後を絶たないt-検定の誤用について:原付免許で乗用車を運転しないこと!

統計はあくまで道具です.道具に振り回されたくないですよね.振り回される原因はむずかしい理屈です.だから,むずかしい理屈は抜きにして乱暴に考えましょう.そうすれば振り回されなくて済みます.

> 現在順序尺度を使った変数に対して統計処理を行うことを考えています.
> 具体的には痛みの強さを0ー4(なしー最強)の5段階に評価した値を
> 想定しています.

このような場合,「t検定はまずいんじゃない」と思ったら,その直感を大切にしてください.だから,ノンパラメトリック検定(2群だったら,一番よく使うのはMann-Whitneyですが,Cochran-CoxやWelchでもいいです.使いたい物を使っていいのです)でやってください.それだけです.

パラメトリック検定(各集団の分散が等しい時に限って使える)が使える時に,パラメトリック検定の代わりにノンパラメトリック検定(各集団の分散とは関係なく使える)を使っても全く問題ありません(感度の違いは多少出てきますが,その程度で左右されるような有意差にこだわるようでは,有意症 Significantosisもかなり重症です.)

逆に,ノンパラメトリック検定しか使えないような時,つまり各集団の分散が等しくない時に,パラメトリック検定を使ってはいけません.と言うと,決まって,「なぜか?」と聞く人がいます.その時は,「今の質問は,なぜ原付免許で乗用車を運転してはいけないのか?という質問を同じです」と答えるようにしています.

2群の平均値の差の検定にt検定を用いる場合,t検定の前にF検定をして2群の分散(値のばらつきの程度)が等しいかどうか見なくてはならないのです.→t検定、F検定 しかし,t検定しか知らない人は,F検定の必要性など,一切おかまいなく,原付免許で乗用車を運転しますから,事故が起きます.

下記も是非参考にしてください.

3群以上の平均値の差の検定にはt-検定は使えない!

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