あなたの尊厳を守るリテラシー

あなたの命を守るのがヘルスリテラシー.ではあなたの尊厳を守るものは何か?裁判だと思ったら大間違い.裁判を批判できる法的リテラシーこそが,あなたの尊厳を守る.
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ヘルスリテラシー低い日本人 中川恵一 日本経済新聞2018年6月13日    
がんで命を落とさないための秘訣は「がんを知る」ことです。がん治療も一種の情報戦といえますが、がんに限らず、日本人は健康や医療についてのリテラシーに欠けると指摘されています。
ヘルスリテラシーの国際比較調査では「医師から言われたことを理解するのは難しい」と答えた日本人は44%に上りました。これに対し、欧州連合(EU)8カ国の平均値は15%、ヘルスリテラシー先進国のオランダは9%にすぎませんでした。「病気の治療に関する情報を見つけるのは難しい」と答えた割合も日本が53%、EU27%、オランダ12%と差がつきました。
国・地域別のヘルスリテラシーの平均点(50点満点)では、オランダが37.1点で調査対象中でトップでした。アジアでは保健教育が充実している台湾が34.4点と最も高かったのに対して、日本はミャンマーやベトナムよりはるかに低い25.3点にとどまり、最下位に甘んじています。
ヘルスリテラシーが低い人ほど病気や治療の知識も少なく、がん検診や予防接種などを利用せず、病気の症状に気づきにくいので死亡率も高いことが分かっています。この調査結果は見過ごせません。
ヘルスリテラシーについての日本人の遅れは、学校での保健教育のあり方にも一因があるのではないかと思います。例えば米国では、国の疾病予防管理センターが定めた保健教育の学習目標「全国保健教育基準」があります。高校卒業までに、病気の予防や健康リスクの管理などを体系的に学びます。しかし、今の日本では性教育などは断片的に行われているものの、身体や健康について系統的に理解する機会がほとんどありません。
そもそも、これまでの日本では体育ばかりが行われ、保健の授業は軽視されてきたと思います。2年ほど前、東京都東村山市の公立中学校で10年間も保健の授業がほとんど行われてこなかったことが発覚し、大問題となりました。保健の時間は体育の実技に充てていたといいますから、「保健体育」ではなく「体育体育」です。
中学校、高校の学習指導要領にも書き込まれた「がん教育」を突破口として、日本人のヘルスリテラシーを高めていきたいと考えています。
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法的リテラシー