連載小説:暗黒饂飩

第三話:開始(98/10/8)

  日記には紙切れが挟んであった。
「助けてくれ。死にたくない。」
 Sの字だ。あの女への怒りがはっきりする。気づいていたのに。おかしいと思っていたのに。 悲しくない?違う。関わりたくない?そうだ。なぜ?日記を開く。

「G 7ミリ 35行 x4 440」

 なに?

「G 三菱HB x3 90」

 鉛筆?

「S K焼き 280」

 食べ物?お好み焼き?私たちはかつてそう呼んでいた。
出納表か。物品と価格が数十にわたって記載されている。一番古い日付は8年前。

目次へ


ご意見ご感想ご苦情メールはnakagawa@geocities.co.jpまで