内科診断学フォトライブラリー
ここでは,これまでの診療で私が記録した写真の中から,特徴的な身体所見を選んで部位別に呈示します.内科診断学の個人的な学習に役立てていただくためです.もちろん,患者さんが特定できるような写真はありません.
まだまだ乏しいライブラリーなので,もし,適切なスライドかネガをお持ちで,このライブラリーを豊かにするために貢献してくださる方がいらっしゃいましたら,資料をお送り下さい.謝辞とともに掲載させていただきます.→ massie.ikedaあとまあくgmail.com
-
頭部,顔面,目,耳
-
首
-
甲状腺腫:甲状腺機能亢進症.皮膚が湿潤して,てかてか光っていることにも注目.
-
パーキンソン病患者の頚部固縮:仰臥位で頭部を検者の手に預けさせ,楽にさせて(油断させて!)から,
急に手の支えをはずすと,通常は頭が下に落ちるが,パーキンソン病では頚部の固縮のため,落ちない.固縮が強い時には,わざわざそんな検査をしなくても,
はじめからこのような窮屈な姿勢をして仰向けになっている.(枕からずっと頭を浮かせっぱなし!)
-
胸
-
肩,肩甲部
-
顔面肩甲上腕型(17歳男性)筋ジストロフィーの上肢筋萎縮.腕が細く,上腕二頭筋の萎縮が目立つ.
-
同上症例で上肢を外転したところ.前腕と上腕を比較するとさらに上腕の萎縮が更に明らかになる.上肢の外転はここまでが限界であり,三角筋の筋力低下があることもわかる.
-
翼状肩甲:上肢帯の筋の萎縮のため肩甲骨が翼のように背中から浮き出て見える.様々な神経,筋疾患で見られる.この場合は筋萎縮性側索硬化症.
-
別の型の翼状肩甲
-
顔面肩甲上腕型(17歳男性)筋ジストロフィーの翼状肩甲
-
腕
-
つつが虫病の刺し口:上腕内側にあったもの.患者にはまったく自覚症状はない.ただのかさぶたではな
い!これだけで診断がつくのだから,穴のあくまでよく見て覚えておくこと.ダニは皮膚の柔らかい部分を好むから,腋窩,鼠径部,大腿内側など,衣服で隠れ
やすい所に刺し口が好発する.だから体をくまなく診察しないと見つからない.刺し口とは別に薔薇疹のような発疹が見られることがある.
-
手
-
背中,腰
-
外陰部
-
足
-
疥癬:足底の皮疹,高度の角化病変,ヒゼンダニ
-
下肢の筋萎縮:尖足,顕著な足底弓といったFriedreich足の特徴も見られる.Charcot-Marie-Tooth病.
-
こちらは別の例のFriedreich足
-
下肢の筋萎縮:がっちりした上半身に比べて足が細いことに注目.特に大腿に萎縮が強い.脊髄性進行性筋萎縮症.
-
パーキンソン病での下腿浮腫
-
動脈の塞栓症による下肢の壊死:心房細動,左房血栓に伴って生じた.この症例では脳塞栓と同時に起こった.
-
こちらは下肢静脈血栓症:動脈塞栓と分布は似ているが,色が鮮やか.診察でも,浮腫,発赤,熱感の点で,動脈塞栓とは明らかに鑑別できる.
-
アキレス腱の腫脹cerebrotendinous xanthomatosis(脳腱黄色腫症.特殊なコレステロール代謝異常症)による
-
cafe au lait spot:Neurofibromatosis I (von Recklinghausen)
-
Schoenlein-Hennoch紫斑病:下肢の紫斑,同拡大.盛り上がった紫斑(palpable)であることが特徴的
-
蹲踞の姿勢での踵付け:写真は重度精神遅滞で,筋緊張低下の例.蹲踞の姿勢の時,踵を地面にべったり付けて座るのは,小脳障害の兆候だと学生時代に教わったのだが,今時の若い人を見ると,神経学的に問題がなくても,踵を付けてしゃがめるようだ.だから病的意義は少ないのだろう.
-
姿勢
-
パーキンソン病における姿勢の特徴:
-
脊髄小脳変性症患者のベッド座位:体幹の運動失調があるために,膝にではなく,両脇のベッド上に手をつかないと安定が得られない(この姿勢の有無を見る時は足が床から浮くようにベッドを高くすることが必要)
-
全身
-
全身の筋肥大:甲状腺機能低下症による,いわゆるHoffmann症候群
-
身体所見画像サイト
-
Chicago Dizziness and Hearing
(CDH) という,private practice が運営しているめまい診療の情報源サイト.掲載資料が豊富なこと,
わかりやすくて正確なこと(患者向けの資料となっているものでも,私が読んでもとても勉強になります)に,まず感心します.そして,なんと,一番驚いたのは,めまいに関するたくさんの動画が無料でダウンロード可能なんです!!BPPVの眼振や,Dix-Hallpikeの手技も,
もちろんダウンロードして,自分のPCで繰り返し見られる!!全部のダウンロードが面倒な人,できない人には,上記の動画てんこもりDVDをたったの30ドルで送ってくれる!!
-
おまけ
-
クリプトコッカス:通常の髄液細胞鏡検(サムソン).左右に一つずつ綺麗に丸く見えるのがクリプトコッカス.その内側にある小さな細胞が白血球.このように,何も墨汁染色にしなくても,巨大な円形の細胞としてクリプトコッカスと診断できる.
-
クリプトコッカス:墨汁染色