でしかないことへの不安

私は,学生の頃から,医者でしかない状態に不安を感じていた.医者は,もともと自尊心が高い人がほとんどなのに,常に厳しい評価,過酷な競争に晒さ れる.命を預ける患者・家族の要求度も高いのに,努力してもいい結果が出るとは限らない.時には,悪い結果の責任を取れと攻撃を受ける.そんなストレスが 多い職業に自分が耐えていけるとは思えなかった.だから,逃げ場,臨床医以外の道も,できれば複数確保しておかねばならない.そう思っていた.その結果が 現在の私の姿だ.

もう少し,希望の持てる,わかりやすい表現をしてみよう.私は,臨床という名の試合場で,売店の売り子,中心的なプレーヤー,観客,ヘッドコーチ, 二軍選手,ウグイス嬢,スカウト,入場券売り場の責任者,応援団長,グラウンドキーパー,警備員,スコアラー,掃除のおじさん,壊れたベンチの改修 業・・・・何もかもが面白かった.でも,まだまだ知らないところが残っている,プレーしている選手だけにしか興味がない人もいるだろう.しかし私にとって は,試合場全体がテーマパークだ.

医者には,医者でしかないことに不安を感じる医者と,医者でないことに不安を感じる医者の二通りがある.あなたはどちらだろうか?

参考文献:
週刊医学界新聞の記事 未来の未知性について 人生はミスマッチ

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