ハイランドでのウォーキングの注意点

人の手が全く入っていない自然に囲まれながら歩く、ハイランドを一度歩くと病みつきになります。日本にいるときは山歩きなど全く縁がなかった私は、スコットランドでウォーキング中毒に陥り、週末の度に日本の上高地以上の自然を1人で独占するような贅沢を重ねていました。しかしハイランドの土地と天候には一癖も二癖もあります。以下の注意点を実際に歩く時の参考にして、快適なウォーキングを楽しんで下さい。

人がいない
まずはじめに,とにかく人がいないということ.手つかずの自然と表裏一体ですね。だから,危機管理をすべて自分で完結させなくてはならないことを肝に銘じてください.4キロ四方に人家はおろか,人1人いないということが十分起こりうるのです(羊は何百頭もいますが).たとえ,有名なハイキングコースでも,捻挫などして動けなくなっても誰も助けに来てくれません.

すべて湿地
実際に歩く場面で一番問題なのは肝心の地面です.地図で道が描いていない所は,すべて湿地と思ってください.日当たりの良いはずの山の南側斜面でも,靴がずぶずぶもぐります.おまけに湿地のくせに至る所に小さな岩が突き出ています.このため,非常に歩きにくく,消耗します.道はほとんど整備されていません.最も有名なWest Highland Wayでさえ,けもの道にしかなっていないような部分がほとんどです.道標なんか全くないと心得てください.

靴は革製の本格的な登山靴を
ですから靴も地面に合わせなければなりません.湿地でずぶずぶもぐりますから,キャラバンシューズは絶対にだめです.たとえ普通のウォーキングであっても,十分履き慣らして,ワックスがけも丁寧にしてある本格的な革製の登山靴を履いてください.

雨ばかりでなく霧も大敵
次に問題なのは雨と霧.雨については,英国の天気をご存知の方には申し上げるまでもありませんが,防水のしっかりした上下はどんなに天候が良くても必須の備品です.現地では山用品の店は簡単には見つからないでしょうから、値は張っても,日本でゴア・テックス製の上下を購入して持参することをおすすめします.リュックサックは必ずしも防水加工のものを選ぶ必要はありません.それよりも中に入れる荷物一つ一つが濡れないようにしっかり包むことの方が大事です.また濡れたときの着替えを持参すること.濡れたまま野宿すると7月でも低体温で死にます.

スコットランドのウォーキングでの最大の敵は霧です.本当にまたたく間に一寸先も見えなくなります.いったん濃霧に襲われたら,晴れるまでじっと待つしかありませんが,気温も低下しますので,真夏でも防寒具の備えを忘れずに.

常識的な備品
その他,OS (Ordnance Survey; 陸地測量部)の5万分の1の地図(ある程度の規模の現地の本屋なら手に入ります),コンパス(方位磁石),助けを呼ぶ時に使う笛(人がめったに来ないから,声を出し続けていたら声が枯れてしまう),防水の懐中電灯は必須アイテムです.それに、夏は虫避け(insect repellent)が必要です。夏のハイランドにはミジーと呼ばれる極めて獰猛な蚊がいるのです。木陰で待ちかまえていて,人間が来るやいなやヒッチコックの映画もどきに集団で襲いかかってくる光景には恐怖感さえ覚えます.

登山用品のお店
グラスゴーではBuchanan StreetにあるGraham Tisoが品揃え豊富で店員の対応も良い.(ここが本当にUKかと思うほど(^^;).こういう店は洋の東西を問わず,山好きの人が勤めているからでしょうね)

エジンバラではRose streetの西端近くにある同じくGraham Tisoが大きくて品揃えも良く、店員の対応も良いです。Coburg Street, LeithにあるSports Warehouseは倉庫のようなところで格安の掘り出し物があります。SouthbridgeのCamping & Outdoor CentreはBoyScoutやSea Cadet等の取扱店で小物の品揃えが良いです。(芝崎 芳朗さんの紹介)

お薦めコース
初心者,中級者へのお薦めは,何と行っても,Glasgow郊外のMilgavie(vを発音しないのでモガイと聞こえる)からBen Nevisに至るWest Highland Way (Long Distance Path)です.なぜなら,景色が素晴らしいし,歩きやすく,難度は低いし,バスの停留所や鉄道の駅から近い部分が多いからです.自分で適当な区間を決めて歩いてみて下さい.どんな人でも,まずWest Highland Wayを歩けば,スコットランドでのWalkingがいかに素晴らしいものかがわかるでしょう.West Highland Waに関しては下記のサイトに情報があります.

ウォーキングの情報源

シェルパのスコットランドの歩き方:日本語がありがたい.本格的なアウトドア体験談が豊富.山好きの人は必見.

ウォーキング天国ですから,現地のインフォメーションでウォーキングに関する情報は簡単に手に入ります.ネット上では,ScotwalkTranscotland Walking Vacationsなどのサイトが参考になります.また,スコットランドの書店,John Smith & Sonsにはスコットランドでのウォーキングの解説書がたくさん取りそろえてあります.

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