初期研修先選択に迷ったら

ここを読んでね。
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> 5年生の皆さん そろそろ初期研修先を具体的に考える最終段階にはいってきました。「まあ、どこでもいいんじゃないです かね!」 と僕は 学生さんによく言います。

「初期研修先はどこでも大丈夫。自分は対応できる」
そう思える自分て、素敵だと思いませんか?そう思えずに迷っている人・不安な人も幸いです。

外在化技法
http://square.umin.ac.jp/~massie-tmd/cbtmemo.html#gaizaika
弱い自分を掘り起こす
http://square.umin.ac.jp/~massie-tmd/genbatoolkit.html

> 数日前 池田正行先生といろいろお話しするなかで 来年からやり方ちょっと変えてみてもいいのでは ?って 思っております。これまでのように フォー マットにのとってやってゆくのは続けるとして(最低限のお約束としてですね)、 「時系列」「こまめに区切って」と いうのをやめてみたほうがいいかな、と思っています。 いかがですか?皆さん。

おじさん・おばさん達の頭の中を、より日常診療に近い形で解説していくと、お互いの学習効率が上がるのでは?と 思って横井先生とお話しました。言い出しっぺとして、先日の突然発症の心窩部痛症例(結果的には急性胆嚢炎だった)の時の議論を例 にとって補足説明します。

VINDICATEで疾患候補を挙げていく過程で、学生さんからは「肺塞栓」が出てきましたが、その後、議論を進めてい くうちに、いつの間にか、肺塞栓が脱落していきました。どういう理由で、いつの間にか脱落していったのか?学 生さん達は知りたいと思いませんでしたか?

VINDICATEに沿って疾患名を列挙する目的は、「可能性のある疾患を出来る限り列挙して見落としがないようにする」 と思われていますが、この目的は実は表層であって、その下の層に、より実際的な目的があります。それは「除外診断」とい う作業です。

上記の例では、「これで肺塞栓はないだろう」→(少し詳しく言語化)→「呼吸困難(感)が無くて心窩部痛で来る肺塞栓な んて見たことない」という「感覚」が暗黙のうちに、おじさん・おばさん達の間で共有されたので、脱落してしまったので す。これが意識下の除外診断です。

そこをさらに掘っていくと、「肺実質には痛覚神経は無い。だから胸膜病変を合併しない肺塞栓は痛みは感じない。それは ちょうど、脳実質には痛覚神経がないから、頭蓋内圧亢進を合併して髄膜刺激症状としての頭痛を感じる時と、片頭痛のよう に血管壁そのものに病変が生じる時を例外として、脳梗塞では痛みを感じないのと同じ」という長ったらしい説明があるので すが、それも日常診療では言語化されずに仕事が進んでいきます。

日常診療では一々VINDICATEが意識されずに、言語化されることもなく、意識下で高速で除外診断作業が進みます。 おじさん・おばさん達は決してサボっているわけではないのです。

ただ、このような高速かつ意識下の除外診断作業は、大学の講義でも、研修場面でも、まず言語化されることはありません。も ちろん教科書にもネットにも書いてありません。結果的に暗黙知として言語化されずに伝えられていきます。ここを「職人 芸」とかいって、言語化をサボっているのが世界中の現状です。

でも、学生さんが知りたいのは、教科書にもネットにもイヤーノートにも載ってないこと(載っていることは調べれば済むこ とだから)、なぜ、おじさん・おばさん達が毎日診療できているかですよね?

おじさん・おばさん達自身にとっても、自分の頭の中で一体何が起こっているかを学生さん達に説明すること(=自分の診療 を透明化し説明責任を果たすこと)が、非常に学習効率の良いフィードバックになることは、私自身が十分経験済みですし、横 井先生も実感なさっていることでしょう。
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