専門医養成だと?

どこかで学会が開かれる度に,”専門医養成”が合唱されるが,おまえさん達,一体本気かい?

そもそも,現有の専門医教育システムの不備があるから,専門医が足りねえんだろ.なぜ足りないのかって,原因分析できているの?できていないでしょ?現有の教育システムのアウトカム評価もできていない条件下で,よくもそんなことが言えるもんだ.

最低限の社会の一般常識や医療現場での危機管理のセンスを欠く,歩く医療事故みたいな奴が,臨床現場にはうようよしている.そういう奴らに限って,専門医の資格を持っているのは,皆さんよくご存知のはず.それどころか,患者も医者も,実際にその専門医先生の被害に遭っているのに,それでもまだ専門医を産生しようとする.正気の沙汰とは思えない.

そういう奴らが何故専門医を称して増長し,臨床現場で繁殖しているかか分析しもしないで,対策も考えもしないで,専門医養成だと?ちゃんちゃらおかしいやい.

医者として機能しないどころか,仲間の仕事を妨害するような”専門医”を何人も作るから,いつまでたっても,(本当に役に立つ専門医が)”足りない”ってことになるに決まってるじゃねえか.

専門医教育を議論する前に,現在いる専門医とやらに,日本語の読み書きや,医療面接,プレゼンテーション&ディスカッションのやり方といった,医療者としての一般常識を教える方が先だろうに.欠陥専門医は,本人にとっても,世間にとっても,損失であり,悲劇である.さらに悪いことには,専門医を取得してしまうと,職場も,仕事の内容も,ますます一般常識から縁遠くなる.

しかし,特に我国では,一生,専門の診療ばかりしていられる医者はむしろ少数である.時が来て,大学を去り開業する,あるいは市中病院の幹部になる.そこには専門医資格とはおよそ無縁の未知との遭遇の毎日がある.介護保険の勉強,支払い基金とのバトル,ジェネリックへのシフト,役人との交渉,部下同士のいさかいと男女関係のトラブル,患者からの苦情処理,電子カルテ導入,GCP査察・・・・

お菓子のおまけなら集めてとっておけば,何十年後かには高く売り捌けるかもしれないが,専門医資格は,そうはいかない.若いうちは,資格維持のための金や時間を,まだ芸の肥しとも思えるだろうが,齢を重ね,先が見えてくるようになると,昔は輝いていたはずのラベルが急速に色褪せて見えてくる.さて,あなたはどうします?

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