりあえず派遣看護師としてはたらく≫ことを選択していた。派遣看護師として勤務を始めるとケアを通して〈派遣看護のちょっとしたやりがい〉を感じることができ≪派遣や介護施設ではたらいたからこその気づき≫を得ていた。しかし派遣ではたらいていると対象者やスタッフと関係性が継続されないこと、さらにはケア継続も困難になり≪派遣で働き続ける不安やむなしさ≫も感じていた。


第3回定例研究会

<報告:看護・ケア研究部会:2012年度 第3回定例研究会>
2012年度第3回定例研究会が、昨年11月10日に東京女子医科大学河田町キャンパスで開催され、まず、安藤こずえさん(東京女子医科大学病院)が「認知症高齢者が一人暮らしを継続するための支援のありよう」について報告しました。報告要旨は次の通りです。一人暮らしを継続できている認知症高齢者と担当介護支援専門員を対象として、認知症高齢者が一人暮らしを継続するための支援のありようを探求することを目的とした。都内4ヶ所の介護支援専門員6名と介護支援専門員が担当する一人暮らしの認知症高齢者6名に参加観察とインタビューガイドを用いた 半構成的面接法、およびケース記録による記録調査を行い、質的な分析方法に基づいて分析した。その結果、5つのカテゴリーが抽出され、認知症高齢者が一人暮らしを継続するための支援のありようは、【一人暮らしを続けるために努力している本人を後押しする】ために、本人にとって身近な存在である家族に対して【一人暮らしが不可能だと感じたら家族の助けを借りる】ことや、支援への抵抗が生じないように【本人が支援を受け入れるような技を駆使する】こと、また近隣の力を借りることや多職種の地域連携を図り【支援の輪を広げて一人暮らしの限界を乗り越えていく】こと、生命や生活の危険回避が出来なくなった時に【本人と近隣の安全は必ず守る】という働きかけをしていることであった。報告後の質疑応答では、認知症高齢者の一人暮らしを研究テーマに選んだ動機の確認や、分析の手順、カテゴリーの命名について、活発な意見交換と助言をいただき、さらなる分析の視点として重要な示唆が得られた。
次に、清水準一さん(首都大学東京)が「保健医療系調査におけるテキストマイニングの活用」について報告しました。報告要旨は次の通りです。近年、保健医療福祉の研究においてもテキストマイニングの利用が散見されている。テキストデータを数値化することで、様々な多変量解析の手法を活用し、回答の傾向を把握することができることを確認したうえで、@社会調査の自由回答では、内容も広範かつ誤字脱字や表現が多様であることなどから分析する一つの単語が多義的になりうること。A一般的な質的研究に比べ分析過程は明示的であるものの、解析の意味解釈は研究者の主観、専門性に左右されうるものであること。B分析の条件等については、明確なコンセンサスがないことなどの課題が示された。発表後は使用するソフトウェアやテキストデータの分析単位の決め方、必要となるサンプルサイズなど具体的な使用方法を中心に活発な質疑が交わされた。


第1回・第2回定例研究会

<報告:看護・ケア研究部会:2012年度 第1回・第2回定例研究会>
2012年度第1回定例研究会が、6月30日に東京女子医科大学河田町キャンパスで開催され、白瀬由美香さん(国立社会保障・人口問題研究所)が「イギリスの看護師の専門性と自律性:資格・教育・人事システムに基づく考察」について報告しました。報告要旨は次の通りです。看護師の役割や業務範囲の在り方に関する近年の議論では、アメリカのNpやCNSなどを事例とした高度実践看護師の状況がしばしば言及されている。しかしながら、医療制度や専門職資格体系に関する日本との社会的基盤の違いについては必ずしも議論がなされていない。本報告は、諸外国の看護師制度をどのように理解すればよいかという問題関心のもと、イギリスの看護師の資格・教育・人事システムについて検討を行った。その上で、看護師の専門性と自律性に関する特徴について考察をした。イギリスでは基礎教育段階から成人・小児・精神保健・知的障害という4つの分野別に看護師が養成されており、その後のキャリアパスについても、限られた範囲(診療科、疾病、年齢層)の患者を対象とした実践の高度化を追求していくシステムとなっていた。さらに、専門性の追求とは臨床実践だけを指すのではなく、マネジメント、教育、調査研究という4つの方向性があった。そして、看護助産協議会(NMC)という団体が看護師免許の管理(3年ごとの登録の更新、免許の取り消し)、養成カリキュラムの認可などを行っていることは、看護職が国家や他の医療専門職、一般市民に対して、職業集団として自律性を持つことを示していると考えられた。イギリスでは看護師の従事する業務範囲が法令等で規定されておらず、臨床現場における各々の看護師は、雇用契約で定められた範囲内で自律的な活動をしていた。こうした事実に対して、会場の参加者からも多くの質問、意見が出され、日本の看護師が置かれた現況についても活発な議論がなされた。

第2回定例研究会が、9月15日に東京女子医科大学河田町キャンパスで開催され、まず、朝倉京子さん(東北大学)が「看護師の自律的な判断の様相」について報告しました。報告要旨は次の通りです。臨床経験の豊富なジェネラリストの看護師達がどのように自律的な判断を行っているのかを質的帰納的に明らかにすることを目的とし、臨床経験8年目以上の看護師19名に半構成的面接を行った。分析の結果、3種類5つのカテゴリーが抽出され、経験豊富な看護師達は患者の希望や意思をつなぐという共通の目標に向かって、自らの知覚を駆使し他の看護師と判断を共有しながら、療養上の世話に係る判断を自律的に行う一方で、医師の指示を吟味し、必要な場合は医師の指示を補うほどの影響力を有する自律的な判断を下している様子が記述された。報告後、学際的な意見交換が行われ、今後の分析の方向性について重要な示唆を得た。
次に、谷川千佳子さん(北海道大学大学院)が「看護職場の労働編成」について報告しました。報告要旨は次の通りです。100床台規模病院の外来看護部門を事例に、参与観察と聴き取り調査から外来看護労働の構造を労働編成と労働過程のあり方の実態を報告した。労働編成については特に看護の職場における能力主義管理に基づく人事労務管理と配置について取り上げた。労働過程については、外来診察の実際を時系列で観察し、そのスケジュール管理と人員配置の教育的志向性をとりあげた。総じて、職務遂行には立体的な能力が求められ、日々訓練が行なわれているとの趣旨で報告した。質疑応答では、看護を国内の一産業として位置づけようとするならば他産業との対比があると見えやすいだろう、電子カルテ化や人員配置合理化は当該規模の医療機関でも今後推進されると見込まれるため研究対象施設の規模を広げることを勧める、労働過程分析のための観察方法再考についてなど多くのご助言を賜った。今後も看護師自らの陶冶とそのインセンティブ、それを支える組織的構造の実態に迫りたい。

看護・ケア研究部会問合せ先: 事務局 本多康生 honda-yasuo@rehab.go.jp

(看護・ケア研究部会長:三井 さよ)

2011

第5回定例研究会

<報告:看護・ケア研究部会:2011年度 第5回定例研究会>
2011年度第5回定例研究会が、3月17日に東京女子医科大学河田町キャンパスで開催され、中村美鈴さん(自治医科大学)が「生命の危機状態にある患者に代わり延命治療の意思決定を担う家族に関する研究」について報告しました。報告要旨は次の通りです。患者に代わり延命治療の実施に関する意思決定を行う家族は衝撃と混乱の中で患者の状況や治療に関する複雑で多様な説明を受け、意思決定を余儀なくされることも多い。今回明らかにされた《家族が患者の現状や治療による効果および影響を理解し受け入れられるような関わり》や《家族の状況を把握し苦悩をサポートするような関わり》は、家族の身近にいる看護師にとって重要な関わりといえる。また、家族の状況を把握した看護師が《家族と医師との橋渡しや関係性を保持するような関わり》を持ち、《患者・家族への医療・看護方針を統一するような関わり》をしており、医療職者と家族との間の調整や医療職種間の統制といった関わりも重要なものであることが推察される。しかし、《家族と共存できる時間・場の確保が難しい》と勤務中に家族との時間を割くことの難しさや、《患者が危機的状況にある家族に踏み込むのは難しい》といった困難を抱えており、家族に積極的に関わる必要性を感じながらも十分出来ないといった葛藤が生じていることも推察された。これらのことから、支援を必要としている家族に時間を割けるような勤務体制やこのような家族にどのように対応していくかを話し合える体制を整えるなど、看護師が抱えている困難を可能な限り軽減・解決していくことが家族の意思決定プロセスを促進するために重要であると考える。その後、学際的な議論がなされ、考究すべき課題をさらに見出せた意義ある会であった。
新役員について:先日の大会時[5月20日(日)]に看護・ケア研究部会総会が行なわれました。新役員の役割分担は、会長:三井さよ(法政大学)、副会長:千葉京子(日本赤十字看護大学)、会計:吉田澄恵(東京女子医科大学)、庶務:本多康生(国立障害者リハビリテーションセンター研究所)。今後の方針として、従来通り看護職を中心とすること、同時にケア全般に視野を広げ、関東定例研究会や福祉社会学会と共催での研究会を開催するなどの案が出されました。今後も多くの方々にご参加いただけるような会にしていくため、新役員一同、努力してまいります。

看護・ケア研究部会問合せ先: 事務局 本多康生 honda-yasuo@rehab.go.jp
(看護・ケア研究部会長:三井 さよ)

看護・ケア研究部会は、当学会の会員のうち、「看護」「ケア」「介護」「福祉」「ケア提供者」等に関心のある者で組織している部会です。年4〜5回、例会を開催し、部会員各自の研究活動について意見交換の場を持ち、メーリングリストにて、例会報告を配信しています。年会費1000円(本学会会費とは別納)。関心のある方の入会はいつでもお受けしています。
(部会長 三井さよ:法政大学)

【問合せ先】部会事務局 本多康生(国立障害者リハビリテーションセンター研究所)
      email: honda-yasuo★rehab.go.jp (★部分に@を入れてください)