スコットランドに出かける人から,よく服装のことを聞かれるので,ここで原則を書いておこう.まず,気温だが,おおざっぱに言って,6ー8月が日本の秋,9ー10月が初冬,11ー3月が冬,4ー5月が春と考えればよい.日本の夏に相当する季節はないので,夏の暑さや湿気のことは全く心配ない.スコットランドでの20度が日本での30度と考えると理解しやすい.いくらメキシコ湾流の影響があるとはいえ,グラスゴー,エジンバラはモスクワや樺太と同じ緯度だということを忘れないでもらいたい.
現時点での気象情報は→Weather Underground,あるいはYahoo Weather Scotland
観光シーズンの6ー8月にスコットランドを訪れる人は,原則的に日本の秋の服装で対処すべきである.特に朝晩と雨の日の冷え込みに注意しなければならない.よほど暑がりの人でなければ半袖はまず要らない.それより,長袖の上に羽織るセーター,上着の類を用意すること.7ー8月でも気温が10度以下に下がることがあるから,寒がりの人はコートが恋しくなるだろう.
気温もさることながら,問題はやはり雨だ.どんな目的でスコットランドに行くにせよ,雨のことだけは考えておかなくてはならない.スコットランドでは雨が多い.いつ雨が多いかというと,春夏秋冬,1月1日から12月31日までである(この絵葉書は藤田さん@元Obanからいただきました.藤田さん,ありがとうございました).しかし,雨には傘を持っていけばいいと考える人はスコットランドに行くべきではない.日本から持っていった折り畳み傘が役に立たないことを現地で学んでも手遅れだ.
風が強いので雨はしばしば横殴りに降る.実際には,ビーチパラソルのような大きくて丈夫な傘を両手でしっかり持たないと傘の意味がない.実際,現地の人間はそうしているか,あるいは傘をささずにゴアテックスの合羽を着ているか,あるいは何もしないでずぶぬれになっているかのいずれかである.普通のジャンパーやセーターでは,ぐしょ濡れになった場合,乾かすのが大変だ.何を着ていくかというよりも,真夏でも旅行中に洗濯物が乾かないというリスクを考えなくてはならない.
特に長期間の旅行では,洗濯物をどうやって乾かすかが問題となってくる.天候と美観の問題で,外に干すのは論外だ.となると,室内に干すしかないが,室温が上がらないので,浴室に洗濯ロープを張って干すだけでは完全には乾かない.風呂付きの宿の場合には,しばしば電気ヒーターパイプが備えてあるので,ここに洗濯物をかけて干すことになるが,あまり効率はよくない.せいぜい下着と靴下を乾かす程度にしか使えない.それ以上の洗濯をするとなると,街中ならばコインランドリーを使うことになる.Service Washといって,店番に洗濯物を預けておけば,なにがしかの手数料で洗っておいてくれる.まあ,汗をかかないので,着た切り雀でもかまわないのだが.
雨に対する対策として何といっても有効なのは防水加工の完璧な雨具の上下である.これだけは絶対に持っていくこと.その点,ゴアテックスの合羽の利点は,計り知れない.まず.小さく折り畳めるので,旅行の時かさばらないで済む.水滴をはじくので,洗濯,乾燥の必要がない.濡れた部分はタオルで拭けばよい.また,雨ばかりではなく,防寒用ジャケットにもなる.例えば,私が98年7月に旅行した際は,暑いときは半袖のポロシャツ(私はひどく暑がりで,かつ寒さには強い),涼しい時はその上にゴアテックスの合羽を羽織るだけで凌いでいた.寒くなったら合羽のフードをかぶり,ファスナーを閉めるといった具合で,セーターや余分な上着を持っていかずに済んだ.
雨対策は足元にも必要である.土砂降りの中の移動に備えて,下半身もゴアテックスの合羽で武装できる用意が望ましい.履き物では,サンダルなんぞは論外.靴でも,土砂降りの中を歩けば短時間で中がぐしょぐしょになるような代物では楽しい旅行が台無しである.季節を問わず,防水機能のしっかりしたブーツ・ウォーキングシューズの類の靴が理想的である.
冬は防寒具として分厚いコートを持っていっても無駄である.必ずフードのついたアノラックの類を持っていくこと.また,下半身の防寒具も忘れずに.
一方,夏の暑さや湿度については全く心配は要らない.冷房は不要です.25度を超えることは滅多にありませんし,夏の湿度は日本に比べてはるかに低いです.英国人は暑さに弱くて,25度に達すると熱波と称して暑いと言いますが,我々にとっては運動すると少し汗ばむ程度の5月の初夏の陽気で,運動するとその汗が風に吹かれてすーっと消えていって,非常に爽やかに感じます.もちろん除湿器など不要です.沖縄出身の人は気温が低くて年中調子が悪いと言っていましたけど.