名医であろうとなかろうと

もし,あなたの名前が何らかの名医のリストに載っていたとすれば,それはあなたにとって,外来がやたらと混雑するという不利益をもたらすばかりでなく,とても不名誉なことでもある.なぜなら,名医との烙印は,あなただけが特別な知識や技術を独占していて,周囲にそれを伝えていないことの動かぬ証拠だから.あなたが,自分の知識や技術に誇りを持っているのなら,それを若い世代に伝えねばならない.あなたの仲間が増えて,あなたの外来の混雑が解消し,ついにはあなたがお払い箱の名誉を受けることを夢見て,ひたすら教育に情熱を注がなくてはならない

たとえあなたが,自分は名医ではないと思い込んでいたとしても、自分が何らかの面で患者を納得させる知識や技術を持っていると信じるからこそ診療を続けている。そして、その成果が上がっているからこそ、患者さんが来てくれている。だったら、その知識や技術を、若い人に伝える使命がある。名医であろうとなかろうと、現場にいる限り、あなたには,現場の知恵を伝える使命がある。

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