アメーバNaegleria fowleriによる髄膜脳炎

Naegleria fowleriはは河川、湖、池や水たまりに自由生活をしており、水浴や温泉浴の機会に経鼻的に脳に侵入し感染する。いったん髄膜炎を起こせば,重症となる上に,本症を念頭におかなければ,診断がつかずに死亡する.ここでは1996年,佐賀県在住の25才女性例を紹介する.この例では免疫不全症などのリスクファクターはなく,過去1月以内における海外渡航歴、野外や温水プールでの水浴、温泉入浴、24時間風呂使用等の感染機会に関わる事実は聴取できなかった。このことは,特異な病歴がなくても,原因不明の髄膜脳炎を見たときは本症も念頭におかなくてはならないことを意味している.神経内科医ばかりでなく,一般内科医も覚えておかなくてはならない疾患だろう.

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