韓国の絶品豚足チョッパル(2003年3月9-11日夕食)
12000won(約1200円)
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 私の友人に「はー田中」(旧姓:畑中)さんという酒仙がいる。彼女は私が茨大に赴任した翌年に中文の院を卒業したが、中国以外に韓国にも留学したことがある。ここに来て数週間、韓国語を話せないため不自由なので、彼女にメールして簡単な会話をご教示いただいた。「スル マショヨ(酒のもー)」「スル トー ジュッセヨ(酒もっとちょうだい)」「ナヌン スルコレ イムニダ(私は鯨飲です)」など実践的な一言会話で、以後常用して沢山飲ませてもらえるようになった。

 その時いただいた情報に、韓国の豚足「チョッパル」は美味いというのがあった。ソウルに来た当初、一度某事情で針灸の学会に呼ばれ、その時の東国大学食堂でのバイキング形式昼食で食べたことがある。しかし私の血中脂質は相当に高く、友人の漢方医・岡田研吉氏からウサギの食生活に変更すべき、と注意されている。それで韓国に来ても獣肉はなるべく食べず、海苔などをつまみに焼酎を飲んでいた。

 ところがチョッパル情報2日後の3月8日(土曜)、ぶらついたナクソンデ駅付近の裏通りにある市場で、下写真の店を発見してしまった。あまりに美味そうで、つい買ってしまったのは言うまでもない。ただ写真手前の二種は大きすぎるので、ケースの奥に見える、いわゆる日本の豚足(手掌・足掌部分)を一つ買った(2000won)。部屋に戻って食べると、微かにシナモンの香りがあり、脂がよく抜けているのにゼラチン質はしっかり残っており、たまらなく美味い。また焼酎によくあう。

 そこで意を決し、もっとでかいのをと翌9日はカメラ持参で出かけ、上写真の手前右側を買った。ついでに仕込む様子も観察した。日本のラーメン屋がスープを仕込むの同様の大きなアルミの寸胴に、前脚と後脚の下腿部分を冷凍のまま投げ込んでいる。すると手前左の大きいのは後脚下腿、右の細いのは前脚下腿ということになる。ともに手掌・足掌部分がついているので、前日に購入したのは別個に仕入れているのだろう。煮ダレまでは覗かなかったが、味からしても醤油にシナモンと生姜を使用しているのは分かる。同様の前脚下腿の醤油煮を台湾で一回買ったが、脂が多くて閉口した。北京あたりにも醤油味豚足はあるが、下腿全部のはまだ出会っていない。

 ここの店主が食べやすいよう素早くスライスしている間に、その母親らしき人が冷麺を店先で茹で始める。そして茹で上がった冷麺とチョッパルのスライスを店の奥に持って行き、しばらくして手渡された大きな袋に下写真の品々が入っていて、量の多さに驚いた。左上のサンチュパックばかりでなく、右上の辛くない水キムチ(?)パック、冷麺とキャベツ千切りのコチュジャンあえ等もある。

 また上写真のように生青トウガラシと生ニンニクのスライス、さらに4種のタレも付いてきた。タレは上写真の左端がセウジョッ(アミの塩辛)に小ネギ・ニンニク・トウガラシ、左2番目がセウジョッと味噌、3番目がワサビ、右端がコチュジャン味。チョッパルスライスの下には橈骨・尺骨や手掌の骨もあり、付着した腱をかじることができる。冷麺はこのまま食べたが、むろんチョッパルはタレを付けてニンニク・トウガラシと共にサンチュにくるんで食べる。

 とうてい一回では食べきれず、結局11日まで三晩も焼酎の友になった。以後あっさりとウサギ生活から足を洗い、さらに二度も買いに行ったので、もう店主に顔を覚えられている。もし手荷物に余裕があれば後脚下腿を2本ほど買い、学生への土産にしたいと考えているのだが、どうなることやら。