韓国の高級和食(2003年3月2日夕食)
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 今回の韓国調査で宿舎の予約やビザ用の招聘状発行等とてもお世話になっているのが、下写真左のChang Il moo(張日武)ソウル大薬学部教授。今年60歳だが、科研費の共同研究で93年頃に東京で知り合った。のちソウルや北京での会議で会ったり、手紙を交わすなどもう十年のつきあいになる。bioHerbというベンチャー企業を手がけ、最近は『東洋医薬科学大典』全6冊を出版するなど、相変わらず活発な研究を続けている。酒も音楽(ドラムをたたく)も好きなスモーカーで、ソウルの兄貴という気がする。

 数日前に宿舎の部屋に電話をもらい、今度の日曜に一緒に夕食しようと誘われた。むろん毎晩ひまな私に異存などない。この夜、しっかり飲むつもりのChang教授は自分の車ではなく、わざわざタクシーで宿舎まで迎えに来てくれた。案内されたのはソウル中心街にある寿司と大書された日本料理の店。車の中で魚市場の店では美味い刺身が食べられるんだってねー、と私がネットで仕入れた情報を話したせいかも知れない。

 裏通りB級グルメ専門の私が一人で来るような店ではなく、むろん宿舎や学食や町中で食べた韓国式和食のうどん(ウドンという)・トンカツ(トンカスという)や韓国さしみ(フェ)とは違い、とても高級な和食店。上写真左の女性はここの女将で、Chang教授がウイスキーを勧めると、横を向いて飲む。話には聞いていたが、実見は初めてだった。

 メインは上写真右の刺身で、まさしく鯛と平目の舞い踊り。さらに中央に極上のトロ、その左上は平目の縁側だったような。これが半分近くなくなると貝やウニなどの刺身が付け足され、またコノワタを使った小料理も出て、本当に堪能できた。

 面白かったのはトロの食べ方で、Chang教授は上写真左の左端にある焼き海苔でくるみ、それを海苔の下の小皿にあるゴマ油に付けて食べる方法を教えてくれた。なるほど美味しく、これをマグロの普通の赤身に応用するとトロっぽい味になるのではと思う。帰国したら実験したい。また上写真左の刺身皿の横は生野菜で、これを各自の手前にあるコチュジャンを付けて食べる。ニンニクの茎(本当は花茎)やでかいシシトウもあり、生食は初体験だったがイケる。刺身の右小皿はお新香で、山ゴボウ(本当はノアザミの根)やクラゲの梅肉あえもあった。

 最後に鯛のお頭焼きが出て、上写真右はそれを女将がバラしてくれている。やはり生ものの後は焼き物で締めるのがいい。とても美味かったが相当に満腹で、一口しか食べられなかったのは残念。お代わりの刺身なしで、これでお茶漬けにしたかった。ところでChang教授はウイスキーのon the rock派で、今日は上写真右のバランタイン17年を持参し、二人で七割ほど空けた。が持ち帰らないで、置いておくという。来韓直後に付属病院の上のレストランでお昼をご馳走になったが、ジョニーウォーカーのブルーラベルが店に置いてあり、aperitifといって勧めてくれた。いったい何軒の店に彼はウイスキーを置いているのだろう。