前例あり

かつて市民に対する挑発用語として「炎上行政」の原因となっていた「前例がない」という断り文句は,今ではどの役所でも使用禁止用語となっていたと思っていたのだが,戸棚の片隅に残っていた高濃度カリウム製剤と同様に,地方公務員の頭の片隅にはまだ残存しているようだ.

東京都の重度知的障害者が地方の施設で生活する事例は20世紀の時代から枚挙に暇がない.なぜ特養が例外たり得ようか.
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【東京】田中良氏 老後の住まい「郊外でも」 杉並区長、区外での特養開設へ 日経新聞 2015/12/11
 大都市部で介護施設の不足が深刻だ。東京都杉並区は区内での特別養護老人ホーム(特養)の用地確保は限界があるとし、約200キロ離れた静岡県南伊豆町で開設をめざす。田中良区長は「老後の住まいが郊外であってもいい」と話す。
 区の特養待機者は1000人を超す。区内でも整備に取り組むが、1000床規模を設けるのに土地代だけで200億円かかる。「費用の使い道が土地に偏りすぎる。高いサービスを提供する施設を限られた財源で実現したい」 住民交流で関係の深い南伊豆町に打診。町は雇用創出も期待できると承諾したが、認可権限を持つ静岡県は前例がないと後ろ向きだった。田中区長が厚生労働省に直談判。法的に問題ないと確認すると最終的に県も賛同し、2017年度開設へ動き出す。(後略)
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