個の医療とやら

個の医療は,SNPの測定のことだけを言うのではなく,高血圧治療の際の血圧のように,個々の患者さんに特有の値を測定して治療の指標にするのが,個の医療であり,ヒポクラテスの時代から,医療は個の医療であることは,以前説明した.

ヘパリンやワーファリンによる血栓塞栓症の治療,予防も,代表的な個の医療である.血栓形成阻止効果と出血の危険性という諸刃の剣を持つ薬を,一般の検査室レベルでモニタリングができる指標を使って,患者毎に用量調節を行なう.

血圧を測らずに降圧剤を投与する医者はいない.では,一般の検査室で抗血栓効果がモニタリングができない抗凝固剤があったとしたら,あなたは,それを使いたいと思うだろうか.

モニタリングができないということは,モニタリングをしなくていいことでは決してない.

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