役人が恐れること

”厚生労働省は国民の健康をないがしろにしてけしからん”、”農林水産省は食品の安全安心を何と心得ているか” かくのごとく,役人は,年がら年中、国民の皆様からお叱りを受ける.

馬鹿もいいところだ.役人ではない.国民の皆様の方がだ.

どんなに役人を非難しようと,蛙の面に水もいいところなのに,それに全く気づいていないからだ。彼らは,自分達への非難を,喜々として愛の鞭を承っている。なぜなら、役所の存続に寛容だからこそ、”仕事をやらないのはけしからん”と言ってくれているとわかっているからだ。

”役所は機能していない、かえって邪魔だから→役所はいらない”という声でさえ、どこまで本気か疑わしい。やれるものならやってみろと,役人は思っている.こんな重労働,責任の重い仕事を,こんな少人数,安月給で,自分達以外に一体誰がやるというのか.そう思っている.

彼らが恐れるのは,口先だけの腰抜け連中ではない.行政なんか頼りにならない,お前達にはもう頼まないとばかりに,自分たちだけでこんなにできると,役所がなくてもやっていける実例を示されることだ。組織防衛で凝り固まっている連中を動かすのはこの手段が一番効果的だ。

このような活動による外からの批判の意義は、組織を全否定するのではなく、役所の中のまともな人たちを勇気づけ、おかしな連中の言い分が通らないようにして、既存の組織に本来の機能を正しく発揮させるところにある。行政サービスは家電製品みたいに簡単に買い換えることはできないから、手持ちの組織をどうやって効率よく使うかを考えねばならない。

このような活動の典型例として,全国レベルではクロネコヤマト対郵便局があるが,読者諸氏が悪戦苦闘している地域医療だってできることはたくさん転がっている。もちろん、喧嘩するにはそれなりの準備・勉強が必要だ。それが嫌なら、税金取られ放題を続けながらテレビの前で文句たらたらのこれまでの人生を続けるがよかろう、全国に棲息している税金泥棒を養うためには、そんな人も必要だから。

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