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漢喃研究所の古典籍閲覧室

 ここでは午後4時を過ぎると、その1日に閲覧者が申請閲覧した書を書庫に戻す作業が始まる。右側二人は書庫のスタッフで閲覧済みの書を收蔵するため番号と冊数をチェックしており、後ろの男性は書庫主任。白い表紙の書は古典籍の両面コピー本で、所長の許可など特殊な例外の時だけ原本で閲覧できる。微笑む男性は閲覧室員で、明るく親切。また書庫・閲覧室のスタッフはみな中国語会話ができる。

 この日の9月23日は私が深夜の便で帰国するため、最後の閲覧日だった。そのためもあってか、ハノイ在住の研究者である左写真手前の福田氏(ベトナム語学史)と中間の大西氏(ベトナム宗教史)のお二人も調査に来ていた。最後尾の女性は当閲覧室の主任で、とても親切。右写真は最近ベトナム北部から政府が買い上げた古籍約七千冊の一部で、未補修本と写真の補修ずみ本に基づき、毎日2名のスタッフが同時進行で目録データを作成していた。目録は数年後に完成し、中には医書が数百あるだろうとのことで愕然とした。フエにも未調査の阮朝太医院旧蔵古医籍が多量にあるという。それらを悉皆調査する体力も時間も私にはもうないので、後進に委ねたい。