元気朝食47元から
2001年7月31日9:00頃、故宮に向かうバスから内湖付近にて(47元=大体170円)
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 えーと、あまり野暮は言いたくないし、この店では食べたこともないけど、去年から気になっていたから許してもらいましょう。問題は日本と大差ないモスバーガーの値段ではなく、この垂れ幕にある2点。

 第1は「元気」という言葉。本来の中国語では医学用語で、五臓の腎にある生命力の根源をなす気をいい、元気がなくなれば当然死に至る。ところが日本では江戸時代から心身の活動の源、さらに気力と体力を合わせた意味に転用し、ついに現在の元気という日本語の意味に引伸されていった。その誤用といっていい日本の意味で使っているのだ、この垂れ幕は。朝食にモスバーガー食べたら八味丸なみに腎気がつく、なんて意味では絶対ない。きっと中医師は憤慨し、ここで食事などしないだろう。私はそういう訳でもなく、わざわざ台湾でハンバーガー食べる意味がないから、ここで食事したことはない。

 第2は字体だ。これは中国にはない日本独自の字体で、ふつう寄席の看板等だけに使い、もっと太字の似た字体は相撲関係でしか用いない。といって、「台湾のモスバーガーって、朝からチャンコ出して元気つけるのー?!」と動揺してはいけない。台北で見るかぎり、この字体の看板等は日本料理屋や日本式ラーメン屋が筆頭で、どうも日本関連の店や商品に多い。つまり台北では、日本がらみをこの字体が暗喩している。すなわち「モスバーガーって日本資本なのかな?」、と反応するのが正しい台北式。だけどね〜〜やっぱりハンバーガーに合わないよ、この字体!

 ちなみに、かつて以上の2問題を大陸で見かけたことはない。中華思想の大陸人が、そうやすやすと日本の誤用的語彙や日本を顕示する字体を使うはずはないだろう。しかし台湾・香港式と勘違いしているらしく、じつは日本式の「○○屋」という店名を北京等で数年以上前から見かける。あるいは、この字体や気力・体力の意味の「元気」が大陸で使われる日がくるかもしれないが、やっぱりどうかなー?